鏡と首輪(3)(作:夕涼さん)


第三章 歓喜

「さて、次は俺の番だな」
そういうと、それまで黙って鏡の陰に立っていたシモツキが蝋燭の光りの輪の
中に入ってきた。
既に何も着ておらず何もつけていない。
その姿をみて優一は目を疑った。
その股間には何もないのだ。そういえば鏡に映るマフユの股間にもうっすらと
恥毛が見えるが、その奥に今の優一のような花弁は見えない。

「さて、大き目ので一気に貫いてやろうか」
シモツキがそういうとその股間にみるみると勃起した状態のペニスが生えてき
た。
「ちょっと、そんなの無理よ。まだ処女なんだから。もっと細くしないと。そ
れにユキちゃん、とっても締まりがいいんだから」
「いや、心配はいらない。治癒結界はもう完成した。あまりのんびりやってい
る時間もないしな」

改めてこの二人が人間でないことを目の当たりにして、優一はぞっとした。
しかも男性の股間に生えてきたペニスは優一が男性だったときに股間にあった
ものより一回り大きくそして長かった。
先ほどマフユに入れられた中指でも軽い痛みがあったのに、そんなに太いもの
が入る筈がない。
こんなモノを入れられてしまうのかと思うと、いよいよ自分の絶体絶命の状況
が解ってきた。
恐くてどうしようもないのをなんとかこらえ、もう弱音は吐くまいと歯を食い
しばる。

シモツキは優一の目の前へと歩いてきた。
優一はなんとなく他人の男の体を見るのに気が引けて顔を背けた。
マフユもそうだったがシモツキも異様な強い体臭を放っていることに気づく。
優一は胸がむかついた。

「もう前戯はいらないだろう」
そういうとおもむろに優一の左足をとった。優一はバランスを崩して倒れそう
になったが、壁から手枷に繋がっている鎖が縮んで、優一の体を壁に引き付け
た。手枷をつけられた腕が痛む。
シモツキは優一の左足を持ち上げた。
優一は男でいたときはとてもできない、大きく片足だけ上げた格好でもそれほ
ど苦しくないことに気づいた。しかし両手を壁に固定され、片足を上げたまま、
腰を押さえられて全く身動きが取れない。
シモツキは少し腰をおとして優一の秘所にペニスをあてると腰を突き出し始め
た。自分の中に異物を挿し込まれるのに強烈な違和感があったがどうしようも
なかった。

(熱い……)
それが最初の感想だった。屈辱的でどうしようもないのに、花弁に当てられた
ペニスから熱が伝わってくると、それが心地いいことを認めてしまいそうにな
る。
自分の心が散り散り乱れ、ペニスを股間に当てられただけでそうなる自分にま
すます狼狽えた。体だけでなく頭の中まで女性化されてしまっているのだろう
かと思う。
しかし、そんな気持もすぐに苦痛一色に塗りつぶされた。
「…ぐうう……うう……やめろ……」
亀頭まで埋まったところで優一がたまらず呻いた。これまで男の体で感じたど
んな痛みとも違う、内側からの痛み。外傷とも腹痛とも違う全く未知の痛みに
優一は思わず声を上げた。どうすれば我慢できるかすらわからなかった。
「口のききかたに気をつけろ」
素っ気なく言うと、シモツキは優一の苦痛を気にする風もなく、さらに奥へ奥
へとペニスを進める。
すでに愛液で十分に潤っている秘苑とはいえ、その強力な締め付けに挿入は遅
遅としてすすまない。優一はメリメリという音が聞こえた気がした。

「ユキちゃん、力を抜かないと余計痛いわよ。ほら息止めないでゆっくり呼吸
して」
横からマフユが口を挟んだ。しかしその内容とは裏腹に、妖艶な笑みを浮かべ
ながら、この破瓜ショーを楽しんでいるようだった。
優一はしばらく下唇を噛んで痛みをこらえていたが、シモツキの巨大なペニス
が処女膜にあたると再び痛みは耐えがたいものとなった。
「痛い!痛い!痛い!!……ああ……やめろ…て…ください」
何とか逃れようと手枷のついた腕を無茶苦茶に振り回すが、無駄な努力だった。
シモツキには止めるつもりなど全くなく、一突きして突き破るとそのまま、め
きめきと音を立てて奥まで突き刺した。二人の股間の下では、優一の女性器か
ら流れ出る鮮血をマフユが舐め取っている。
力をいれて引きすぎたせいで、手枷で腕がすれ、そこからも血が流れていた。

奥まで突き入れると、やっとシモツキの動きが止まった。優一は痛みに顔をし
かめながら、荒い息をするだけだった。痛みと屈辱に涙がにじんだ。

そのままじっとしていると、数秒の鋭い痛みの後で膣の中の痛みが引いていく。
シモツキが手枷のついた腕にさわると手枷が外れた。そこから流れていた血は
止まり、傷跡は消えてしまっていた。しかし優一は自由になった腕にはあまり
注意を払わなかった。腕を怪我をしたことすら気づいていなかった。それより
も感じたことのない下腹部への強い圧迫に動揺していた。
なんとか膣から力を抜こうとするものの、すぐに体全体にビクリと痙攣が走り、
締め付けてしまう。その度に鋭い痛みとともに股間に挟まる異物の大きさを再
確認させられた。

