◆ 今週の分子 ◆
★連載52(2004/04/14〜):
カシュメラン

 新入生を迎えての新学期最初の分子は香料のカシュメランです。下記「匂いの帝王」はミステリータッチで香り分子の科学を学べるユニークな書籍ですが(7回膜貫通タンパク質のイラストなども出ています),その独特の語り口の中でも秀逸な一文として,カシュメランについての記述を紹介します。

◎チャンドラー・バール 著,金子浩 訳,「匂いの帝王 天才科学者ルカ・トゥリンが挑む嗅覚の謎」,早川書房(2004)
p.25 カシュメラン。純然たる合成分子だ。調香する際には麝香(ムスク)に分類されるけど,実際には際だった特徴のない透明な甘い香りと,樟脳っぽい濡れたコンクリートのかび臭い香りと,焦点が合ったりぼけたりを繰り返すフルーティーなブラックベリーの香りが組み合わさった独特な匂いなんだ。単一な分子がそんなに多くの特徴を持っているなんて,信じられないよね。

◎中島基貴 編著,「香料と調香の基礎知識」,産業図書(1995)
p.206(ジヒドロペンタメチルインダノン) 強く,拡散性のあるウッディ,スパイシー,ムスク調香気を持つ淡黄色の液体。様々なタイプの製品香料に用いられる。 [商品名]Cashmeran

香りの分子事典同・解説編
※ここに出てくるいろいろな分子の香り・構造と,カシュメランの構造を比べてみよう!
※7回膜貫通タンパク質については,例えばPDBとSOSUIを利用した演習参照
※なお,化粧品などの香りは“化学物質過敏症”患者に対しては有害になる場合もあることに注意しましょう。


カシュメラン;6,7-ジヒドロ-1,1,2,3,3-ペンタメチル-4(5H )-インダノン
構造1  構造2(1の鏡像異性体)  1・2同時表示(初期表示)

空間充填  球棒モデル  スティック  OFF
Dot Surface表示  OFF |  ラベル表示  OFF
軸表示  OFF |  bounding box表示  OFF
静電ポテンシャル  親油ポテンシャル  OFF

光沢表示  OFF |  光量30%  OFF
原子球・白  OFF(CPK)
回転  OFF
背景・黒  背景・灰  背景・白
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