素晴らしきDiscreet music達 NEW AGE / HEALING

はたしてIn the Nurseryの曲は地味なのか? という根本的な疑問もありますが、少なくとも「中庸的」な音楽である、という気持ちが私にはおおいにある訳でして、結局そういう思いがつい「地味だ」とかいう言葉を口に出させてしまうのでしょう。勿論だからといってこの地味という言葉が直接否定意見でないというのもまた事実でして。
さて前振りはこの位にして、ここでは強烈なインパクトというものが無いにもかかわらず、素晴らしい音楽が詰まったアルバムを紹介しようと思います。別にITNとは直接関係はありませんけど、聞きやすさ、トゲのなさ、でもしっかり個性を持っている、という点では共通しているかもしれませんね。

NEW AGE / HEALING Eddie jobson 姫神 David van tieghem
POP / ALTERNATIVE Beach boys XTC Fra lippo lippi THINKMAN Wolfsheim

The Frank and Walters GANGway Matt pond PA Radical Face PlayRadioPlay! NEW
TECHNO / ELECTRONICA Hausmeister Brainbug MARZ Colleen Cathode Ulrich Schnauss

Figurine
AMBIENT / CONTEMPORARY Andrew Poppy Brian Eno William basinski Johan Johannsson
 
Unbreakable Brian McBride Liam Singer




Eddie Jobson / Theme of secrets
1. Inner Secrets
2. Spheres Of Influence
3. The Sojourn
4. Ice Festival
5. Theme Of Secrets
6. Memories Of Vienna
7. Lakemist
8. Outer Secrets



©Private inc.
1985 Release

今までアナログ版しか持ってなかったんですが、最近ようやく捜していたCD版をゲット出来て一安心。このEddie jobsonという人は元々UKやロキシーミュージックとかキング・クリムゾンとかビッグネームなバンドを渡り歩いていたキーボード奏者で、このアルバムは彼のソロ第2弾として出たもの。ファーストアルバムは彼のキャリアもあってか、プログレ寄りな内容だったようですが、未聴なのでなんとも言えません。
しかしこのセカンドはニューエイジミュージックのレーベルとして名高いプライベート・ミュージックからリリースされたので、まさにニューエイジの王道を貫く一枚になっています。
やっぱりプログレ色の濃いファーストの方が評価が高いみたいですね。何しろこのセカンド、ニューエイジ・アンビエントのお手本のような内容で、ひたすら静かで哀愁漂う美しいメロディで覆われていて、まさに「地味」という言葉がぴったりくる内容だからです。
しかし、地味といっても退屈な「地味」とは違い、あくまで表面的なイメージから来る「地味」であって、実はかなり聞かせる内容だと思っている訳ですよ。その辺はまさにITNと良く似ているのかもしれません。

同じメロディラインを、様々な別アレンジで聞かせる手法はまるで映画のサウンドトラックのようです。実際、このアルバムの曲が、多分トレイラーのみでだと思うんですけど、大島渚監督の「マックス・モン・アムール」とかに使われていたと記憶します。でもこの映画は正直・・・(爆)

私的には、冒頭の「Inner secrets」でもう昇天です。なんという美しさ。泣きたくなる音楽とはまさにこれのことを言うのでしょう。続く「Theme of secrets」でもうマジで泣きそうです。勘弁してください(笑)

ちなみにこのプライベート・ミュージックは私お気に入りのレーベルで、デザインコンセプトも気に入った事もあって所属アーティストをかたっぱしから購入していた時期もありました。でも、結局最後まで私の中で記憶に残ったのはDavid van tieghemとこのEddie jobsonだけでしたね。

ただ、この初期の頃のプライベートミュージックのアルバムは当然のように、のきなみ廃盤なので残念。こうして紹介しても、入手困難なのですから困ったものです。

この人の経歴上、どうしても「プログレ」という言葉が離れないのも宿命って感じではあるんですが、こんな地味な作品ですら、やはりプログレ的解釈も出来るらしくて。私はプログレの何たるかをよく理解しきれてないのでどこがどうなのかなんて分からないんですが。
ただ、例えばキング・クリムゾンの「キリムゾンキングの宮殿」とかを聴くと、たしかに美しくて素晴らしい曲が入っているので、傑作という言葉に偽りはないという事は分かるんですけど、やっぱりこのアルバムの1曲目、激しいジャムセッションのような曲は到底私には耐えがたい曲であり、こういうもの全てを含めてプログレと定義するのであれば、やっぱり私には肌に合わないジャンルだという事になりますね・・・。