シモツキは逞しい両腕を優一の体に回すと石の床に寝かせた。優一はこの時に
なっても、首輪から伸びた鎖が始めの時より随分長くなっていることには気づ
かなかった。背中の石畳の冷たくゴツゴツする感じも気にならない。無意識に
ペニスを受け入れやすいように大股を開き、足も手もシモツキの逞しい体に回
してしまっていることにすら、気づいていなかった。ただ、股間に感じる熱い
塊と、そこから湧き上がる妖しい感覚しか感じられなくなっていた。

ハッ……ハッ………ハッ…。
優一は浅い呼吸をしながら、時折搾り出すような吐息を吐き、目をつぶって眉
をしかめながら、沸き上がってくる何かに耐えていた。シモツキは、優一のほ
つれて額にかかる前髪をそっと耳に掛けてやると、こんどはペニスをズルズル
と抜き始めた。
「んーーー……はぁン」
鼻の奥をならすような声があがってしまう。無意識に絡めた足に力が入り、腰
が追いかけるように動いてしまう。擦れる粘膜から湧き上がるハッキリと感じ
る快楽と、急速に失われる充足感、それらの感情が背骨に沿って這い上がり、
全身を震えさせた。
(……いやだ!……こんなのうそだ!……)
勝手に涙が流れてきた。

「どうした。腰が浮いているぞ」
シモツキは冷たく言い放つと再びゆっくりと挿入し始めた。
軽い痛みはあるものの、それに勝る充足感と安心感、そして性器が擦れる快感
が湧き上がる。
「んんっ…ああっ…」
自分の出している女の声が、ひどく大きく聞こえる。
(……だめだ……だめになる……)
 
シモツキはそのまま無言で時間をかけた抜き差しを続けた。

「く……ああ……ああん」
3回目の挿入で優一は軽い絶頂を向かえた。
シモツキはそれでも構わずゆるゆるとしたピストン運動を繰り返す。微妙に腰
を上下させ膣の中でペニスが少しずつ動くようにし始めた。それは確実に優一
の新しい肉体の急所をとらえ、優一の抵抗心は消し飛んでしまった。
(ああ……イイ……奥……もっと奥……)
あまりの快感に自分からペニスを求めて腰を動かしてしまう。それははかりし
れない屈辱と快感をもたらした。
7回目の挿入でまた絶頂を向かえる。
すでに挿入の毎に、唸るような声をあげるようになっていた。
挿入のリズムに合わせてゆっくり乳房を揉むと、さらに快感は大きくなる。
10回を超えると自分がイっているのかどうか、優一にはわからなくなってき
た。腰から下は溶けてしまい、全て性器になってしまったようで、絶えず快感
に打ち震えている。
「ああん……ああん……ああん……」
自分が壊れたCDプレーヤーのように同じ音を繰り返して出しているのがどう
しようもなかった。
(これ…女のセックス………?すごい………。気持ちいい………)

しかし、シモツキが徐々にピストン運動のペースを上げてくると、波のように
次から次へと押し寄せる快感がつらいものになってきた。息苦しくて息を吸お
うと喘ぐのに、ペニスを打ち付けられる度に息を吐き出してしまう。注ぎ込ま
れる快感が大きすぎて、行き場を失い体中で荒れ狂っていた。四肢の筋肉が度
重なる痙攣で悲鳴をあげている。

「もう……、もう……、やめて……ください」
しかし、荒い息の間から漏れる、か細い声は、ヌチャ、ヌチャという性器の擦
れ合う音より小さかった。

表情一つ変えずにピストン運動していたシモツキは冷静に優一の痴態を観察し
ていた。
「そろそろか」
一言そういうと優一の背中に腕をまわし、その豊満な胸を自分の胸板で押しつ
ぶすように強く抱き寄せ、ねじ込むようにペニスを打ち込み始めた。
優一は何も考えられずされるがままにシモツキの体にしがみつき、まわした足
に力を込めた。
「いくぞ」
そう短く言うと、優一は自分の中でペニスが大きく膨らみ、熱い液体が注ぎ込
まれるのを感じた。
子宮に叩きつけるように液体が噴射されると、それはまた新しい快感となった。
「……はあぁ……ああん……」
口から出た声は女性のあげる歓喜の声だった。

性器をつなげたまま、シモツキはキスをした。
優一は男のキスを受け入れることに躊躇したが、自分の中で徐々にペニスが硬
さを失っていくのを感じると、どうしても口を塞いで欲しい衝動にかられて、
自分からシモツキの唇に吸い付いた。
シモツキのキスは先ほどのマフユのような激しいものではなく、ゆったりと口
内を舐めまわすやさしいキスだった。優一は口を開けてそのキスを受け入れ、
流し込まれる唾を味わいながら飲み込んだ。特有の吐息の匂いに頭がくらくら
した。

