◆ 今週の分子 ◆
連載79(2005/01/12〜):
MOLDAで組み立てたタンパク質モデル例(Jmol版)
Chime版

 2005年最初の連載で残念なニュースの紹介です。国産の分子モデリングソフトウェエアとして海外でも高い評価を受けていたMOLDAの開発者である広島大学の吉田弘先生が,2005/01/02,突然ご逝去されました。
 高機能のフリーウェアとして愛用者も多かったと思いますが,今後のバージョンアップが望めないのは本当に大きな損失です。今週の分子として,MOLDA for Windowsで組み立てたα-ヘリックス構造のタンパク質モデルを掲載させていただきます。
 また以下に,吉田先生が日本語ページに記載されている分子に対する愛情を綴った文章を転載させていただき,ご冥福をお祈りしたいと思います。

わたしたちは分子でできている
わたしたちのまわりにあるものは分子からつくられ、それらの性質や反応性は分子の形によって知ることができます。そこにはさまざまな形をもった分子が満ちあふれ、それぞれが固有の色やにおいやかたさを表現しています。山や川や海で生活する動植物たち、あるいは私たち自身もまた、これらのさまざまな形をもった分子たちが調和のとれた化学反応をおこなうことによって生きています。身近にある物質はたかだか数十種類の元素からなっており、色などの物質の性質や化学反応のしくみ、さらには遺伝や心のはたらきといったものまで分子から説明できることを化学という学問は明らかにしてきました。このような観点から自然を眺めることは、人々に新しい物質観・生命観をもたらし、これまで何気なく見てきた周囲のもの、あるいは自分自身に対して驚異と畏敬の念を抱かせることになるでしょう。
MOLDAホームページは、分子のかたちの中にある何か崇高で深淵で美しいものを感じとるひとたち、自分自身が分子からできていることを意識することによって新しい自分をみつけようとするひとたち、複雑な物質世界においてその背後にある単純な法則性を探求しようとするひとたち、さらには、これまでに自然界が創りだすことのできなかった物質を自らがデザインし,新しい地球を創造しようとするひとたちのためのページです。


MOLDAで組み立てたα-ヘリックス構造のタンパク質モデル例
(アミノ酸20種を疎水性インデックス順にα構造で結合した参考データ)
※1文字アミノ酸記号で上から RKDNEQHPYWSTGAMCFLVI
※初期表示は疎水性インデックス順着色で,は水素結合
※参考:生体分子の構成元素
バックボーン 二次構造
全選択
空間充填 球棒 同(球大き目) スティック 針金
アミノ色 CPK色
Jmol色 Rasmol色
酸性・中性・塩基性区別 極性・非極性区別
疎水性インデックス順 等電点順
コンホメーション選択性(αヘリックスβストランド#

  
背景・黒 背景・灰 背景・白


※amino表示の凡例
ASP GLU CYS MET LYS ARG SER THR PHE TYR
ASN GLN GLY LEU VAL ILE ALA TRP HIS PRO

= 以下の表示はアミノ酸の親水性・疎水性参照 =
酸性中性芳香族〉・塩基性アミノ酸区別表示の凡例
ASP GLU GLY ALA VAL LEU ILE CYS SER THR
ASN GLN PRO MET
 PHE TYR TRP LYS ARG HIS

極性酸性塩基性〉・非極性(疎水性)アミノ酸区別
SER THR TYR CYS ASN GLN ASP GLU LYS ARG
HIS
 GLY ALA VAL LEU ILE PHE PRO MET TRP

※疎水性インデックス順
ARG LYS ASN ASP GLN GLU HIS PRO TYR TRP
SER THR GLY
 ALA MET CYS PHE LEU VAL ILE

※等電点順
ASP GLU CYS ASN PHE GLN TYR SER MET TRP
VAL GLY LEU
 ALA ILE THR PRO HIS LYS ARG

# アミノ酸のコンホメーション選択性参照。


※執筆に参加された書籍例:Handbook of Vibrational Spectroscopy, Vol. 3(2001)
※参考:化学・薬学系ソフトウェアのインターネット公開について(吉田弘) …SIG「化学とコンピュータ」について
本サイトの吉田先生関連のコンテンツ(Google検索結果)
※ブログで語る思い出: 2005/01/082005/01/092005/01/10


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