私は結構昔からボードゲームが好きで、片っ端から買って高校時代の友人達と集まってはプレイしていた時期がありました。しかし今となってはそういった人々との交流もなくなり、人と遊ぶ機会がめっきり、というか完全に無くなってしまった(爆)今となっては、こうしたゲームが活躍する場もある訳もなく、押し入れの奥に押し込まれた状態が続き、勿論こういったゲームを購入する事もなくなっていました。
基本的に内向的な私は、いくらゲームがプレイしたいからって、日々開催されているゲーム定例会みたいなコミニュティに参加して、見ず知らずの人と一緒にゲームを囲む気にまではさすがになれない性分なので、すっかり遠のいていました。
ところが最近になって、私の中で久々にボードゲーム熱が再加熱、その理由は大きく分けて2つあり、ひとつは社内でもっと色んなタイプのゲームを体験すべきだろうと言うことで、同僚達と久々にボードゲームをプレイした事。そしてもう一つが、ドイツのゲームデザイナー、Reinhold
Wittig(ラインハルト・ウティッヒ)のゲームを知ってしまった事。
ネット上でこの人のゲーム、「Wabanti」や「Baubylon」なんかを見たとき、ビビッと電気が走ったのを感じました。そういう時はえてして私の感性とベストマッチした時なので、もう有無を言わさず彼の作ったゲームが気になりだし、ネット中を巡って情報収集し、ゲームを購入したりしました。
ここで最近のボードゲーム市場の事を詳しく知らない方のために多少説明しておきましょう。現在、世界中でボードゲームは作られていますが、中でも最もボードゲーム作りに熱心なのがドイツで、クオリティの高いゲームのほとんどはここから出ています。ドイツゲーム大賞という賞を設けて毎年優れたゲームを表彰しており、賞を受けたゲームは面白さが保障されたも同然とあって、非常に権威ある賞になっているようです。
それに日本とは違い、それぞれのゲームには、このゲームを作った作者名がパッケージに刻まれているのが普通で、著名なデザイナーとなれば、この作者なら面白いに決まっている、というユーザーからの信頼を受け、名前だけで売れてしまうといった現象も起きる訳です。
こうしたドイツ産のボードゲームは当然世界中のボドゲーファンから絶大な人気があり、日本でもその地位は揺るがず、現在でも専門店等が和訳をつけて売っています。
さて、Reinhold Wittigの話に戻ります。彼もまた著名なドイツのボードゲームデザイナーの一人です。とは言え、日本のボドゲーファンの間でも有名なクラウス・トイバーやライナー・クニツア、アレックス・ランドルフといった傑作を次々生み出しているデザイナーと比べれば、全然マイナーな存在、ドイツではそこそこ有名でも、ここ日本では全く知られていない人物の一人と言っても過言ではないでしょう。
Reinhold Wittigが主に活躍したのは70〜80年代だったので、最近は滅多にゲームは出していないように思えたのですが、どうも勘違いだったようで。メジャーメーカーから出る作品が減ってるだけで、個人メーカーから今でも作品を出しまくっています。
彼はEdition Perlhuhnという、その例の個人メーカーを運営しており、ここから大半の自作ゲームをリリースしています。個人メーカーなので、感覚としてはほぼ自主制作の同人ゲームと大差ありません。ここから出た幾つかの秀作ゲームがドイツの大手メーカーからリメイクされたりもしています。絶版となったこのオリジナルのEdition
Perlhuhn版のゲームはレア度が高く、滅多に市場に出ないようです。
私が彼のゲームに惹きつけられたのは、直感的な物なのでなんとも言えないのですが、幾何学的な美しさ、常人では考えつかないようなデザインや発想、そしてちょいっと地味な所(笑)、とかなのかもしれません。なんにしても、私はボードゲームに対して、箱を開けた瞬間に感じるワクワク感という物が大事だと思っており、それは「ゲームをしている」という充実感に繋がります。そういう意味では、非常に独特なデザインが多い彼のゲームは、思わず所有したくなるコンポ−ネントがそのワクワク感を増大させていると思う訳です。
しかし、彼のゲームのほとんどは和訳すらされていないばかりか、ほとんどは日本に入って来てもいません。そんな状態の中、なんとか和訳されている物や、されてないけど買わずにはいられなかった物(笑)も含めて紹介していこうと思います。恐らく日本国内では、これがwittigゲームに関する、初にして一番詳しいデータベースになる可能性が高いです。これを機会に是非彼のゲームの魅力を再認識してしてだければ幸いです。ま、残念ながらどマイナーなだけにオークションにも滅多に出てこない上に絶版になったゲームも非常に多いですけどね・・・(爆)
ただ近況として、09年の段階でEdition Perlhuhnのサイトから直接ゲームを購入可能となったため、結構絶版で入手困難だった一部のゲームが手に入りやすくなりました。
詳細についてはBlog内のこの記事にて。
Money Monsoon、Rapa Nui、 Wind Cityを追加。(2009/12/13)
Das Spielの和訳ルール更新しました。Ver.2.0(2009/08/13)
ゲーム一覧 (09/12/13 UP)
Adams Ahn Arbora Baubylon Cubus Das spiel Kopernikus Kula Kula Look in Maritim Moguli Money Monsoon Müller & Shon Omgagi Piratenbilliard Rapa Nui Wabanti Wind City
Adams Ahn(アダムの先祖) 2〜6人
06年リリースの最新作です。wittig氏のゲームのほとんどは日本に入ってきていませんが、これはめでたく日本でも販売されました。
彼の特徴であるシンプルな幾何学的デザインが際立った、いかにもwittig氏らしいゲームのひとつです。
カラフルな配色のタイルが山のように積まれています。いきなりゲームっぽくない様相に一瞬戸惑いかねませんが、まあwittig氏のゲームを前にこれしきの事で驚いてはいられません(笑)。
これは地層をイメージしていて、これを上の方から順次掘り起こしていき、一番最下層にある貴重な化石を発掘しようというゲームです。
プレイヤーは上の方から順番にタイルを取っていきます。勿論、途中のタイルを引き抜くのはナシです。そうやって順次タイルを取っていって、全てのタイルを取り終えた時点でゲーム終了となります。
タイルには色によって重要度(得点)が決まっていて、黄色は価値がなく、黒や緑はそこそこ、赤はまちまち、そして青は価値あり、金色が最も価値ありという風に、ランクがあります。なので最終的に取ったタイルの得点を合計し、最も得点の高いプレイヤーが勝者となります。となると当然青や金色といったタイルを出来る限り取る必要が出てきます。逆に黄色はあまり取りたくない訳です。しかし取る順番は上からと決まっているので、取りたいけど取れない、取りたくないのに取るハメになったりします。
勿論、ある程度の選択肢はあるので、その辺がプレイヤー間の駆け引きになります。
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タイルには凹凸があるので
ブロックのように簡単に
積むことが出来ます。
何か他にも色々と遊べそう(笑) |