「どうだ、女として抱かれた感想は?」
たっぷりとキスをした後、口を放し、シモツキは尋ねた。
優一は荒い息をつくだけだった。
「質問に答えろ」
強く言われると、逆らうことができなかった。
「はいっ…よかった…です」
「それではなにがよかったのかわからない。質問には正確に答えろ」
「…セックスが……よかった…です」
「どこがよかった?」
「どこって……」
「質問を繰り返すな。聞かれたことを答えろ」
「あの…、オマンコ…です……」
女性器を指す隠語がすらりとでるのは、むしろ心が男だったからだろう。
「きちんと説明しろ」
「オマンコの……奥が……気持ちよかった……です」
自分で言った言葉に自分の女性器が反応し、柔らかくなったまま秘苑にくつ
ろいでいるペニスをキュッとしめつけた。自分の心が丸見えになっているよ
うで、落ち着かなかった。

「いやーん、処女だったのに『奥が気持ちよかった』ですって。もうシモツ
キは急ぎすぎなのよ。折角の処女の恥じらいが台無しだわ。それともユキち
ゃんがエッチすぎるのかしら?」
マフユが好色な眼つきで優一を見る。
「でも、色っぽい悶え方だったわね。『我慢してるのに、しきれないー』っ
て感じで。横で聞いてるこっちが恥ずかしくなっちゃった。もともと男の子
だったんだから、女形の方が良いかと思ったんだけど、やっぱり女の体は男
の体に弱いかしら。私も男にすればよかったわ」

ぶつくさ言うマフユを無視してシモツキは優一に話しつづけた。
「素直に言った褒美にいいものをやろう」
そういって、繋がっていた下半身を放した。
「あっ…」
それまで満たされていた秘所から、すっかりなじんでいたものがズルリと抜
き出されると、そのゾクゾクする感覚に、正直に声がでてしまう。さらに注
ぎ込まれた精液の様なモノがドロリと流れ出す感覚にさらに快感を覚えた。
「これが見えるか」
未だに股を開いた状態で組み敷かれたままの体勢の優一の目に、シモツキの
指に摘まれている小さな金属の輪が映った。
「これをお前につけてやろう」
そういうと素早く優一の女性器の左右からビラビラした花弁をつまみ出しピ
アスの尖っている部分を両方の花弁を真中あたりでつき通した。女性器の入
り口はそのまま閉じられてしまった。

「痛っ!!」
敏感になっている部分への突然の激痛に悲鳴が漏れた。それと同時に秘所の
筋肉がゆるみ尿道口から小水が漏れ始める。
「あっ、ちょっと、止まれ…」
優一は何とかしようとあせったが、下半身に力をいれても水流は止まらない。
もともと男よりも女の方が尿道が短いので尿が漏れやすい上に、優一がまだ
この体になれていないせいもあった。咄嗟に両手で股間を押さえようとした
が、それは両手を濡らしただけだった。迸る水流は閉じ合わされた花弁とク
リトリスに邪魔され、手で押さえるまでもなく股間の周りに飛び散った。
(あああ……ああ……)
優一は漏れていく自分の尿を、情けない気持ちで黙ってみているしかなかっ
た。シモツキは下半身に小水が当たるのを気にした風もなく
「今日はこれ以上やっても感覚が鈍いだろう。続きは明日にする。よく休息
をとることだ。明日からは本格的に始めるからな」
そういうと立ち上がり、鏡の裏に消えていった。

「もう、いっつも自分の都合でさっさと行っちゃうんだから」
マフユはそういうと未だに床に転がっている優一の足元にしゃがんだ。
「ああ、女の子がこんなにオシッコ洩らしちゃってかわいそうに……。これ
から女の子の体に徐々に慣れないとね。でもユキちゃんとってもかわいかっ
たわよぉ」
そういいながら下半身を濡らしている小水を舐めとっていく。尿を舐めとら
れることに一瞬抵抗を感じたが、すぐにどうでもよくなった。ざらざらした
したが肌を舐めまわす感触は心地よかった。
あらかた舐め終わるとマフユは立ち上がった。優一も上半身を起こす。
「ホントはお風呂に入れてあげたいんだけど、まぁ、しばらく我慢してね。
こっちの方が奴隷って感じでイイでしょう?ここにお湯とタオル置いておく
から適当に体を拭いてね。首輪の鎖が絡まったりしないよう気をつけてね。
服はあげられないけど、さすがに石の床では寝れないだろうからそこのベッ
ドを使って」
優一がふと気づくと、優一の背後にいつの間にか年代物といった古そうな木
桶と、粗末な木製のベッドがあった。
「鏡はそのままにしておくから好きに使っていいのよ」
そういうといやらしい笑みを浮かべた。

「トイレはベッドの下にある壺で我慢してね。飲み物と食べ物はたいした物
ないけど、そこのテーブルにあるから」
蝋燭の光の向こう側に木製の粗末な丸テーブルが見えた。その上に水差しが
みえる。パンと果物も少しあるようだった。
「それじゃ、また明日ね。しっかり休んでね」
そういい残すとマフユも鏡の後ろに回りこんだまま、いなくなってしまった。