ダイオキシンのすべてがわかる!「ダイオキシン100の知識」
(東京書籍)1998年8月5日発行

本書は、パソコン通信で情報交換や議論をしながらつくった本です  → 100テーマ一覧

(最終更新日:2003/06/09 → 最新資料の情報は環境ホルモン情報も参照!)

【トピック】 2003年1月に発行された「ダイオキシン 神話の終焉」(渡辺正・林俊郎,日本評論社)がいろいろな波紋を投げかけています.詳細は以下のページをご参照ください.
ダイオキシン 神話は終焉?(ゼゼラノート番外編)
同書に対する露本伊佐男さんの反論

※参考:ダイオキシンの作用に関する最近の研究例
ダイオキシンによる女性ホルモン撹乱作用機構の解明(東京大学・核内情報研究分野) [NEW!]
Nature日本語版の記事(要・利用者登録)

※参考:最近のダイオキシン発生量に関連してPRTR情報
2001年PRTR集計結果のダイオキシン類発生データ;都道府県比較 グラフ・地図の作成で作成可)
全業種排出量同・移動量届出外排出量移動体からの排出量家庭からの排出量
有害化学物質削減ネットワーク(Tウオッチ)

※詳細な解説書例
若林明子,「化学物質と生態毒性 改訂版」,丸善(2003) …13章『ダイオキシン類のエコトキシコロジー』など

※最近の国の動向例
ミレニアム・プロジェクト/ダイオキシン類・環境ホルモン対応プロジェクト(首相官邸)


【トピック】 2001/04に6刷ができ上がりました.前回の5刷で改訂まではいきませんが初版後2年間の諸事情の変化を踏まえてできる限り新しい情報を盛り込みましたので,6刷では掲載リンク集更新など若干の修正に留めました.本リンク資料もそれらに合わせて更新しています.
2001/04/25に最終チェックをしました.環境省の資料でURLの最初がhttp://www.env.go.jp/であるものは新データ(または旧データの移植),同じくhttp://satoru.eic.or.jp/現在参照不可&印は修正,他は近く修正予定)であるものはEICネットの旧データ書庫に保存してあるものです.


正誤表(4刷以前)

 なお,本書は発行直前まで最新情報を盛り込む作業をしたこともあって,初版第1刷では若干のミスがありました.本ページで随時修正情報・追加情報をお知らせし,より正確な情報提供を心掛けたいと思いますので,よろしくご了承ください.なお現在,以下の一部は第2刷・第3刷で訂正し,第4刷ではすべて訂正しています.

ページ/該当個所
p. 59/図の題目 塩ビの識別マーク プラスチックの識別マーク
p. 76/ 3行目 前に述べたように 前項で述べたように
p.141/図の題目 ラット体内での酵素反応 ラット肝酵素での反応
p.149/10行目 推積した年代 堆積した年代
p.153/表の項目 DDT 濃度 DDD 濃度
p.154/ 4行目 一〇億分の一キログラム 一〇億分の一ミリグラム
※ また,16(p.42)『よく出てくる「TDI」の考え方』などで紹介している,ダイオキシンの TDI(耐容1日摂取量)については,現在,厚生労働省では 10pg TEQ/kg 体重・日(単位は“pg TEQ/kg 体重/日”と表現する場合もあります),環境省では 5pg TEQ/kg 体重・日 としていますが,WHO では 1〜4pg TEQ/kg 体重・日 に引き下げるとしており(WHOの資料参照),国内でもそれに合わせて基準見直しがなされました.
 本書では,15164657 などで,TDI の国内現基準を紹介しており,4069 では WHOの新方針にも言及しています(これらについては5刷で修正).
 1999/05に環境省から,1998年度の会議議事録,第2回ダイオキシン類総合調査検討会議事録(1998/06/25),平成10年度第1回ダイオキシンリスク評価検討会・同検討会毒性評価等分科会議事録(1998/07/14)が公開されました.
 1999/01/28 に,ダイオキシン類の許容摂取量を見直す環境省・厚生労働省の合同会議が開かれ,1999年夏を目処に,WHOの基準にしたがった新統一基準を決めることになりました.
 1999/02/24 のダイオキシン対策関連閣僚会議の初会合において,TDI の早急な見直しや検査体制の整備を行うことなどが話し合われ,1999/03 中に基本方針を策定することを決定しました.
 1999/04/21 夜のNHKニュースで,参議院の自民・自由・公明3党が,TDI『4pg以下』という上限規制を中心にしたダイオキシン対策法を本国会中に提出して成立を目指すとの報道がありました.
 1999/07/12 衆院本会議において,TDIを 4pg TEQ/kg 体重・日とするダイオキシン対策特別措置法が成立しました.根拠となった資料は,「ダイオキシンの耐容一日摂取量(TDI)について」(厚生労働省・環境省同時発表,1999/06)です.
 ダイオキシン類対策関連法令など,最新の関連資料へのリンクをまとめたページ,「ダイオキシン対策」(厚生労働省)「ダイオキシン対策について」(環境省)をご参照ください.
東京書籍で本書の発注
◆オンライン書店で購入する場合 → 一覧〔by 本探し便利帳〕 ‖ 例: bk1Amazon紀伊国屋
◆ ご質問・ご感想等は NIFTY SERVE/fchemh/mes/7 にてお願いします.
(同会議室は,1998/09/15までで[ログは fchemh/lib/1 に移動],それ以後はfchemh/mes/12 へ)


