男も育児休職/2.育児休職を申請する

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保育園を調査する

で、しばらくすると妻が妊娠を告げた。私たちは保育園に関する情報を集め始めた。妻の両親は私たちが結婚した直後に相次いで他界している。私の両親は大阪に住んでいる。子供は預けて働く、という選択肢しか私たちには残されていないのだ。幸いにして住んでいる街には公立・私立の保育園がけっこうあるようだ。

研究者としてマメな性格をしている妻は、電話帳で近所の保育園を一つずつ拾い出し地図に印を付けていった。そして、この地図を片手に車を運転しながら場所を確認して回り、ところどころで中に入り、保母さんから話を聞いてみる。こういうことを始めてみた。

場所的にも設備的にも公立の保育園がけっこう充実していることを発見する。考えてみたら保育園なんて言葉として知ってはいたが、まったく実感のないモノとして扱ってきたのだった。たとえば、結婚当初住んでいたマンションから歩いて二分のところに公立の保育園があったことに、私たちは全然気がつかないでいたのだ。

そのうちに、世の中の保育園には公立・私立の認可保育園、一定規準を満たさないので認可されていないが助成金を役所から受けている保育園、モグリの保育園(いわゆるベビーホテルがこのあたりに該当する)などの区別が存在していることが分かってきた。そして認可保育園は役所の管理下にあり、区役所の隣にある福祉事務所が業務を担当しているという。さっそく行ってみると、区下の認可保育園がすべてリストになっており、地図までついているではないか。あの電話帳による前調査はなんだったのだろうかと思いつつ、そのリストをもらって職員から話を聞く。

いわく、生まれて出生証明書が発行されてから申し込んでほしい、産休明けの生後八週間から預かる「産休明け保育」はこの区下ではごく少なく定員は二名です、今あなたがお住まいの場所からはかなり遠いし空きはありませんね、生後五、六カ月から三歳までを預るのが「乳児保育」です、これはあちこちの保育園でやっていますが、四月にならないと、どの保育園もなかなか空きがでないでしょうね、四月入園の場合は一月に申し込んでもらって、二月に審査し三月の初旬に内定を出し、三月中旬の健康診断で入園の可否を決定することになります、分からないことがあったら、またお聞きください。

つまり、産休が明ける八週間後にすぐ預かってもらえるのは認可保育園ではほとんど無理らしい。私たちの住んでいるあたりでは、そもそも定員がゼロに近いのである。むろん、認可保育園にこだわる必要はないのかもしれないが、私たちは、だてに車を使って付近の予備調査を行ったわけではないのだ。たとえば、庭もないビルの一室で開業している無認可保育園があった。赤ん坊用のベッドが外に放置されているほどに中は狭いらしい。それとは反対に立派な建物の無認可保育園もあった。しかし家からかなり遠い。送迎バスはあるが、それでは保母さんと親とが会話できない。一日の様子を生の言葉で保母さんから親に教えてもらう機会がないことになってしまう。それに、ほかの子供を送り届けながらバスはあっちに行ったりこっちに行ったりで、遠隔地に住むゼロ歳児のわが子は一時間以上バスに揺られてわが家に帰ってくることになる。どうも付近にまともで手ごろな保育園は認可保育園しかないということが、予備調査で明らかにされていたことなのである。


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