2001年12月,世界で初めて風邪ウイルスに直接作用して人の細胞への感染を防ぎ,風邪を早く治す薬が開発されたとして,FDA(米食品医薬品局)へ承認申請されたニュースが話題になりました。
バージニア大学のフレデリック・ヘイデン博士の研究による新薬の化合物名はプレコナリル(pleconaril)で,承認されれば資金援助した米バイロファーマ(ViroPharma)社からピコビール(Picovir)という商品名で発売さる予定です。風邪を引き起こすウイルスにはいろいろありますが,代表的なものにライノウイルスがあります。プレコナリルはウイルス表面の細かい溝に入り込み,ウイルスが人体の細胞に入り込んで感染するのを阻止して効果を示すと報告されています。
インフルエンザウイルスが原因のインフルエンザの新しい治療薬も次々と登場していますので,以下で分子モデル等を紹介します。
●風邪薬(ライノウイルスなどを攻撃) ●インフルエンザ治療薬 ※リン酸オセルタミビルが抗インフルエンザウイルス薬(商品名タミフル/Tamiflu) ※ザナミビル水和物として利用(商品名リレンザ/Relenza) ※塩酸アマンタジンとして利用(商品名シンメトレル/Symmetrel など)
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風邪薬・インフルエンザ治療薬関連分子を含んだタンパク質例
(初期表示はプレコナリルを含むPDBデータ1C8MのModel 1)
※PDB部分データ集および一部はPDBデータのLigand結合部位にも収録
※〈 〉が治療薬関連分子名,→ でオリジナルPDBデータ表示 |
※amino表示の凡例 ASP GLU CYS MET LYS ARG SER THR PHE TYR ASN GLN GLY LEU VAL ILE ALA TRP HIS PRO = 以下の表示はアミノ酸の親水性・疎水性参照 = ※酸性・中性〈芳香族〉・塩基性アミノ酸区別表示の凡例 ASP GLU GLY ALA VAL LEU ILE CYS SER THR ASN GLN PRO MET PHE TYR TRP LYS ARG HIS ※極性〈酸性・塩基性〉・非極性(疎水性)アミノ酸区別 SER THR TYR CYS ASN GLN ASP GLU LYS ARG HIS GLY ALA VAL LEU ILE PHE PRO MET TRP ※有機概念図I/O値順(特性基 R) ASN SER ASP GLN GLU THR ARG HIS GLY LYS TYR TRP CYS MET PRO PHE ALA VAL LEU ILE ※同上(アミノ酸) GLY SER ASN ASP GLN THR GLU ALA ARG HIS VAL LYS CYS PRO LEU TYR ILE MET TRP PHE ※等電点順 ASP GLU CYS ASN PHE GLN TYR SER MET TRP VAL GLY LEU ALA ILE THR PRO HIS LYS ARG |
インフルエンザウイルスの構造;サブタイプを決めるのがヘマグルチニン(HA)とノイラミニダーゼ(NA) → 鳥インフルエンザ情報
※インフルエンザウイルス Q&A−特徴と性状−(東京都立衛生研究所)などを参考に作図
シアル酸と抗インフルエンザウイルス薬のザナミビル(プラグ薬の例);親油ポテンシャル表示
※「別冊日経サイエンス143 世界を脅かす感染症とどう闘うか」,p.51参照
ザナミビルを含むPDBデータ1a4gののChain A