参考:モノはなぜ見える/レチナール,ビタミンA,カロチン
バクテリオロドプシン中のall-trnas-レチナールの構造変化例(酸素原子は省略)
※PDBデータ1R2Nから抜粋作成したアニメーション(表示時間の長いカットは,環のねじれに変化が見られる構造)
連載89で取り上げた書籍,
このような大地震と余震の両方を観測できた例はほとんどないが,この結果に基づいて一般の色素タンパク質の動きを類推することができる。色素タンパク質は可視光を照射すると光を吸収する。その分子が発光によりエネルギーを放出しない限り,入射した光エネルギーは熱エネルギーに変換され,タンパク質を通って水に移されるが,そのエネルギー移動の時間スケールは1ピコ秒程度である。そのエネルギーの一部が発色団の構造変化に使われ,それがタンパク質の構造変化という余震を引き起こす。その時間はタンパク質の冷却時間より100倍以上遅いが,そのことがタンパク質の機能の発現に関係しているとが多い。したがって,余震の起こり方はタンパク質ごとにかなり異なる。視覚,植物の光合成,光屈性などに対しても光応答が時問を変数として詳しく調べられている。一般的に,初期反応を非常に速くすることによって逆反応を少なくし,反応の前進効率を高めることができるといえる。反応がもとに戻る可能性が低いレベルまで震源地の反応を進めてから,タンパク質の構造変化による余震を起こし,生理作用を生みだすような精緻なしくみをつくっているのでないかと考えられる。この問題についても未解決な部分が多く存在する。今後の若い研究者の挑戦に期待したい。この中の視覚に関係するタンパク質についてはすでに連載85でロドプシンを取り上げましたけれど,そこでは 11-cis-レチナール に光が当たって all-trnas-レチナール に構造変化することが重要です(モノはなぜ見える参照)。
※参考:4原子分子における分子内振動の種類(同章,p.140)→ 計算化学の概要,分子振動データ集
伸縮振動の例
変角振動の例
ねじれ振動
#印のタンパク質全体のデータは以下の表示変更可 ※amino表示の凡例 ASP GLU CYS MET LYS ARG SER THR PHE TYR ASN GLN GLY LEU VAL ILE ALA TRP HIS PRO = 以下の表示はアミノ酸の親水性・疎水性参照 = ※酸性・中性〈芳香族〉・塩基性アミノ酸区別表示の凡例 ASP GLU GLY ALA VAL LEU ILE CYS SER THR ASN GLN PRO MET PHE TYR TRP LYS ARG HIS ※極性〈酸性・塩基性〉・非極性(疎水性)アミノ酸区別 SER THR TYR CYS ASN GLN ASP GLU LYS ARG HIS GLY ALA VAL LEU ILE PHE PRO MET TRP ※hydropathy index順 ARG LYS ASN ASP GLN GLU HIS PRO TYR TRP SER THR GLY ALA MET CYS PHE LEU VAL ILE ※等電点順 ASP GLU CYS ASN PHE GLN TYR SER MET TRP VAL GLY LEU ALA ILE THR PRO HIS LYS ARG |