パソコンやiPad・iPhoneで使える有機概念図簡易計算アプリを相馬 稔さん(プロジェクトCANI,新潟高度情報専門学校)に開発していただいて公開しました。 |
有機概念図簡易計算機(低分子)
★2色のピンポン玉・スーパーボール・ビー玉やレゴブロック,色つきシールなどで分子の秘密に迫ってみよう!
分子の部品 | 実際の値 | 概数(20を基準) | 概数(●=20) ※複数ある場合の繰り上がり・繰り下がりは無視 |
||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
有機性 (油) |
無機性 (水) |
油 | 水 | 油 | 水 | ||
C (すべての炭素) | 20 | 0 | 1 | 0 | ● | ||
ベンゼン環 | 0 | 15 | 0 | 1 | ● | ||
環 (ベンゼン環以外) | 0 | 10 | 0 | 1 | ● | ||
-Cl (塩素) | 40 | 10 | 2 | 1 | ●● | ● | |
>C=O | 0 | 65 | 0 | 3 | ●●● | ||
-COOH | 0 | 150 | 0 | 8 | ●●●●●●●● | ||
-N< (アミン:-NH2など) | 0 | 70 | 0 | 4 | ●●●● | ||
-NO2 | 70 | 70 | 4 | 4 | ●●●● | ●●●● | |
-O- (両方 C に結合) | 0 | 20 | 0 | 1 | ● | ||
-OH | 0 | 100 | 0 | 5 | ●●●●● | ||
-S-,-SH | 40 | 20 | 2 | 1 | ●● | ● |
◎炭素は最初に全部数えるので,他の炭素が入っている部品では数えなくてよい。
◎大きい部品の方を選び,重複しては数えない(例:-COOH を数えたら >C=O と -OH は数えない)
その他の入力時の注意事項
【練習問題1】以下の分子について●の数と●の数を求めてみよう!
【練習問題2】以下の分子について●の数と●の数を求めてみよう!(一部問題1と重複)
Cleft analysisによるアミノ酸分類(データ例:2hkk)
【練習問題3】以下について低分子とそれが結合しているタンパク質中のアミノ酸について●と●の数の比を求めてみよう!
【解説】(執筆中)
【練習問題2の解答】
[1],[2] アルコールとフェノール
[3] 新規麻薬(脳内物質例のアドレナリン),[4] ダイオキシン類
さてこれは上の[1]〜[4]のうち,どれを計算した結果でしょう?
※●の数と●の数は手前のシールでも同じです。
[1]〜[4] ベンゼン環を含む化合物例,[5]〜[7] 神経伝達物質・薬物より
→ 解答2
2010年ノーベル化学賞,鈴木カップリングで合成される降圧剤バルサルタン(valsartan)で計算(2010/11/04)
※分子モデルで見るノーベル賞参照
★2色のレゴブロックなどであらかじめ各アミノ酸の●の個数だけ色別に接着して残基名をつけておき,それらをつなぐとよい。
アミノ酸
特性基 R
概数(20を基準)
概数(●=20)
※複数ある場合の繰り上がり・繰り下がりは無視
O
(油)I
(水)I/O
油
水
油
水
Ile
イソロイシン
80
0
0
4
0
●●●●
Leu
ロイシン
70
0
0
4
0
●●●●
Val
バリン
50
0
0
3
0
●●●
Ala
アラニン
20
0
0
1
0
●
Phe
フェニルアラニン
140
15
0.107
7
1
●●●●●●●
●
Pro
プロリン
60
10
0.167
3
1
●●●
●
Met
メチオニン
100
20
0.200
5
1
●●●●●
●
Cys
システイン
60
20
0.333
3
1
●●●
●
Trp
トリプトファン
180
130
0.722
9
7
●●●●●●●●●
●●●●●●●
Tyr
チロシン
140
115
0.821
7
6
●●●●●●●
●●●●●●
Lys
リシン
80
70
0.875
4
4
●●●●
●●●●
Gly
グリシン
0
0
−
0
0
His
ヒスチジン
80
152
1.900
4
8
●●●●
●●●●●●●●
Arg
アルギニン
80
190
2.375
4
10
●●●●
●●●●●●●●●●
Thr
トレオニン
40
100
2.500
2
5
●●
●●●●●
Glu
グルタミン酸
60
150
2.500
3
8
●●●
●●●●●●●●
Gln
グルタミン
60
200
3.333
3
10
●●●
●●●●●●●●●●
Asp
アスパラギン酸
40
150
3.750
2
8
●●
●●●●●●●●
Ser
セリン
20
100
5.000
1
5
●
●●●●●
Asn
アスパラギン
40
200
5.000
2
10
●●
●●●●●●●●●●
〔中〕赤と緑で“水と油”;身近なものによる分層教材の例(Log Pをポケットに!参照;右の図はクリックで関連ページへ)
上層:緑色のマーカーでプラシート上に厚く塗り乾いてからオクタノールまたはサラダオイルで溶かして。
下層:温湯に食紅を溶かして。
※上層をサラダオイルにしたものを用いて公民館サイエンスカフェ『生命を支える美しい分子たち』(2012/03/03)で話をしました。