姫神 / 久遠の空〜風の縄文II〜
1. 風の彼方
2. 花の久遠
3. 祈り遥か
4. この草原の光を
5. 春の風
6. 幻野
7. 十三の子守唄
8. 風恋歌
9. 虹祭り
10. まほろば(atmosphere mix' 97)


©Pony canyon inc.
1997 Release

とりあえず追悼の意味も込めて。というかいずれはここで紹介したかったんですけどね。でもまさか亡くなってしまわれるとは・・・。世の中、本当に何が起こるか分かりません。
さて姫神の音楽については何もことさら説明する必要は無いような気もしますが、喜多郎や富田勲と並んで日本のニューエイジサウンドの代表格といっても過言ではないでしょう。

星吉昭氏のソロプロジェクトである姫神は、日本古来の風土を匂わせる独特のシンセサウンドで一世を風靡し、ことにNHKなどの教養番組のBGMとして多用されたおかげで誰しも一度は聴いたことのある音楽。初期の頃の姫神は「シンセサイザー」なんていうジャンルで語られていましたが、喜多郎と同じく当時のシンセの音色を色濃く反映していたので当然といえば当然。しかし95年に発表した「マヨヒガ」で姫神は大きな転機をむかえる事になります。ビートやリズム、サンプリングなどの最先端の流行を取り入れ、地方の独特なコーラスなども織り交ぜ、まさに新しい姫神が誕生しました。
当時飛ぶ鳥を落とす勢いだったディープフォレスト等の影響もたぶんにあるんでしょうが、姫神はそれをうまく自分の中に取り込んで独自の物にしたので、あまり違和感がありませんでした。まあかつてのシンセサウンドをこよなく愛する従来のファンにとっては戸惑いを隠せない変更だったようですが、この路線変更により、意外と姫神サウンドとボーカルの相性が良いことが判明したのでした。結果「神々の詩」などの大ヒット曲が生まれるに至ります。

さて、姫神はこうして前期と後期に分けられるのですが、なにしろ多作な人だったので軽く30枚近くはアルバムがリリースされています。私は初期からの熱狂的なファンだった訳ではないですし、所有しているアルバムもその中のほんの一握りに過ぎませんが、まあとりあえず挙げるとするならこのアルバムを挙げます。

これは後期にあたるアルバムなので、例のエミシ・ヴォイスなる独特のヴォーカルもフィーチャーされています。まあしかし「神々の詩」のようなパンチの効いた曲は確かに無いんですけど、全体的に凄く聴きやすく、かといって退屈でもなく、実にいい感じの微妙なラインなんですよね。

とは言え一曲目の「風の彼方」とかは極上の美しい名曲だと思いますし、どの曲もとても印象深く、そしてとにかく明るい。サウンドが変わっても、あの独特のうねりを効かしたシンセの調べは相変わらずなのでどこを取っても姫神は姫神なままです。前期のサウンドも物凄く懐かしい気分にさせされるのでこれも捨てがたい味がありますが、やっぱり個人的には後期のアプローチの方が好きです。確実にクオリティも上がってますしね。
それにしてもほとんどの音が人工的に作られた音なのに、なぜこうも暖かく、ノスタルジーあふれる音楽なのか。もちろんそれは姫神の音楽が日本風土に根強く土着したサウンドであるから、私達日本人の心が揺さぶられる物を秘めているのでしょう。
いやしかし全アルバムが一枚も廃盤になっていないのが凄い。やはり定番中の定番という事なのでしょうか。


当たり前のようにTVで流れまくっていた姫神サウンドですが、もう新作が聴けないかと思うと残念。しかし息子さんが後を引き継ぐらしく、どうなっていくかは分かりませんが、とりあえずゆっくり見守る事にしましょう。

David Van Tieghem / Safety in numbers
1. Galaxy
2. Thunder Lizard
3. Crystals
4. Night of the Cold Noses
5. Future
6. All Safe
7. Skeleton Key
8. Clear
9. Deep sky
10. A Wing and a Prayer


