都条例問題については、とにかく性急な目先の対策（にもなっていない）に終始していると思う。
目に見えるものを目の前から全部排除してしまえばそれは楽でしょうし判りやすいでしょうし支持も得やすいでしょう。
でも根本的な問題は、行政も市民も誰も子育て支援や児童保護を本気で考えていない。
だからこういう目先の処置で「何かやった気になったつもり」になりたがっているだけ。
本気で子供を守るというつもりなら、こんな規制条例では無く子育てをする親の支援や児童を見守る社会基盤整備に目を向けるべき。
そういう心の余裕を持てなくなっている社会になってしまった事に問題があるとすれば、その原因究明と対策も必要でしょう。
それらを無視して、「俗悪なメディアである」という認識のもと、コミックやゲーム、アニメーションに安易に原因としてであるという視点に基づいて、
社会から消し去ろうとする条例の存在は容認できません。

”世界は美しくて清浄な楽園”では無いという事を様々な表現方法を駆使して作家の皆様は発信している訳です。
社会の矛盾、暗部。それらをえぐりだして様々なメディアで作品発表することで問題提起する。
この曖昧な規定による表現規制は、それら全てを「社会的によろしくない表現」として抹殺できる。
何しろこの世界は「美しくて清浄な楽園」なのだから。
そんな不健全な世界の行く末がどうなるか、過去の歴史を見ても明らかでしょう。

スターリンはショスタコーヴィチの「人間の暗部をえぐった」オペラを観た翌日、
新聞で「この楽園たる国家に（こんな不穏な作品は）相応しくない」と大批判を行い、翌日からオペラ公演は事実上不可能になりました。

ヒトラーは社会の矛盾を激しい表現で突いた多くの音楽、文学、美術作品を「（健全な国家に相応しくない）退廃芸術」として処罰し文字通り焼き捨てました。

ファシズムは最初人の良い顔をして近づいて、じわじわと全てを自分の色に塗り替え、気付いた時には強大に君臨し、支配します。

彼らはもう戸口まで来ています。
この危険な条例を何とかして止めないと、
「自由に表現する」権利を得るために犠牲になった多くの先達たちに、我々の世代は顔向けができません。
なので今できうる事を諦めないで行動しようと思います。

都議会への陳情は14日まで間に合います。