※hydropathy indexは以下を参照;Kyte and Doolittle, J. Mol. Biol., 157, 105-132(1982)
アミノ酸
hydropathy
index特性基 R
log P
酸性・塩基性
極性・非極性
Cleftの分類
等電点
O
I
I/O
Ile
I
イソロイシン
4.5
80
0
0
-1.70
中性
非極性(疎水性)
Aliphatic
6.02
Leu
L
ロイシン
3.8
70
0
0
-1.52
中性
非極性(疎水性)
Aliphatic
5.98
Val
V
バリン
4.2
50
0
0
-2.26
中性
非極性(疎水性)
Aliphatic
5.96
Ala
A
アラニン
1.8
20
0
0
-2.85
中性
非極性(疎水性)
Aliphatic
6.00
Phe
F
フェニルアラニン
2.8
140
15
0.107
-1.38
中性
非極性(疎水性)
Aromatic
5.48
Pro
P
プロリン
-1.6
60
10
0.167
-2.54
中性
非極性(疎水性)
Pro & Gly
6.30
Met
M
メチオニン
1.9
100
20
0.200
-1.87
中性
非極性(疎水性)
Aliphatic
5.74
Cys
C
システイン
2.5
60
20
0.333
-2.49
中性
極性(中性)
Cysteine
5.07
Trp
W
トリプトファン
-0.9
180
130
0.722
-1.05
中性
非極性(疎水性)
Aromatic
5.89
Tyr
Y
チロシン
-1.3
140
115
0.821
-2.26
中性
極性(中性)
Aromatic
5.66
Lys
K
リシン
-3.9
80
70
0.875
-3.05
塩基性
極性(塩基性)
Positive
9.74
Gly
G
グリシン
-0.4
0
0
−
-3.21
中性
非極性(疎水性)
Pro & Gly
5.97
His
H
ヒスチジン
-3.2
80
152
1.900
-3.32
塩基性
極性(塩基性)
Positive
7.59
Arg
R
アルギニン
-4.5
80
190
2.375
-4.20
塩基性
極性(塩基性)
Positive
10.76
Thr
T
トレオニン
-0.7
40
100
2.500
-2.94
中性
極性(中性)
Neutral
6.16
Glu
E
グルタミン酸
-3.5
60
150
2.500
-3.69
酸性
極性(酸性)
Negative
3.22
Gln
Q
グルタミン
-3.5
60
200
3.333
-3.64
中性
極性(中性)
Neutral
5.65
Asp
D
アスパラギン酸
-3.5
40
150
3.750
-3.89
酸性
極性(酸性)
Negative
2.77
Ser
S
セリン
-0.8
20
100
5.000
-3.07
中性
極性(中性)
Neutral
5.68
Asn
N
アスパラギン
-3.5
40
200
5.000
-3.82
中性
極性(中性)
Neutral
5.41
※log PはOn-Line Log P Calculation掲載の実験値
※極性・非極性はChimeのProtein選択様式と関連(参考ページ)
《参考》1文字アミノ酸配列から各種HTMLデータを作成する秀丸マクロ
アミノ酸残基の疎水性インデックスとI'/O'値の比較(Glyを除く)
Positive
Negative
Neutral
Aliphatic
Aromatic
Pro & Gly
Cysteine
H,K,R
D,E
S,T,N,Q
A,V,L,I,M
F,Y,W
P,G
C
低分子は練習問題1[3]のアドレナリン,囲んでいるアミノ酸は Asn×2,Ile×1,Gln×1,Phe×1(何れも水素原子と二重結合は非表示)
※PDBsumデータ例2hkkより(画像作成ページ)
参考図:(-)-エピネフリン(アドレナリン)の受容体との結合
※山川ほか「メディシナルケミストリー 第5版」(講談社)p.25,野崎ほか「創薬化学」(化学同人)p.49
“鍵と鍵穴”を親水性・疎水性から考える
※もちろん凸凹の位置も重要ですが,その前にそれぞれの総量の比が同じことが必要条件になります。
アルコールで考える分子の親水性・疎水性(アルコールとフェノール参照)
コカインを含むPDBsumデータ例2pgzより(画像作成ページ)
※着色についてはアミノ酸および特性基の親水性・疎水性参照
参考図:コカイン(cocaine)の受容体との結合
※山川ほか「メディシナルケミストリー 第5版」(講談社)p.136
プロットより簡易計算機による概算値およびExcel計算シートによる数値から求めた「無機性/有機性」値が近いことがわかる!
※log P(赤字は計算値)の数値は以下より
→ Interactive LOGKOW Demo,On-line Lipophilicity/Aqueous Solubility Calculation Software
※参考:Log Pをポケットに!
環境ホルモンとして疑われている化合物のlog Pの有機概念図よりの推算
※分子と分子の相互作用参照