男も育児休職/3.父親をする、育児に参加する

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年を越す

大晦日の夜十時半、寝ていた赤ん坊を起こす。防寒装備をさせて裏のお寺へ除夜の鐘をつきに行くのである。厚着をさせてダッコベルトで母親の体に固定し、さらにその上からコートが覆い、外に出ている頭にはマフラーを巻いて準備が整う。マフラーの下から二つの瞳が、妻の表現によれば黒豆のような瞳が、つまり小さくて、つやつやとして、黒々として、食べてしまいたくなるような瞳が、見上げている。鐘の音で泣き出さないか心配だったが、グォォォォォォォンという音に茫然としてしまい、泣き出すことまで考えが回らないようだった。生まれて三カ月だからはらうような煩悩などまだないのだが、妻に抱かれながら鐘つきに参加する。彼女のささやかな社会参加である。


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