いかにも化学物質という名称ですが,慣用名や簡略名のない化合物が食品分野のニュースで取り上げられました。日本では使用が認められていない香料が使われたということで,清涼飲料水やガムの回収騒ぎが起こったものです。使われたのは微量で健康上大きな問題を及ぼさないとされますが,厚生労働省からの発表があり商品イメージを重視する意味からも全品回収という対応がとられています。
N-エチル-4-メンタン-3-カルボキサミド(N-ethyl-p-menthane-3-carboxamide,N-エチル-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサンカルボキサミド)にはいくつかの異性体がありますが,それぞれ香りなどは異なります。分子の立体構造と香りということでも重要な役割を果たし,2001年度にノーベル化学賞を受賞された野依良治先生の研究の中でも,今回の化合物に類似したメントールの合成がなされました。以下の分子モデルは,ハッカ香味のある(-)-メントールを基本構造にして組み立てたものです。
※参考Web情報の例
添加物製造施設に対する全国一斉点検について(厚生労働省,2003/05/20)
Googleによる“N-エチル-4-メンタン-3-カルボキサミド”検索結果
Cool without Menthol & Cooler than Menthol (By John C. Leffingwell)
※更新予定日が出張になるため,1日早く差し替えました。