ダブルエックス[part2]


僕は食事を終えるとソファーの並べられているロビーで真砂子を待つことにし
た。数人の男性が雑誌を片手てに僕と同じように女性を待っているようである。
20分も待ったであろうか食事を終えた女性達が一人二人とロビーに現れた。
彼女達はソファーには座ろうとはせず壁に並び出した。きっとロービーで座る
事を禁止されているのであろう。男性は壁に並ぶ女性を品定めするように嘗め
回していたと思うと数人が壁の女性に向かって歩きだした。なにやら話しをし
た後、男性は女性を従えるようにロビーを出ていくのである。
僕がしばらくその光景を興味深く眺めていると真砂子と琴美さんが現れた。

「お待たせ」
「あぁ、ところで食事は出来たのか?」
「バッチリ食べたわよ。琴美さんは痩せてるからスカートがキツくて」

そう言うと真砂子は自分のお腹を叩いた。確かにピッタリと身体にフィットし
たミニスカートのお腹のあたりが脹れている気もする。ウエストが絞られてい
る分だけ脹れて見えるようだ。

「ジロジロ見ないでよ」
「悪い、つい見惚れてしまって・・・ところで、あの人達は何をしてるの?」
僕は並んでいる女性達を見ながら琴美さんに尋ねた。

「パートナーの居ない女性達です。規則でご主人様の居ない女性は食事の後、
  30分はあそこに、あのように立っていることになっています」
「じぁ、私も並ばなきゃいけないかしら。笑」
「真砂子さんはこの国の住人ではないので良いと思います」
真砂子は冗談のつもりで笑いながら言ったのだが琴美さんは真面目に答えた。

「男性と何処かに行くみたいだけど・・・ほら」
丁度、一人の男性がショートカットの女性に近づいて行った。

「ええ、男性は気に入った女性がいたら誘うんです」
「なんだか品定めみたいだね」
「女性は拒否できないの?」
「三回まで出来ます。でも普通はその前に承諾するわね」
「どうしてですか?」
「四回目は断れないでしょ?とても変わったプレーをする人もいて、そういう
  人は3回断る女の人に目をつけるんです」
「そうなんだ、あの奇麗な人・・・もう、3回断ってたような気がするけど」
「良く見てるわね。でもチャンスじゃない、森川君行ってみれば?」
「う〜ん・・・あっ、先を超されてしまった」
見るからに変態そうな小男が側に行った。

「まるで美女と野獣だね。なんで3人まででOKしなかったんだろう?」
「彼女は好きな人がいて、その人が来るのをいつも待っているんです。でも、
  彼が来ない時はああやって連れて行かれてしまうんです」
「僕がその彼だったら毎日来てあげるのにな」
「彼女の好きな人にはパートナーが居るから毎日は来ないみたいです。彼が来
  て指名されてもパートナーとのプレーを見せつけられるだけの時もあったよ
  うです」
「琴美さんは良く知っているんですね」
「えぇ、ここに来た当初は彼女と同じ部屋だったものですから」
「そうなんですか・・・・」
「そろそろ私はご主人様の所に行かなくてはならないので、ここで失礼いたし
  ます」
「はい」
「いろいろとありがとう」
琴美は僕らを置いて消えていった。

「さて、これからどうする?ここの人にインタビューでもしようか」
「勝手にそんな事をしたらクレームものじゃないかしら」
「いつになく弱気だね」
「・・・・・・・・・、今日の事を部屋に帰ってまとめるわ」
「そうかい、僕はもう少し、島の中をプラプラしてみるよ」




次の日、僕と真砂子は再び黒田省吾に面会を求めた。真砂子がインタビューの
前に体験レポートを書く為に入国すると言い出したのである。その交渉の為に
黒田と会う事にしたのであった。

「お待たせしました」
「いえ、こちらこそ急に押しかけまして申し訳ありません」
僕と真砂子は腰掛けていたソファーから立ち上がり頭を下げた。

「チーフさん、今日は馬鹿に色っぽいな」
よく見ると乳首の透けるブラウスとミニスカートの真砂子を黒田は嘗め回すよ
うな視線で犯していた。もちろん今日も下着は着けていないのである。
「早速ですが・・・・」
「あっ、話しは聞いたよ。森川さん立ってないでお掛けください」
僕は再び、座っていたソファーに腰掛けた。ふと見ると真砂子は立ったままな
のである。
「どうしたんですか?チーフ」

そう言えば黒田はわざわざ僕の名前をつけて腰掛けるように言ったのだった、
真砂子はそれを自分は座るなと言われたと解釈したのであろう。黒田はそんな
真砂子に座ることを薦めること無く話しを続けた。