©Private inc.
1987 Release

私のお気に入りのアーティスト、David van tieghem。ミュージシャンと言うよりはパーカッショニストと言った方がしっくりくる彼は打楽器演奏者であり、自分で作品を出すよりも、他のアーティストの作品に参加して打楽器を担当する方が圧倒的に多いため、自身の作品はたいして出してないのですが、一緒に仕事をしたアーティストは数知れず、坂本龍一やローリー・アンダーソン、スティーヴ・ライヒなどの重鎮達はもちろん、その周辺の前衛アーティストとも交流が深く、一体どれだけの人達とコラボレートしているのか正直把握出来ません。
そもそも後ろの方で打楽器を演奏する人なんて元々目立たないし、誰が何の楽器を演奏していたかなんて普通そこまで気がまわりませんから、例えばライヒの「18人の音楽家のための音楽」のあまりに規則正しく圧倒的な演奏を聴いて、実はそこで打楽器を演奏していたのがVan Tieghemだったなんて後から知る事になり、へえー、そうなんだ納得〜、というパターンになる訳です。

納得〜、と書きましたが、この人の演奏は神業とも言える代物で、トップミュージシャン達が彼を起用したがるのも無理はありません。映像クリエイター、ジョン・サンボーンとのコンビで作られたフィルム作品を見れば歴然。ここで彼は街中の物を打楽器代わりにしてしまうというコンセプトのもと、ありとあらゆる物をスティックでリズミカルに叩いていきながら移動していくだけなんですが、それが凄い。とても常人では真似出来ないようなスピーディでリズミカルな演奏。街の鉄屑やビルの壁とか、そんなのを叩いても音楽として成立させてしまう技術レベルの高さ。 まあそれが凄いのでどうしてもその話に終始してしまうのが彼の不幸ではあるんですが、ソロで出したオリジナル作品も負けていません。


これはプライベート・ミュージックからリリースされた、彼にしてはセカンドにあたるアルバム。デビューアルバムは打楽器演奏者を意識した、いかにもパーカッションを前面に打ち出した内容で、あまりメロディアスな内容とは言い難いものでしたが、今回はフィアライトなどのシンセや様々な楽器を導入し、とてもバラエティに富んだ音色で、メロディアスなニューエイジサウンドに仕上がっています。パッと聴いてもパーカッショニストのアルバムって感じはしないです。

とはいえパーカッショニストよろしく、どれもビートが効いていて非常にリズミカル。当時のニューエイジミュージシャンの代表的存在だったパトリック・オハーンやヤニーといった人達が基本的にノンビートだった事を考えれば、かなり打楽器がメインに据え置かれたアルバムである事は確かです。でもそれに終始せず、きちんとメロディを打ち出して聴きやすいサウンドにしてある所が、私がこのアルバムを傑作と思って疑わない理由とも言えます。


彼の存在同様、彼の作品は世間的にも全然認知度がないので、なんすかそれ? で話が終わってしまいそうですが、こんなにリズミカルで躍動的で、なおかつメロディアスな作品なんてそうはありません。これを突き詰めていってしまうと、いずれはクラブミュージックやダンス物になってしまうでしょうが、これはそれを寸前で回避しています。つまりはリスニング向けの作品な訳で、今となっては多少音は古臭くなってしまった感は拭えませんが、充分現在でも聞き応えはある音楽だと思いますし、これは是非ともリイシューが望まれる一枚です。

あとこの人自身のキャラクターも面白いんですよね。前衛アーティストとの共作も多い彼は、映像作品にもよく顔を出していますが、風貌がどことなくのほほ〜んとしていて、凄く印象に残ります。このアルバムの「Galaxy」のビデオクリップはジョン・サンボーンが手がけていますが、ここでも特撮技術などを駆使してデヴィッドが相変わらず色んな物を叩きまくるという物なんですけど、あののほほーんとした顔で無表情で色んな物を叩いていくので、もう変な笑いが込み上げてきます(笑)。このビデオはケッサクなのでもう一度見たいのだけど、撮っておいたビデオが今となっては・・・のベータだったので、封印されてしまった(悲)。