◆ 生体分子と水素結合 ◆
〜 生体内にも建築家がいる? 〜


生体分子の機能を発言する高次構造は水素結合で保持されている!
上左:DNA部分構造例,上右:tRNA関連データ例(1ml5のChain B・C;コドンと遺伝暗号表参照)
下左:GFPの例(1hcj),下右:イオンチャネルタンパク質の例(1bl8)

※中央のサグラダ・ファミリアの画像は美学ホームページ主宰者から提供していただいた写真を加工したものです.
[TOPIC] 2003/10/04-12/14,東京都現代美術館で「ガウディ かたちの探求」展開催中 → フジテレビの情報(展覧会のみどころ)

※このページにデータを追加して,第56回 Super Science Seminar(2003/12/27,京都)の講義用資料「生体分子のかたちの不思議」を作成しましたのでご利用ください。



ある原子の構造の模式図と“自然界の4つの力”



電気陰性度


  
分子の極性・無極性(左;参考ページ)と水素結合の構造(右;最上段でXYは電気陰性度の大きい原子)



参考:氷構造の例 → メタン,アンモニア,水



参考:結合の手の数(原子価;配位結合やイオン結合ができる場合に注意〔例:NH4Cl〕) → 塗り絵による分子クイズ
※PDB形式のデータでは多重結合も単結合で表示され,H原子が省略される場合が多いことに注意する.


生体分子中の水素結合の例(太字はPDB ID)
《 水素結合は原子種と結合距離などから自動描出されるため,不要な結合が表示される場合もある 》
●DNA関連
DNA部分構造例 …初期表示
  DNA部分構造例(A-T)
  DNA部分構造例(G-C)

1n4eのChain A・B(チミンダイマー含む)
●Protein関連
6rsa
  6rsaのα-helix部分の例(Tyr25-Ser32)
  6rsaのβ-sheet部分の例(Val43-Val47 & Arg85-Ile81)…逆平行

1juy
  1juyのα-helix部分の例(Asp153-Leu172)
  1juyのβ-sheet部分の例(Val4-Gly8 & Tyr261-Ile265)…平行

●DNA+Protein
1bnz
●RNA(水素結合表示不可)
1g59のChain B(tRNAGlu
Backbone 2nd Structure Termini
Ligands表示 OFF
Water表示(*印データのみ)  OFF

全選択 Ligand選択 Protein選択
DNA/RNA全選択 同backbone選択

空間充填 球棒 スティック OFF
CPK amino DNA/RNA(ATGCU
Proteinラベル表示 OFF
Dot Surface表示 OFF
水素結合(細) 同(太) OFF
Specular OFF 光量30% OFF
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酸性・中性・塩基性アミノ酸区別
極性・非極性区別
疎水性インデックス順
等電点順


※amino表示の凡例
ASP GLU CYS MET LYS ARG SER THR PHE TYR
ASN GLN GLY LEU VAL ILE ALA TRP HIS PRO

= 以下の表示はアミノ酸の親水性・疎水性参照 =
酸性中性芳香族〉・塩基性アミノ酸区別表示の凡例
ASP GLU GLY ALA VAL LEU ILE CYS SER THR
ASN GLN PRO MET
 PHE TYR TRP LYS ARG HIS

極性酸性塩基性〉・非極性(疎水性)アミノ酸区別
SER THR TYR CYS ASN GLN ASP GLU LYS ARG
HIS
 GLY ALA VAL LEU ILE PHE PRO MET TRP

※疎水性インデックス順
ARG LYS ASN ASP GLN GLU HIS PRO TYR TRP
SER THR GLY
 ALA MET CYS PHE LEU VAL ILE

※等電点順
ASP GLU CYS ASN PHE GLN TYR SER MET TRP
VAL GLY LEU
 ALA ILE THR PRO HIS LYS ARG


水素結合の距離
分類 具体例 結合距離/nm






OH…O 0.272 (O-O 間)
OH…N 0.279 (O-N 間)
OH…S 0.331 (O-S 間)
OH…F 0.272 (O-F 間)
OH…Cl 0.312 (O-Cl 間)
OH…Br 0.328 (O-Br 間)
NH…O 0.289 (N-O 間)
NH…N 0.298 (N-N 間)
NH…S 0.342 (N-S 間)
NH…F 0.292 (N-F 間)
NH…Cl 0.323 (N-Cl 間)
NH…Br 0.337 (N-Br 間)
FH…F 0.244 (F-F 間)



アデニン(A) − チミン(T)
左図上から,
0.281 (N-O間),0.295 (N-N間)

グアニン(G) − シトシン(C)
左図上から,
0.270 (O-N間),0.291 (N-N間),0.301 (N-O間)



