本ページのデータを元に作成されたカリックス[6]アレーン + C60の3Dクリスタル
(作:函館高専・長尾先生 → PDF資料参照)
日本科学未来館で購入したLEDライトベースの上に置いた同クリスタル
以下の分子モデルで作成したアニメーション
先月のシクロデキストリンに続いて,同様に包接化合物を形成することができるチアカリックスアレーンについての記事を取り上げました。
従来からホスト分子として知られていたカリックスアレーン1)は,4つ以上のp -アルキルフェノールがメチレン基(-CH2-)で環状につながった化合物で,アルキルフェニル構造で形成される空孔内は疎水的であり,疎水的な有機分子の認識などに用いられています。なおこの化合物名は,ギリシャの聖杯(カリックスクレーター)に似ていることから名付けられたものです2)。また,空孔の逆側に位置するヒドロキシ基を修飾して金属イオンを取り込むませることもでき,この場合はイオノフォア(イオノホア;親イオン性の化合物)としての機能を示します。
上掲の解説は,そのカリックスアレーンのメチレン基(-CH2-)を硫黄で置き換えたチアカリックスアレーンの一段階簡易合成法を見出した筆者によるものであり,カリックスアレーンとも比較しながらその有用性が論じられています。構成は,
はじめに/金属イオンの分離・検出/水溶液中の有機ハロゲン化合物の包接・除去システム/不斉識別機能/おわりに
となっており,水中のppmレベルの有機ハロゲン化合物を完全に除去できるといった実例等が詳述されています。
カリックス[n]アレーン(左)とチアカリックス[n]アレーン(右;SをSO2やSOにする場合もある).R はtert- ブチル基またはtert- オクチル基など.
カリックスアレーンとチアカリックスアレーンの分子モデル
※以下に分子モデルは複数の文献を参考に組み立て,何れもMM2計算を行ったものである
カリックス[4]アレーン + C60 |
||
カリックス[6]アレーン(calix[6]arene) |
カリックス[6]アレーン + C60 |
|
チアカリックス[4]アレーン(thiacalix[4]arene) |
チアカリックス[4]アレーン + 1,2-ジクロロエタン |
@nifty「化学の広場」 ‖ 日本化学会 | 『化学と工業』 | 『化学と教育』
※このトピック記事は,「化学の広場」の運営スタッフが毎月交代で担当します(今月の担当:シェーマ).