黄色は0点、黒は1点、
でも金色は10点。この差はデカイ。
赤は−4〜6点とバラバラ |
分かりにくいですが緑タイルの
下に5点の青タイルが。
緑は取りたいけどそうなると
次プレイヤーがおいしすぎる・・ |
あるタイルを取ると、下の価値のあるタイルが顔を出し、次のプレイヤーにご奉仕してしまう事になる、という場面にはよく直面し、そうなるとみんな警戒してそのタイルを取りたがらなくなります。そんな膠着状態を打破するのに効果を発揮するのが赤タイルです。
赤タイルは裏に様々な事が書かれていて、アクションカードとして使用する事が出来ます。
もしダブラー(Doppler)というタイルだったら、自分の番の時に捨てて、2枚連続で取ることが出来ます。これならまとめて取れるので警戒している場所を崩す事が出来る訳です。
またストッパー(Stopper)というタイルなら、順番に関係なく、そのタイルを邪魔タイルとして山の上に配置する事が出来ます。これは手前のプレイヤーが価値あるタイルを取ろうとする時に配置すると効果絶大です。そうなると手前プレイヤーは邪魔タイルを取らされるハメになり、自分が価値あるタイルをまんまと取る事が出来るからです。ただし他のタイルを選択出来る余裕があれば邪魔タイルをみんな避けてしまうので意味がありません。
こうして、最下層の数少ない金色タイルをめぐってなかなか熱い駆け引きが起こります。しかも基本的に価値なしの黄色タイルは得点ゼロなのですが、最もこのタイルを獲得したプレイヤーにはボーナスとして15点貰えるというルールがあるので、これも結構バカに出来ず、これまた駆け引きの要素となっています。
ゲーム自体がシンプルな上に駆け引きの部分も分かりやすいためか、プレイしてみた所、結構周りの評判は良く、タイルを山積みにするという特殊なルールやシンプルなデザインにも関わらず、Wittig氏のゲームにしては万人にお勧めできるゲームのひとつと言えるかもしれません。運の要素も高いゲームではありますが、相手のタイル取りの動向を常に気にして牽制しあう様子はいかにもゲームっぽい感じなので良いですね。
このゲーム、日本の一部ゲームショップで売られていましたが、09年現在で入手は困難なようです。捜せばまだあるかもしれませんが。 でも、もしそうでなくとも元々14ヶ国語対応したルールが入っているので、海外から個人輸入しても問題ありません。
今なら、ギゼーの公式サイトから購入可能になっています。
Arbora 2〜6人
ドイツゲームメーカーの大手、French-Kosmos(のちにKosmosと改名)からリリースされたゲーム。とはいえ、箱にはEdition Perlhuhnの文字が。どうやら名義上はEdition Perlhuhnブランドで出ているようです。
まずコンポーネントの大量のコマが目に付きます。そしてボードは板ではなく、ゴムマットが丸めて収納。なぜにゴムマットなのかと言うと、wittig氏のメーカーEdition
Perlhuhnから出ているゲームはみな、マットボードを丸めて筒状のケースに収納していたためで、それを踏襲したためと思われます。
Arboraはエコロジーをテーマとしており、植林して汚染物を取り除いていくのが目的です。ボード上に並べられたコマはどうやら汚染物を表しているらしく、これをより多くボードから除去したプレイヤーが勝者となります。
プレイヤーは順番にカードをめくり、それをボード上に敷いていきます。しかし2枚目以降は、既に置いてあるカードと絵柄が一致していないと置くことが出来ません。カードには4つずつ植物のシルエットが描かれていますが、この絵柄と同じ物を持つカードがあれば、その辺同士を繋げて配置する事が出来ます。合う物が無ければ手元に表にして置きます。
こうしてカードを出していると、カードがコマを囲って封じ込める部分が出てきます。コマを封じ込めたプレイヤーはそのコマを取り除き、そのままポイントとなります。それ以外にも一列が埋まったときもコマを取得出来ます。
要するにこのゲーム、絵柄を合わせつつコマを囲って取り除いていく訳ですが、手元や引いたカードに、場に出せるカードがある場合は、何が何でも出さねばならないというルールがあります。実はこれ、どういう事かと言うと、出せるのに出さなかった場合はペナルティとなる訳です。もし出せるのに気づかず、他プレイヤーからそれを指摘された場合、権利を横取りされてしまうのです。
つまりこのゲームの駆け引きの部分とは、いかに「見逃しという過ちを犯さないか」という事につきます。ところが困った事に植物が描かれたカードはシルエットな上に違いが非常に微妙な物が多く、わざとまぎわらしいデザインになっており、間違いやすくなっています。(間違いを指摘されてもペナルティが発生する)
神経衰弱のように一致するカードはぞれぞれ一つずつしかないので、それぞれのポイントを埋める事が出来るカードは一枚しかありません。そんなんじゃ一生埋まらないポイントとか出来そうですが、面白いことに、必ず全てのマスが埋まるようになっています。不思議ですね。
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超紛らわしい事この上ない絵柄。
上部のカモメみたいな葉っぱは皆微妙に
形や数が違い、同じなのは左側の
上下2枚だけです |
駒の周りを囲って2つ除去した所。
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実際にプレイした感じでは、後半になってくるとカードを置けるポイントが増えるので、見逃しの危険性が増え、全員が血眼になってボードを見まくるという状態に。「それを置かれたら一気に取られる、気づくな、気づくな〜」とか、「よっしゃあ、それ見逃してるよ。貰うね〜」とかいった心情になるゲームでした。場合によっては、自分がカードを置いたばっかりに、次の相手にコマを取れるようにするお膳立てをしてしまう場合があります。これを防ぐため、ポイントを1つ失点させる事で、置くことを一度パスする事が出来るのですが、なかなかそこまで頭が回らないため、このルールを使うことは難しいですね。
前述したように、見逃すかそうでないかというのがこのゲームのキモであるため、それ以外にあまり駆け引きが起きないのはちょっと尻つぼみな感じです。そこそこ楽しいんですけど、もうひとつ欲しいって感じですね。ただ、この人特有の幾何学的デザインが良く出たゲームのひとつだと思います。面白いかどうかは別にして(笑)。
ちなみにWittig氏は、このゲームに未練でもあったのか、ほとんど同じルールで「Nacht der Sterne」というゲームを後に出しています。こちらでは星座を作っていくという物らしいですが、基本ルールは変わっていません。
Arboraの和訳はルール和訳の綱にて公開されています。
Baubylon 2〜6人
ネットでこのゲームの写真を見たとき、私の中でビビッと電気が走りました。私をWittigゲームの世界に没落させた(笑)罪深いゲームの一つです。
手に入れたのはレアなFagus版。 まずこの重厚な木箱、そして見事なロゴのデザイン。ヤバイです。こういうデザインにはめっぽう私は弱いから困る。箱を開けると、長方形の積み木が大量に入ってます。そして小さな円柱駒が複数とダイス1個。
ちなみにこの名前は造語でしょうか。一見バビロンと読めますが字がちょっと違うんですよね。バービロンとか読むのが正しいのかな?