タンパク質では,離れているアミノ酸が協調作業をして機能を示す!(2fke・1j4rを例に)
左:2fke・1j4rと同じ下記アミノ酸配列ですべてα-helix構造にしたもの(MOLDA for Protein Modelingで組立て)とSITE部位の強調表示
GVQVETISPGDGRTFPKRGQTCVVHYTGMLEDGKKFDSSRDRNKPFKFMLGKQEVIRGWEEGVAQMSVGQRAKLTISPDYAYGATGHPGIIPPHATLVFDVELLKLE
中2つ:実際の2fkeとその活性部位(アミノ酸はすべてamino色表示)
右:2fkeの活性部位と同じ配列番号のアミノ酸をSITEとした1j4r
《参考》タンパク質の構築原理(理研ゲノム科学総合研究センター/タンパク質構造・機能研究グループ)



タンパク質の高次構造のいろいろ;スーパーフォールドの例(水素結合表示,Ligandは球棒モデル)
グロビン(1thb_A),アップ-ダウン(256b_A),UBαβロール(1ubq → ユビキチン
αβサンドイッチ(1aps_1),TIMバレル(7tim_A) doubly wound(2fox)
免疫グロブリンフォールド(2rhe),Trefoil(1i1b),Jellyロール(2stv)

※日本化学会 編,「化学便覧 基礎編 改訂5版」,図16.38,丸善(2004)/CD-ROM
※美宅成樹・榊佳之 編,「バイオインフォマティクス」,p.175,東京化学同人(2003)
※後藤祐児・高橋聡,『タンパク質フォールディングの昼と夜』,現代化学,2004年9月号,pp.26-33,東京化学同人


アミノ酸の親水性・疎水性
詳細版(有機性・無気性値含む)アミノ酸PDB部分データリスト別版
アミノ酸 分子式 CAS番号 疎水性
インデックス
 log P  酸性・塩基性 極性・非極性 等電点
Arg R アルギニン H2N(=NH)NHC3H6CCH(NH2)COOH 74-79-3 -4.5 -4.20 塩基性 極性(塩基性) 10.76
Lys K リシン H2N(CH2)4CH(NH2)COOH 56-87-1 -3.9 -3.05 塩基性 極性(塩基性) 9.74
Asp D アスパラギン酸 HOOCCH2CH(NH2)COOH 56-84-8 -3.5 -3.89 酸性 極性(酸性) 2.77
Asn N アスパラギン H2NCOCH2CH(NH2)COOH 70-47-3 -3.5 -3.82 中性 極性(中性) 5.41
Glu E グルタミン酸 HOOCCH2CH2CH(NH2)COOH 56-86-0 -3.5 -3.69 酸性 極性(酸性) 3.22
Gln Q グルタミン H2NCO-CH2CH2CH(NH2)COOH 56-85-9 -3.5 -3.64 中性 極性(中性) 5.65
His H ヒスチジン H2NCH[CH2(C3H3N2)]COOH 71-00-1 -3.2 -3.32 塩基性 極性(塩基性) 7.59
Pro P プロリン (C4H8N)-COOH 147-85-3 -1.6 -2.54 中性 非極性(疎水性) 6.30
Tyr Y チロシン HO(C6H4)CH2CH(NH2)COOH 60-18-4 -1.3 -2.26 中性 極性(中性) 5.66
Trp W トリプトファン (C8H6N)-CH2CH(NH2)COOH 73-22-3 -0.9 -1.05 中性 非極性(疎水性) 5.89
Ser S セリン HOCH2CH(NH2)COOH 56-45-1 -0.8 -3.07 中性 極性(中性) 5.68
Thr T トレオニン CH3CH(OH)CH(NH2)COOH 72-19-5 -0.7 -2.94 中性 極性(中性) 6.16
Gly G グリシン H2NCH2COOH 56-40-6 -0.4 -3.21 中性 非極性(疎水性) 5.97
Ala A アラニン CH3CH(NH2)COOH 56-41-7 1.8 -2.85 中性 非極性(疎水性) 6.00
Met M メチオニン CH3SCH2CH2CH(NH2)COOH 63-68-3 1.9 -1.87 中性 非極性(疎水性) 5.74
Cys C システイン HSCH2CH(NH2)COOH 52-90-4 2.5 -2.49 中性 極性(中性) 5.07
Phe F フェニルアラニン (C6H5)CH2CH(NH2)COOH 63-91-2 2.8 -1.38 中性 非極性(疎水性) 5.48
Leu L ロイシン (CH3)2CHCH2CH(NH2)COOH 61-90-5 3.8 -1.52 中性 非極性(疎水性) 5.98
Val V バリン (CH3)2CHCH(NH2)COOH 72-18-4 4.2 -2.26 中性 非極性(疎水性) 5.96
Ile I イソロイシン C2H5CH(CH3)CH(NH2)COOH 73-32-5 4.5 -1.70 中性 非極性(疎水性) 6.02
※疎水性インデックスは以下を参照;Kyte and Doolittle, J. Mol. Biol., 157, 105-132(1982)
※log PはOn-Line Log P Calculation掲載の実験値(参考ページ
※極性・非極性はChimeのProtein選択様式と関連(参考ページ
《参考》分子と分子の相互作用(QSARと有機概念図から)1文字アミノ酸配列から各種HTMLデータを作成する秀丸マクロ



※疎水性インデックス順に示したアミノ酸(上段の左から右へ昇順) → アミノ酸
※構成元素は,H,C,N,O,S の5種類



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