「体験入国をしたいそうだね」
「はい」
仕方なく僕が応対した。
「入国を許可しないわけでもないが、ご存知のようにこの国はサドとマゾの国
  なんだよ?特別扱いは出来ないよ。そちらの女性は判っているのかね?」
「・・・・・・・・・・・・」
「はい」
立ったまま、真砂子が答えた。
「じゃ、テストをさせて貰おうか」
「えっ?」

黒田は僕に向かって言った。
「私の見ている前で彼女の愛液を指で採取しなさい」
「どう言うことですか?」
「わからないのかね?スカートの中に手を突っ込んで君の上司を気持ちよくさ
  せるんだよ」
「そんな・・・・・・・」
「自分の上司をヒイヒイ言わせてみたらどうだね」

隣で立っている真砂子の足が震えている。見上げると真砂子はじっと目を閉じ
ているのである。体験入国をすると言ってしまった手前、後には引けなくなっ
てしまったのであろう。彼女は僕の行動に判断を委ねているようであった。

「どうしたんだね?森川さん」
「・・・・・・・・・・・・」
「仕方ないね」
「こっちに来なさい」

黒田は真砂子を呼び寄せた。真砂子は僕の方をチラッと見たが引き寄せられる
ように黒田のもとへと移動したのである。

黒田は当たり前のごとく何の躊躇いもなく真砂子の内股を触りだした。真砂子
はジッと目を閉じている。黒田の手はそのまま股を伝ってスカートの中に消え
てしまった。

「なかなか良い身体をしているな」
「・・・・・・・・・・・・」
「もう少し脚を開きなさい」

真砂子は言われるままに脚を開いたのである。

「あっ」
「チーフでも女は女だな。きっちり身体は反応するじゃないか。笑」
「あうっ・・・」


しばらくすると真砂子の開いた膝がガクガクと揺れた。黒田はスカートから手
を引き出すと指を立て僕の前に突き出したのだった。

「ほら、君の上司の愛液だよ。でもテストは失格だな。君はサドでは無いよう
  だ。こちらの女性は十分マゾ性を持っているのに残念だ」
「そんな・・・」
「いくら体験応募でも素質の無い方に入られては規律が乱れるからな」
「なんとかなりませんか?」

このままでは真砂子の努力が無駄になってしまうと考えた僕はなんとかしよう
と黒田に縋っていた。

「しかたないね、もう一度のチャンスを上げよう」
「はい、お願いします」
「じゃ、この指を咥えられるかな?」
「・・・・・・・・・」
「この指を挿入したばかりの男性のペニスだと思いなさい。出来るかな?」

僕は目を瞑って黒田の指を咥えた。真砂子の苦痛を考えたら些細な我慢である。
「ほぅ、咥えたな。舌を浸かって愛液を全部、舐め取りなさい」

僕が言われるままに舌を動かそうとすると黒田は僕の頭を掴んで喉の奥に指を
差し入れたのであ。
「うぐぅ」
「どうした?早く舐めろよ」

噎せ返る中、僕は真砂子の愛液を舐めた。
「森川君は舌を使うのが上手いな。下の方は駄目でも舌で男を行かせるんじゃ
  ないのか?」

やっと、黒田は僕の口から指を抜きハンカチで拭いた。
「一つ質問をしても良いかな?君には姉か妹がいるだろう?」
「・・・・・・はい。姉がいますが・・・」
「昔に姉の下着を身に付けたり、こっそり化粧をしたりしただろぅ」
「・・・・・・・・・・・・」
「最近、多いんだよな。男性でも女性になりたいと思う奴が・・・そういう男
  はマゾが多いんだ」
「・・・・・・・・・・・・」
「私の国では男性はサド、女性はマゾなんだよ。マゾ男性は認められない」
「というと、やはりテストは失格ですか?」
「いや、女装マゾとしてなら合格にしてあげよう。もちろん、男はサド、女は
  マゾであるから、君は女性の戸籍を取得ることになる。どうするかね」

僕の中で壁が少し壊れて行くような気がした。両親や姉に隠れて体験した快感
を思い出したのである。

「それで結構です」
「ひとつ言って置くが特別扱いはしないよ。国民を動揺させる行動や発言をし
  た場合は動乱罪でとしてこの国の法律で裁かしてもらうからそのつもりで」
「はい」
「それでは、受付にいる琴美に言って入国手続きをしてくれたまえ」

僕と真砂子は黒田の部屋を後にした。体験入国の目的は達したのであったが二
人の気持ちは沈んでいた。それぞれ、これから起きる出来事に不安を浮かべて
いたのである。