さて、このゲームなのですが、この積み木を使って、自由にフィールドを作り、そこを舞台にゲームをプレイするゲームです。パッケージにあるようなお城風の建物を作成し、そこの最も頂上となる部分に、誰よりも先に到達する事が目的となります。
なんとも変わったゲームですが、ルール的にはぶっちゃけすごろくです。サイコロを転がして、出た目分だけ進んでいくだけですからね。ただ、その道筋を自由に作れる点、また、他人の足を引っ張り合うルールが特徴的です。 積み木にはマス目や目印みたいな物は一切ありませんが、その上を駒が進む場合、2マス分と数えます。分かりやすい目印を付けても良さそうな所を、無垢のままにして野暮な説明を一切省いたデザインは分かりにくいですが、個人的にはこういうのは好きです。
高低差のある段を登ったり降りたりするには、その分だけ余計にサイコロの出目を消費します。実際1段上がるのに3マス分消費します。もし縦に積まれた積み木を登る場合は一気に5マス分です。しかも途中で他のプレイヤー駒がある場合は、それを乗り越えて進まなければなりません。上に乗っかったまま止まる事も可能で、そうなった場合、下の駒は身動きが出来なくなります。
こうして身動きが取れなくなる駒が出てくるので、プレイヤーは6個のコマを持ち、動かせないようなら新しい駒をどんどん入れて行くことが出来ます。また、誰でも動かす事ができる赤い妨害石も存在し、自分の手番の代わりにコイツを動かし、他人の邪魔をする事も可能です。
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売れ残り品だったせいか
駒を入れるための巾着袋が欠品して
いたようです。なので、木箱を2つ
買ってきて入れてみました。
なかなか雰囲気はよろし |
>見本にもある基本造形。
道が4通りあるのでばらつきやすく
下手をすると展開が単調に。
5,6人プレイ時にはいいかも
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参加人数が少ないなら
こんな一本道はどうでしょう
序盤は邪魔し合いで
デッドヒート化しそうですが・・・
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ゲーム自体はそれなりに面白いですが、結局の所、どういう城を作成するかどうかが面白さの大半を握っています。いくつも枝葉したルートを作ってしまうと、他プレイヤーとの干渉が無くなって淡々としたゲーム展開になってしまいますし、あまりにも困難なルートを作ると、みんなそこで行き詰まってつぶし合いになったりしますから、結構よく考えてクリエイトしないと、味気ないゲームになりかねません。
妨害駒の存在によって、誰かが独走したりしたときは、他者がこぞってこの妨害駒を使って潰しにかかるため、そういう状態にはなりにくいようになってはいますが、誰かがゴールするときは結構あっさりと決着がつく事が多いです。 という訳でいかにもWittigさんらしい地味〜な雰囲気が漂うゲームですが、自由にフィールドを作れる点は非常に魅力的ですし、ぱっとしないゲーム展開になった場合、「造り方が悪かったんだな」という方へ責任転化して根本のゲーム性の方には問われないような設計はさすがです(笑)
このゲーム、今となっては当然絶版ですが、現在はClemens Gerhardsという木製ゲームを出しているメーカーがこのゲームをリメイクして新版をだしており、これなら現在でも購入可能でサイトから注文も出来ます。ただし箱はカートン製、積み木もなぜか8本少ないという事で、ファンの間ではあまり評判はよろしくないよう。でも手に入らなよりかはマシでしょう。
Baubylonは現在和訳が存在しないため、仕方がないので自分でなんとか和訳ルールを作成してみました。他人の助け等も借りたものの、訳が間違っている可能性は当然あり得るので、その辺はどうかご愛敬ということで・・・。英文ルールはここにありますので、何か間違いに気付いたのならご一報していただけるとありがたいです。
Cubus 2〜6人
これも初めて見たときのインパクトは相当な物で、滅茶滅茶欲しかったゲームですが、中々手にいれる事が出来ず苦労しました。その苦労の甲斐があったお気に入りのゲームです。
コンポーネントはひし形をしたタイルのみなので、どちらかというとカードゲームに近いのかもしれませんが、どっちにしてもルールといいデザインといい、あまりに突飛な内容で驚きます。このひし形のタイルは正方形の箱の一辺を表しています。一つが箱の上面、そしてもう2つが箱の左右側面を表し、この3つを繋げると、見事箱が出来上がるという寸法。で、これで何をするのかというと、この箱をどんどん繋げて数を増やし、最も多く箱をくっつけて増やしたプレイヤーが勝つというもの。
まずは3つのタイルを使って一個の箱を作った状態でスタート。プレイヤーは山からタイルを引き、使用できるタイルを溜め込みます。 さて、場に出ている箱にもう一個の箱を繋げて増やすには、上面タイル一枚と側面タイルが一枚、計2枚あれば出来ます。これで箱は2つになります。さらに2枚のタイルを繋げれば箱は3つに。しかしこのゲーム、タイルをひとつ加える毎にマイナス1点、、箱が一つ増えれば3点を貰えます。ということは、2枚のタイルを使って箱を増やすと、差し引き1点しか貰えません。
つまりプレイヤーは出来る限り加えるタイルを最小限に抑えつつ、箱の数を増やすという方法を熟考しながらプレイしなければなりません。タイルの並び方は自由に組み替えても構わないため、なんと一枚も加えることなく数を増やすことさえ可能です。
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箱が3つになった所。
実はこの後、上面タイルを一枚
加えるだけで箱が一個増えます。 |
ゲームが進むとこんな感じに。
見えなくても、その後ろに当然存在
するであろう箱も数えるため、
この場合、箱は12個ありますね
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こんな風な目の錯覚的な
繋げ方は御法度です。
でも、エッシャーみたいでいいですねえ
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上の左の写真のような構図になるとチャンスです。上面タイルを一枚上部に加えれば、それだけで箱は4つになります。1ポイント失点で3点プラスなので2点貰えます。その上いくらでもタイルを組み替えても良いため、色々と可能性が見いだせそうなので、みんなウ〜ンと考え、ほとんどパズルを解いている感覚に近いです。(蓋が開いている上面タイルの下は動かせない、という変則ルールあり)
こっちの思惑通り、組み替えて箱が大幅に増えた時は難解な問題を解いた快感に近い物があり、かなりの達成感が得られるのですが、つい一人一人の思考時間が長くなってしまうため、制限時間を設けた方がいいかもしれません。
