朝日新聞 1997/10/04 に,「発がん物質トリクロロエチレン/地下水から基準の800倍/T社・愛知工場」の記事。工場の敷地内のボーリング調査で4地点から,環境基準の0.03mg/L(30μg/L)を越えるトリクロロエチレンが検出され,最高値は9.1mg/Lであったとのこと。
トリクロロエチレンなどの有機塩素化合物やフロンは,ハイテク機器・金属製品の洗浄に極めて有効な化合物で大量に使用されましたが,現在では,発がん性,オゾン破壊,温暖化などの原因物質として規制の方向に向かっています。
身近なドライクリーニング(有機溶剤を用いる洗濯で,水を用いるウェットクリーニング[ランドリー]と区別されます)でも同様な溶媒を用いており,時代の要請や規制により変遷を経てきています。
以下に代表的なドライクリーニング溶剤の分子モデルを示しましょう。以下以外にも,石油系と称されるもの(n-パラフィンなどの混合物)が用いられています。
※ フロン113 はFとClの塗り分けが難しいと思いますので,解答編(分子モデルは丸善「化学便覧」の座標データにより作成)を参照して下さい。現在のドライクリーニング溶剤の使用状況についても,解答編に記しました。
溶剤名 | 分子式 | 分子モデル | mp/℃ | bp/℃ | 備考 |
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トリクロロエチレン trichloroethylene [略称:トリクレン] | CCl2=CHCl | -73 | 88 | 現在は使用されていない | |
テトラクロロエチレン tetrachloroethylene [略称:パークレン] | CCl2=CCl2 | -22 | 121 | − | |
1,1,1,-トリクロロエタン 1,1,1-trichloroethane [略称:エタン] | CH3CCl3 | -33 | 74 | − | |
トリクロロトリフルオロエタン 1,1,2-trichloro-1,2,2-trifluoroethane [フロン113] | CCl2FCClF2 | -35 | 48 | − |
◎水質基準については,東京都水道局の資料ページなどを参照