2,3,7,8-TCDD,2,3,7,8-TCDF,3,3',4,4',5-PeCB(コプラナーPCB),2,3',4,4',5,5'-HxCB(非平面型PCB)


毒性等価係数(WHO の新提案)とダイオキシン分子
環境ホルモン情報 (最新情報多数!)
イリノイ環境保護局による環境ホルモンの仮リスト
ダイオキシン類による環境問題について(基礎とトピックス)


本間執筆分から(校正前原稿;最終原稿と異なります)

50. コプラナーPCBの毒性と分子構造

 5 でコプラナーPCBがPCDD・PCDFに類似した平板構造をもっているために,その毒性機構の一部を説明しうることを述べました(“コプラナー”という語については 5 参照)。例えば,2,3,7,8-TCDDと類似の塩素配置を持つコプラナーPCBは,同TCDDと同様の酵素誘導$(体外異物が体内に入ることにより,それを排除しようとして酵素の合成が増加する現象。30 参照)を起こすことなどが確かめられています。
 13TEFの表では,PCBの最初の4つがコプラナーPCBに相当し,他のPCBより全般に係数が高くなっています。また,平成9年12月に発表された「平成8年度食品中のダイオキシン類等汚染実態調査報告について」でも,PCDD+PCDFのほかに,検出されたコプラナーPCB3種についてもデータを示し,トータルの毒性も求めています。
 それでは,平板構造を持たないPCBの毒性はどうなのでしょうか。5 で述べたように,ビフェニルの 2,2',6,6'の位置に塩素が結合すると,2つのベンゼン環がねじれて平面構造を保てなくなります。TEFの表の最後の8つがその例で,低いながら一定の毒性が示されています。これはあくまでTEFで採用されている毒性での係数であって,酵素誘導現象においてPCB全般で認められた一定の構造活性相関などから見積もった数値も含まれていると思われます。
 しかし,非平面構造のPCBについては,さらに複雑な毒性を生じさせるであろうとする報告もあり$$,化学構造と諸毒性発現機構との関係の一層詳細な研究が待たれます。それによって,油症などの根本的な治療法の確立も可能になり,今後増加するであろうダイオキシンによる多様な影響への対処にも結びつくからです。
 続いてPCB汚染等の実態について,少し述べましょう。PCBの使用はすでに禁止されていますが,それまでに国内では5万9千トン生産されました。過去の製造されたものについては,処理技術が確立するまで保管が義務づけられています。しかし,今までに環境中に放出された分ですでに世界中が汚染されてしまっており,例えば日本人の場合はPCDD・PCDFと同様,魚を中心とした食品からの摂取が多くなっています。食品によっては,PCDD・PCDFよりも高濃度で検出されます。また,環境ホルモンとしても,分子構造の違いで様々な作用を示すことが確認されており,世代を越えた影響が心配されます。
 環境中の動態いかんでは,生物への悪影響が今後も長く続くことが懸念され ている上,保管分の漏出や不法投棄などの心配もあります。すでに述べたように工業生産されたPCBには不純物としてPCDD・PCDFが含まれているほか,加熱処理でPCDFなども生成するのです。
 このような状況の中で,ダイオキシン全般への対策が不可避となっているのです。

$ 酵素誘導については,東北大学理学部化学科・生物化学研究室のページ参照.同ページのシトクロムP-450のProtein Data BankでのChime分子構造例には,P450CAM(細菌)などがある(同データによる画像例).
$$ 例えば,環境ホルモンとして疑われているPCBの代謝物,2',4',6'-trichloro-4-hydroxybiphenyl は非平面構造を持っていると考えられます.「環境ホルモン関連分子(1)」の“環境ホルモン分子の形の類似性”をご参照下さい(分子表示用plug-inが必要です;MDLでダウンロードするか書籍付録CD-ROM利用).


◆参考URL集(巻末に掲載予定)

 本URL集は,「ダイオキシン100の知識」の執筆者が原稿執筆の過程で参考にしたWebページ,読者がより詳しい情報を知るために有用と思われるWebページの中から抜粋したものです.このサポートページでは,同書に掲載できなかったサイトや本書発刊後の新規情報も追加していく予定です(最新資料の情報は環境ホルモン情報も参照).


◆「ダイオキシン100の知識」執筆者
左巻健男*,川原田雪彦,中山榮子,露本伊佐男,水谷英樹*,手嶋靜,嘉村均,三浦貞則,宮内主斗,藤原順,西田立樹,桑嶋幹*,土屋昌弘,杉原数美,卜部泰子,城田直彦,本間善夫
* は編集担当)


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【注意】 「地球のーと」創刊号ふゅーじょんぷろだくと,1998/11/20発行)の,p.282-283のインターネットサイト情報の大部分は,本リンク集・紹介文を無断転載したものと思われ,こちらがオリジナルですので念のため《現在,同誌編集部に事情を問い合わせ中です》.

《追記:2007/02/28》 上記の件については残念ながら結局誠意ある対応を得ることができませんでした.なお,ふゅーじょんぷろだくと(現在のURL)発行の「地球のーと」(現在のURL)はその後休刊になっているようです.


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