あと、これはイケそうだと箱を組み替えて見たものの、結局うまくいかず、元に戻そうと思ったら「あれ、さっきどんな形してたっけ・・?」という事態に度々なりました。こればっかりは、組み替える前に全員で元の形をしっかり覚えておくとかそういう対処をするしかないかもですね。
パズルを解く楽しみに近いゲームなため、何度もやっていると法則性が見えてきてしまう恐れがあるため、あまりリプレイ性は無いゲームかもしれません。しかし、見ているだけで目の錯覚を覚えるデザイン、エッシャーを意識したかのような絵柄、卓上に増殖していく箱群のシュールさといい、一度は体験しても損は無い独特なゲームです。現在は絶版ですが、リメイク版が出ているようで、Amazon.deで購入可能になっています。購入の仕方はここで紹介されています。しかし、このバージョン、中途半端にカラー彩色されていて、ちょっと雰囲気台無しなんですよねえ。まー、手に入らないよかマシなんですが。
Cubusの和訳は現在メビウス訳アーカイブにて公開されています。(コスモスのキューブ)
Das Spiel 2〜6人
詳しいことは良く分からんのですけど、Wittig氏の代表作はどれなんだって話になった場合、たぶんこのゲームとかは確実に候補に挙がってきそうなんですけどね。 Wittig氏のゲームはどれも見た目変わったゲームが多いんですけど、コイツはその点において群を抜いています。大量のサイコロがピラミッド上に積まれたこの一種異様な造形物を前にしたら、「え?これ何なの?」と誰もが質問したくてしょうがなくなる事うけあいです。
内容物は、サイコロを積み上げるために段々状になったベース板と、サイコロのみ。しかしサイコロは160個近く入っているので、結構壮観です。私が購入したABACUS社製のリメイク版は、実はこれでもサイコロの数は少ない方で、オリジナルのEdition Perlhuhn版では190個近くはいっていたそうです。そのかわり、ABACUS版では「55」という追加セットを購入することで、色違いのダイスを加えることが出来るようになっています。
さて、気になるのはこれで一体どういったゲームをやるのか? 実はこのゲーム、ルールがひとつという訳ではなく、いろんなゲームが用意されています。どれもそんなに長いルールではなく、まさにミニ・ゲーム集。 Wittig氏は各自ユーザーがどんどん新しいルールを作っていって欲しいと呼びかけており、その甲斐あってか今や50近いルールが公開されています。ダイスを積み上げたり、崩したり、数を見たり、と色々なタイプのルールがあるんですが、残念ながらABACUS版ではその内のよりすぐりしか紹介されておらず、ちょっと不満。そのかわり図解解説付きで分かりやすいですけどね。 他のルールはネット上でも公開されていますので、まあ問題ありません。英語だけど(爆)
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とにかくダイスの数に圧倒されます。
しかも追加キット「55」で幾らでも
ダイスの数を増やせます |
Pack ratをプレイ中。3人プレイ専用。
プレイヤーはピラミッドの一面ずつを
担当し、そこだけを見ます。
ダイスの出目を素早く探して取るゲーム。 |
ゲーム以外に、こうして
インテリア的に配置して
飾るというのもオツ。 |
実はこのゲーム、Baubylonと同じく未だ和訳されていません。リメイクもされて、Wittig氏の作品の中でも結構有名なハズなのに、何で未だにそっぽを向かれているんでしょう。やっぱりつまらないから?
英語ルールを機械翻訳したり、色々調べて何とか理解出来たルールがあり、それを試しにプレイした感じでは、そんなに悪くはなかったです。むしろ、今までにないプレイスタイルのゲームになるわけで、かなり斬新でした。
該当する出目のダイスを誰よりも先に見つけるゲームや、ひしゃくにダイスを入れ、場の上でひしゃくを傾けてダイスをばらまき、いかに自分のダイスをなるべく外側に積み上げられるかを競うアクションゲームとか他にも色々あります。ま、正直「面白いかねえ、ソレ」といったルールも結構ありますが、ダイスがピラミッド状に出来上がったり崩れたりする様は見ていてとっても斬新。例えつまらなかったとして、インテリアとして置いておいても全然問題ないデザインは素晴らしいです。
wittig氏がカスタムルール作りを推薦している事からも分かるように、このゲーム、実はある一定の法則に基づいて並んだパーツ群を見て、自由な発想でルールを構築する技術を身につけて欲しいという、いわばゲームルール作成支援ツールとして提示した作品、と捉える事も可能なのではないでしょうか。ルール読めねえとか言ってる暇があったら、とっとと自分で作れよ、って事ですかね・・・。
なお、このゲームも流石に今となっては入手難でしょうが、Edition Perlhuhnからならまだ可能でしょう。海外通販が可能なので、このゲームを日本から取り寄せる事が出来るようになりました。詳しいことはBlog内のこの記事にて。
Das spielは現在和訳が存在しないため、仕方がないのでこれも自分でなんとか和訳ルールを作成してみました。さすがに全部は訳しきれないので、10つのルールのみですが・・・。 訳が間違っている可能性は当然あり得るので、その辺はどうかご愛敬ということで・・・。英文ルールはAbacusの公式サイトにありますので(アメリカ国旗をクリック)、何か間違いに気付いたのならご一報していただけるとありがたいです。
Kopernikus 2〜5人
すべて手作りの木製ゲームを制作しているドイツのメーカーClemens Gerhardsから、Wittig氏がデザインしたゲームが幾つかリリースされていますが、その内のひとつ「コペルニクス」を入手しました。とにかく重厚な木製ボードや、雰囲気バリバリの豪華な駒を見ていると、それだけでワクワクしますね。見た目の美しさは、ボードゲームをプレイしているという充実感を高めてくれるという点では、なんだかんだで結構重要な要素だと私は思っています。 ま、それでいて面白いゲームなら文句無しなんですけどね。
コペルニクスは非常にシンプルなゲームで、ボード上の惑星駒の並びと、配られた4枚のカードの示す惑星図とを一致させれば良い、ただそれだけです。
プレイヤーは自分の手番でボード上の惑星のうちひとつだけを動かす事が出来ます。ただし時計回りで90度方向に動かすだけです。
そうやって動かした結果、自分の手持ちの惑星図カードと、ボード上の惑星の並びが一致した場合、そのカードを手札から捨てる事が出来ます。 これは他のプレイヤーが惑星を動かした時であろうと関係なく、カードと一致した時点ですぐさま手札から捨てる事が可能です。
こうして、7枚のカードを一致させて捨てたプレイヤーが勝利します。
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重厚で美しい惑星駒は雰囲気があり
素晴らしいです。
俄然やる気がでてきます(笑) |
相手の手番中、気付けば
あと少しでカードと一致しそうだ。
