◆ 分子の重ね合わせ(9)/カルバペネム系抗菌薬と多剤耐性菌 ◆
抗生物質・抗菌剤/耐性菌/院内感染

 ペニシリンとD-アラニル-D-アラニンのページで,抗生物質が効かない耐性菌について以下のように記述しました。

 医療関係のニュースに時々登場するMRSAはメチシリン耐性黄色ブドウ球菌の略で,抗生物質のメチシリン(ペニシリン系に属する)に対する耐性ができたものである。最近,医療施設内で抵抗力の下がっている患者や高齢者がさまざまな感染症にかかってしまう院内感染が問題になっているが,MRSAに感染して死亡した例もある。バンコマイシン耐性菌(VRE)の出現も脅威となっている。
 そのような状況の中,2001/12/09の朝日新聞に『愛知県の病院で第三の耐性菌広がる 全国波及の恐れも』福岡大学第一内科感染免疫グループの記事参照)という記事が載り,“ほとんどすべての抗菌薬が効かない多剤耐性の細菌アシネトバクターが愛知県の病院に広がっている”とあり,この菌に有効な抗菌薬のカルバペネムもまったく効果がなかったと書かれています。
 カルバペネムはペニシリン系薬が共通に有するペニシリン骨格のS原子を欠いたカルバペネム核をもつ抗菌薬で,以下に示すパニペネム(panipenem)やメロペネム(meropenem)などがあります。


空間充填  球棒モデル  OFF
Electrostatic Potential  Lipophilic Potential

パニペネム(panipenem)
C15H21N3O4S
ChemFinder情報


空間充填  球棒モデル  OFF
Electrostatic Potential  Lipophilic Potential

メロペネム(meropenem)
C17H25N3O5S
ChemFinder情報


球棒モデル  空間充填  OFF(スティック)
色分け1  色分け2  OFF(CPK)
初期化(色分け1のスティックにし,重ね合わせ元原子のみ球棒)
色分け1でパニペネムを球棒  色分け1でペニシリンGを球棒

パニペネム(カルバペネム系)ペニシリンG(ペニシリン系)の重ね合わせ例
※重ね合わせ計算元の各基本縮合環を球棒表示

・色分け1(Chain):赤がパニペネム(カルバペネム系),青がペニシリンG(ペニシリン系)
・色分け2(Group):主にグループ(置換基)で色分け

空間充填  球棒モデル  OFF
ペニシリン基本構造を球棒表示
Electrostatic Potential  Lipophilic Potential

【参考】ペニシリンG
C16H18N2O4S
ChemFinder情報


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