頼むから赤の駒をうごかしてくれぇ |
揃ったら場に出して確認し、
そのカードを捨てる事が出来ます。
もし間違ってたらムナシイ(笑) |
相手がどう揃えようとしているのかを探る手がかりはほとんど無いため、腹の読み合いという要素はほぼ無いと言っていいと思います。そのためかなり運の要素は強いです。 それとこのゲームの場合、上の方で紹介している「Arbora」と同じく、「気付くか気付かないか」というゲーム性が大半を占めた内容と言って良いかもしれません。
カードの向きには上下の決まりは無いので、カードをひっくり返して並びが同じになるのなら当然それは一致したという事になります。しかしカードをいちいち回転させて、「えーっとこれは一致してない、こっちは・・」なんてやっていると、他のプレイヤーの手番などは終了してとっとと惑星の並びは変わってしまいますから、ゆっくり確認しているヒマはありません。つまりボード上の並びと、カードの図が逆向きでも一致しているのかどうかを瞬時に判断できる思考能力が必要となってきます。
言ってみれば、最近流行の脳トレとかそんなトレーニングゲームに非常に近い雰囲気があります。ゲームのルールがシンプルなだけに、誰でもとっつきやすいゲームかもしれません。 ゲーム慣れした私のような人間にとっては、ある程度の読み合いが無いとちょっと物足りなく思えてしまうので、もう少し何とかならないのかな、何て思ってしまいますが、プレイしてみた所意外と好評だったので、脳トレみたいなゲームが好きな方には俄然オススメ出来るゲームでしょう。
腹の読み合いがしたいのなら、「赤を動かして欲しいなぁ〜」とかわざと言ってみるとか良いかもしれませんね。どうなってしまうかは自己責任でお願いしますけど(笑)。
何はともあれ、木のぬくもりと触り心地がたまりません。買って良かったです。
高かったけど(爆)
Clemens Gerhardsはここでも紹介している「Baubylon」や、その他はさみ将棋のようなクラシックゲームも出していて、どれも非常に美しくて魅力的です。手作りという事もあって値段が高めなのは残念な所ですが。 コペルニクスは9千円以上もしましたし、送料含めると重いのでさらに倍!みたいな・・・。(爆) う〜んまさにセレブがお茶の合間で優雅にプレイする画が浮かぶなあ(笑)
現在はちょっとデザインがシンプルになった簡易版がこちらで出ていますね。豪華さは無くなりましたが、その分少し安くなってるようです。
Kopernikusは現在和訳が存在しないため、仕方がないのでこれも自分でなんとか和訳ルールを作成してみました。訳が間違っている可能性は当然あり得るので、その辺はどうかご愛敬ということで・・・。英文ルールはここにありますので、何か間違いに気付いたのならご一報していただけるとありがたいです。
Kula Kula 3〜5人
ドイツのゲームメーカーBLATZからWittig氏は結構な数のゲームを出していますが、これはその内のひとつ。93年度のドイツゲーム大賞にて美術賞を獲得したゲームです。美術賞は見た目の美しさを評価する目的で授けられましたが、後にこの部門は無くなってしまいます。やはり見た目よりも中身こそが重要だという事なのでしょう。全くもってごもっともなのですが。
地中海を舞台にしたボード盤や駒は確かにとても美しく、南国の雰囲気が非常に良く出ています。しかもこのゲーム、駒やチップのかわりになんと本物の貝殻が入っていて、この貝殻を集めるのが目的のゲームです。
カヌーで島々を巡り、マップのあちこちに落ちている巻き貝を集めます。しかし、実際にプレイヤーが欲しいのはこれではなく、タカラ貝というスベスベした丸い貝の方。これは一定の島の上にしかなく、巻き貝3つと交換する事によってしか手に入れる事ができません。よって、最初のうちは巻き貝を集めなければならないワケです。
カヌーは毎回1マスずつしか進めないので、このままではラチがあきません。そこで、神託カードというのを使って一気に移動を試みる事が出来ます。しかし、そこは神頼み、うまく行くかどうかはまさに神のみぞ知る、です。 カードを1枚引く毎に1マス分の移動に相当します。しかもその後いくらでも引き続ける事が可能です。ただし、途中で偶像カードというのを引いてしまったら、全て無効になってターンが終わってしまいます。要するにこれ、バーストと言われるルールで、後一枚、引くか引かないか、引き際に悩むというのがこのルールの醍醐味です。
また、もし他人のカヌーのマスに入ったら、既にそこにいたプレイヤーは、入ってきた相手に対して巻き貝を一つ渡さなければならないという極悪ルールがあります。これによって、手前の相手に追いつけ、引き離せという駆け引きが度々起こります。
実際やってみた感じとしては、ちょっと淡々と進んでしまう事が多いように感じました。4、5人プレイでもなかなか他プレイヤー同士のデッドヒートという物が起こりにくく、各自黙々と貝を集めては交換に励み、いつの間にか規定数を超えたプレイヤーが出てあっさり終了、というパターンになりがちです。
これは、結局の所神託カード内の偶像カードの数が気持ち多めなのが原因のひとつで、相手に追いつけ追い越せとばかりにカードを使って一気に進もうとしても、2枚目、3枚目でドボンというパターンが非常に多く、4,5枚引くなんて言うのはかなりの大博打でほとんどうまく行きません。そのためなかなか前に進む事ができず、結局各自ノロノロ進んでほとんど干渉しないまま終わってしまうという事になりがちです。
そこで偶像カードの数を半分近くまで減らすことをお勧めします。これによって3,4マス進むプレイヤーが多くなり、デッドヒートが起こりやすくなります。
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本物の貝殻がマップ上に散在します。
真ん中の丸い貝がタカラ貝です。
これを規定数集めるのが目的 |
一旦追いつかれると巻くのが大変。
相手を先に進ませるか、
神頼みでカードを引いて一気に
離さないとまた取られてしまう・・
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問題の偶像カード。
2枚目で出てくると相当に萎えます
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前に進むのも、巻き貝の配置も殆どが神頼みという、ほぼ運要素で出来たゲームです。パズルライクなゲームが得意なwittig氏にしては珍しい内容に思えますが、「Kopernikus」でもそうだったように、実はこうした運要素の強いゲームも一方で結構出していて、これもまたwittig氏の一面のひとつです。
美しいカヌー駒や本物の貝を集めるのはとても雰囲気があって楽しいのですが、いかんせん他人との駆け引きが少なく、殆どを運に頼る、という内容はちょっと今ひとつ何か物足りなさを感じてしまいます。バーストルールはそこそこ熱いんですけど、全員強制的に最低1枚は引かなければならないというルールでないと成立しないんですよね、このルール。(このゲーム、手番になったらカードを引くか引かないかはプレイヤーの自由)
なので、カードを引く前に一旦カードを良く切ってから引くかどうかを任意で決められる、と言う風にするのも手かもしれません。
BLATZから出ているwittigゲームの殆どはwittigらしい幾何学度(?)が低いので、ちょっと所有したいという魅力に欠けますかね。
Kula Kulaの和訳は現在メビウス訳アーカイブにて公開されています。(ブラッツ シュピーレのクラクラ)
Look In 2〜5人
まだ入手難だった頃に手に入れたEdition Perlhuhn版のゲームが、この「Look In」です。リメイクもされていないようなので、このゲームはオリジナルを入手するしかなかったのですが、運良く手に入れることが出来ました。Edition Perlhuhnは筒状のケースにゴムマット製のゲームボードを丸めて収納した形で売られているのが特徴で、自主制作に近いゲームなため、駒などは殆どが手作りと聞いています。 例えばこのLookInでは、駒等の配色はセットによって皆違うらしく、ネットでは写真で青色セットやオレンジセットなどが見受けられます。私が入手したのは黄色セットですね。
このゲーム、Wittig氏ならではの、なんともパズル的で奇っ怪なルールが際立っています。六角形のヘックス型駒には、上部と側面に覗き穴が開いており、中には斜めの鏡が入っています。上から覗くと横からの風景が屈折して見えるようになっている訳です。
このヘックス駒をうまく配置し、目標となる駒(上の写真では赤駒)を鏡越しに覗いてちゃんと見えれば得点になるという、何ともヘナチョコなルールです。
難しいのはこの鏡の屈折を最低でも3回、つまり3反射させねばならず、すなわちヘックス駒を3個以上利用しないと得点にならない事です。1個だけなら誰でも簡単に見ることが出来るんですけど、それ以上となると途端に複雑になり、厄介です。しかし、利用するヘックス駒の数が多ければ多いほど得点が加算されるので、皆何とか良い方法は無いかと熟考する事になります。
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ルールに記載されている、3反射させて
目標駒を見るお手本。
駒をひっくり返して鏡をうまく反射させ、
横から出るようにしていますね |
という訳でこんな風に駒を配置。
視線は右から入り左を通って
そのまま下の駒を通過、横穴から出て
赤駒に到達している、ハズ
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では実際に上から覗いてみる。
すると、オオー、見エター!!
これで見事得点を得られます
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ヘクス駒の移動にはポイントがかかり、1マス移動の度に1ポイント失点します。なので、目的を達するためとはいえあまりにもヘクス駒を動かし過ぎると、せっかく得点を得てもその分ポイントを減算されてしまうので、極力動かさずに、屈折ルートを構築するのが肝要です。
また、何個もヘクス駒を使用し、ものすごく長い屈折ルートを作ったとしても、結局視覚的にちゃんと目標駒が見えないと意味がありません。当然ながら、屈折回数を重ねるたびに見える画像はぼやけていくので、限度という物を考慮する必要がありますね。
人によっては、屈折によって目標を見えるようにする、というルールをなかなか理解できず、法則を見いだせないプレイヤーも出ましたので、ちょっと人を選ぶゲームかもしれません。まあ私の説明が至らなかった事もあるにはあるんですが、このパズル的内容に馴染めない方は当然いるでしょうから、やはり相当にマニアックなゲームだと思います。
しかし「少ない手数で何とか目標を達しようとあれこれ考える」という、Wittigゲームではよくあるパズル的なルール構成は、その場その場で最良の方法を導き出すというゲーム展開になる訳で、好きな人にはたまらない物があり、2、3手先を考えるチェスゲームの複雑さとはまた違って、さほど重いゲームという訳ではありません。 もっとも、運の要素が低いため各プレイヤーの思考レベルがモロに反映されてしまう事は覚悟しなければなりませんが・・。
何にしても、一体何からヒントを得てそんなゲームを作ったんだ?と問い詰めたくなるその突飛な発想力と、美しい幾何学的デザインには感服です。
後、付属の目標駒が味気なさ過ぎる、というのならあなたご自慢の食玩フィギアとかを代わりに置いてみるのはどうでしょうか。人によっては超萌えそうなゲームになりそうですね・・・。
Look inの和訳は現在Atog's Worldにて公開されています。(ゲーム翻訳のコーナー)
ちなみに、現在Edition Perlhuhnは海外通販が可能なので、このゲームを日本から取り寄せる事が出来るようになりました。詳しいことはBlog内のこの記事にて。
Maritim 2〜6人
French-Kosmosからリリースされ、後に「Auf Kurs」という名でリメイクされています。シンプルなデザイン、凝った形の駒、いかにもWittig氏が好みそうなデザインです。パッケージからも分かるようにこれはヨットでのレースをモチーフにしたゲームで、プレイヤーは目安となるブイを一周し、いち早くスタートラインに戻って来なければなりません。しかしそのためには、かなり独特な方法を用いてヨットを進めなければならないのです。
プレイヤーは毎ターンに9ポイントを獲得します。このポイントを使ってヨットを進めるのですが、どのマス目にも行けるという訳ではありません。赤い塔のような駒は灯台を表し、飛び出た白い棒がそこから出ている灯りを示しています。この灯台の灯り同士が交差しているポイントが、ヨットが進入出来るマス目なのです。 つまりヨットは灯台の灯りを頼りに直進するしかありません。
じゃ、何ですか、このレースは真夜中にやってるんでしょうか?
自分の近くに有効な灯りの交差ポイントが無い場合は、ポイントを消費して、灯台の位置や向きをずらし(!)何とか手近のマス目に交差ポイントを作るようにします。これで残りのポイント範囲内でそこまで到達できれば進む事が出来る訳です。 当然ながら、灯台を動かし過ぎてポイントが無くなり、そこまでヨットを動かせなくては本末転倒です。ポイントは持ち越し出来ないので、毎回9ポイント以内でいかに距離を稼げるかを競います。
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灯台から出た灯りが交差するマスに
ヨットは進入できます。
上の図ならば丁度ヨットが居る場所が
そうですね |
分かりにくいのならば交差ポイントに
目印を置いて確認するのも手。
初心者には良策ですが、動かした後
必ず一旦目印を撤去しないと
かえって紛らわしくなります
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これだけ灯台が密集すると
交差ポイントも大量にあり、
把握するのは大変!
ブイ付近は大概こうなりますよね
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その場その場で最良策を考えるという、上記の「Look In」によく似たゲームで、運要素も低いという点でも似ています。Wittigゲームらしい、パズルライクなルールは人によっては重く感じるかもしれませんが、LookInに比べるとまだルールが理解し易く、レースという明快な目的もあるおかげで、まだ万人向けに近い方だと思います。 そのおかげか、このゲームは87年度のドイツゲーム大賞に見事ノミネートされています。
とは言え、自分の手近に交差ポイントをうまくもっていく方法を熟考するのは、人によっては頭がパンクしてしまいかねませんね。それを考えるのがたまらない、という人には実に楽しいゲームだとは思いますけど。 私もどちらかと言えば好きな方で、良い方法を見つけたときはとても嬉しくなります。「気付くか気付かないか」という、Wittigゲームの根本がここにもあるようですね。 凝ったコンポーネントにシンプルなデザインがとても気に入っている良ゲームです。
Maritimの和訳は現在Atog's Worldにて公開されています。(ゲーム翻訳のコーナー)
なおこのゲームも現在Edition Perlhuhn版を入手可能です。日本から取り寄せる事が出来るようになりました。詳しいことはBlog内のこの記事にて。
Moguli(モグリ) 2人
同ゲームはドイツのABACUS社からも出ていて、それは日本語ルール付属で国内にも出回っていたので、それを見かけた方もいるかもしれません。私が購入したのはClemens Gerhardから出ている豪華な木製バージョンの方です。
モグリは2人用のゲームで、マス状になったタイルを並べて、その両端を陣取ります。お互い5個の駒を持ち、その駒を相手側のいるマスまで最低でも4個持って行けば勝ちとなります。
ボード盤となる各マス状のタイルにはL字型に道が掘ってあり、それが駒が進めるルートとなります。そのため、このL字に沿って駒は前に進んでいく事になります。
しかし、タイルごとにL字の向きはバラバラなので、ほとんどのルートは分断されていて道として成立していません。そのためプレイヤーは駒を動かす前に、1個だけ自由にタイルを選んで好きな向きに回転させる事が出来ます。こうして道が出来たら、そのルートに沿って駒を進める事が出来ます。進むにあたってサイコロもポイントの概念も無いので、行ける所まで一気に進む事が出来ます。 しかし、ルートの途中で駒があった場合はそれ以上進めません。駒は自分、相手に関わらず障害物となるのです。
さて、ここまでならまだ分かりやすいのですが、ここからがこのゲームの不思議な部分。こうして進んだあと、駒はタイルの裏側に書かれているルートを進んでいかなければなりません。
実はタイルには裏側にもルートが書かれていて、それこそゲーム名のごとく、タイルの穴を通って裏側に「潜り」、駒を進めていくような感じになります。裏ルートには簡単な法則があり、点のマークが入ったタイルは表と全く同じルート、そうでないタイルは表と真逆なルートになっています。
しかし、実際に駒を裏側に潜らせる事など出来ないので、あくまで裏側に潜ったと「仮定」して駒を進めていく格好となります。上記のような法則性に注意しながらルートを進んでいき、駒を表側に戻して止めます。裏側を通る場合は他駒を無視して進めるので、邪魔な駒を越えて進むことが出来ます。
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タイルの表裏の関係。
点の入った物は裏表同じですが、
入ってないとルートは逆。
いわば表に書いてない箇所に
ルートがある事になります
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ではその法則に従い、
一番下の青駒は潜って白駒を
通過、そのまま上へ抜け出て
表に戻り、後は表ルートで
右横へ一歩進めます
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お、真下の青駒チャンス。
一気に手前の4つの駒を
飛び越して進んでいけます。
わかるかな?
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さて、さらに厄介なルールがあります。裏ルートを進む場合は、必ず何かしら駒を越えて進まなければならないのです。そのため、駒が存在しないルートは通れない事になります。 しかも、表ルートを通るのは省略してもいいのですが、裏ルートは必ず手番中に通らなければならないので、それが出来ないのならばその前に通った表ルートも無効と見なされ、駒を進める事が出来ません。(ABACUS版に付属の和訳ルールには言及されていませんが、表、裏ルートを別々の駒に割り当てて進める事は出来ません)
ゲーム序盤では相手駒が近くに無いので、必然的に自駒を利用して駒を飛び越えさせて進めていく事になります。中盤以降になると相手駒と対面するので、それらの駒を利用し利用されと行った感じで駒が行き来します。
タイルの初期配置はランダムだとはいえ、ゲームそのものに運の要素はほとんど無い、パズル性の高い思考型ゲームの典型です。特に裏ルートを想像しながら駒を進めていかねばならない辺りは、結構頭と神経を使います。駒を進める前にタイルを回転出来るのですが、これがまた結構悩みどころで、どこを回転すれば都合の良いルートが出来るのか、表、裏ルートを同時に想定して考えなければならないので結構しんどい所です。
ところで、タイル回転は駒を動かす前、あるいは動かし切った後に出来るのですが、時々自分がタイルを回して駒を進めたのかそうじゃないのかが分からなくなってしまう事がありました。 また、裏ルートを進むのは想像でしかないので、間違っている可能性もあり得ます。その場合は相手が指摘しなければならないので、敵の動きはよ〜くチェックしておかなければなりません。もし両者とも間違いに気付かなければそのままスルーされてしまう事になります(笑)。 ガラス製のテーブルの上でやるといいかもしれませんね。
という訳で、かなり頭を使うので人を選ぶゲームかもしれません。しかし、相手の駒をうまく利用して進む辺りはなかなか駆け引きとして面白く、wittig氏らしいパズル性が良く出ているので、上記のMaritim等のゲームが好きな人にはお勧め出来るゲームです。
まあ、初心者は、自分の駒を進めるのが精一杯で、相手の動向を視野に入れる余裕は無いかもしれませんけどね・・。
とにかく相変わらずボード盤の構成が個性的で幾何学的で、たまりません(笑)。
なお現在このゲームはClemens Gerhard版の物とABACUS版の2つが出ており、ABACUS版は日本の一部ショップで今でも取り扱っているのでそちらの方をお勧めします。値段も安いし。 ま、Clemens
Gerhard版の方が風格ありますけどね。 でもとにかく値段高いし、日本で売ってないしわで、まさに私のようなwittigファン以外は手を出さなくていいと思います。
Money Monsoon 4〜6人
貴重なEdition Perlhuhn版のゲーム。これを購入したのは、英語ルールが出回っており比較的翻訳が簡単だったこと、そして結構評判がいいらしい、との評価を聞いてのことです。そうでなかったらひょっとしたら買ってなかったかも。何故なら、コンポーネントが何とも奇っ怪だったから(笑)。
Edition Perlhuhnはガラクタや廃材、要らなくなった物を再利用するのがポリシーだと、そんなような事を聞いた事があります。そのため、いかにも自主制作っぽい雰囲気があるのがこのメーカーの特徴であり味なんですが、それにしては・・・・・。この超アンバランスな内容物は度を越しているような気が(笑)。
バカでかいマット状のボードにほぼ全面を使ってモンスーンを表した絵が描いてあるんですが、実はこの絵、ゲームでは一切使われることは無く、本当にただの絵です。ゲームとして実際に使うのは、その周りを小さく囲っているマス目。プレイヤーはこのマスを双六の要領で進んで行き、ゴールさせる事が目的となっているんですが、デカイプレイヤー駒に対してメチャメチャマスが小さいので、2人マスに入っただけで他があふれる有り様です。しかもプレーヤーは2個ずつ駒を持ってるし。
お金を表しているコインも明確に数値が書いていない形もマチマチのデザイン。もう少し統一感を出す気は無かったのかとツッコミたくなりますが、まあとにかくゲームルールの方はというと。
ゲームはいたってシンプルな双六ゲー。しかし、8面体のサイコロを転がしても、その出た目を素直に使えるという訳ではありません。なんとその出た目を競売にかけ、競り落とした物がその分だけ駒を進められる、というルールなのです。せーので値を記したメモを公開し、一番高値を示したプレイヤーが目をゲットします。その額はサイコロを転がした手番プレーヤーに支払われる仕組みです。
ちょっと変っているのは、実際に支払う額は、2番目に高値を付けた人の額でOK、という点。例えば100、75、50の値が出た場合、競り落とすのは100の値を付けたプレーヤーですが、彼はその2番目の値、75支払えば良いということになります。この辺は各自の思惑が交錯して、かなりの読み合い合戦になるので面白いルールです。
まあもうお気付きでしょうが、このゲーム、ゴールするためには先立つ物が無いと勝てないので、進みつつお金を稼がねばなりません。しかも結局勝利するのは最初にゴールする者ではなく、最もお金を所有しているプレイヤーです。1位ゴールは、あくまでボーナスでお金を貰える事とゲーム終了を意味する事しかありません。
このゲーム、既に誰かが居るマスに自分の駒を入れた場合、既に居るプレーヤーは入って来たプレーヤーにお金を支払わねばならないという極悪ルールがあり、ひとつのマスに3人も入っているマスがあると、そこの全員から徴収出来るので、相当な収入になります。という訳で、このゲームでは前に進めばいいって訳でもなく、どうにかして他人のマスに入ろうとする、&他人が入って来る事を拒まなくてはなりません。なのでここは絶対競り落とさなければ!という場面によく直面します。しかもそれを見越して他が高額をふっかけたりするのでもう腹の探り合い(笑)。
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マス目の小ささに対して、
この駒の大きさ。しかも6人で
プレイしたら12個の駒で大混雑
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そして何の明記も無い独特な
コインの数々。赤のコインが
ちっちゃ過ぎて取りづらいったら(笑)
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もし赤駒が3人居るマスに
入ると、全員からカツあげ(笑)
相手からすりゃ。まさに来るな〜
という感じ
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シンプルなルールだし、何をしなければならないか、というのが明確で読み合いがしやすく、万人にお薦め出来るゲームだと思います。しかし惜しむらくは、このイビツなコンポーネント(笑)。正直コインが独特過ぎるので、別途任意で用意した方が良いと英文ルール翻訳者が補足していましたが、ぶっちゃけボードから駒から、全部自分で自主リメイクしちゃった方が人によってはもっと格好良いデザインに出来ちゃうかも(爆)。 ま、個人的にはこの無茶苦茶なアンバランス加減を楽しんじゃってますがね。
英文ルールを元に日本語ルールを作成しておきましたのでこちらで。短いルールなので間違いは無いとは思いますが、何か問題があれば指摘お願いします。
なおEdition Perlhuhnは海外通販が可能なので、このゲームを日本から取り寄せる事が出来るようになりました。詳しいことはBlog内のこの記事にて。
Müller & Shon 4〜6人
86年にドイツゲーム大賞で見事美術賞を獲得したゲームです。しかしKula Kulaの所で前述したように、美術賞を獲得したからと言って、面白いかどうかは別物です。でもWittig氏のゲームでこの大賞のポーンマークがついているのは希なので貴重なんですけどね。
風格あるイラストが美しいマットボード、粉袋をイメージしたコイン入れの巾着袋など、確かに美しいボードゲームです。
さて、このゲームは一体何をするのかというと、粉屋業を営もうと、新米の少年達が製粉所を求めて奮闘するという筋書きのゲームです。製粉所を得るためには当然先立つ物がいります。そのためにプレイヤーは石臼をあしらったコインを貯めようと右往左往することになるわけです。
プレイヤーはボード上にある道の上をぐるぐると回ります。もし他のプレイヤーと同じマスに入ったら、入られたプレイヤーは、その相手に対して石臼コインを支払わねばなりません(何もない通常マスに限る)。 プレイヤーはそれぞれ少年駒を2つずつ持っているので、5,6人でプレイしているとそれこそしょっちゅうこういう事態になり、コインが飛び交います。
また、サイコロの出目によってはことわざカードなる物を引く事があります。これにはドイツのことわざが書いてありますが、要するにアクションカードです。コインを貰ったり失ったり、はたまた位置を移動させられたりと、色々な事が書いてあり、中には、何か役に立つことをしろなどという意味不明な指令も(笑)。ともかく、プレイヤーはこの指示に従わねばなりません。
そうこうする内にコインが14ポイント分貯まったら、製粉所(風車)を購入出来ます。×マークのマスはそれぞれ道で風車に繋がっており、この風車を購入したプレイヤーは、自駒のひとつをその風車に置きます。これで1人の少年が一人前の粉屋業になりました。残る1人の少年にも製粉所を与えれば、そのプレイヤーの勝利となります。 なお、誰かが購入した風車マスに他のプレイヤーが止まった場合、授業料としてコインを支払わなければならない辺はちょっとモノポリーチックですね。
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ボードの中心にある白マス上を
少年(粉袋)達はぐるぐる回ります。
その過程でコインを取ったり
取られたりを繰り返します |
既に誰かが購入済みの製粉所は
金を徴収する嫌〜なマスに変身。
出来れば避けたい所
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Matthias Wittig氏によるモノクロの
マットボードはとても美しく、、
かつ独特な雰囲気を醸しています
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他者から利益を横取りしたり、ぐるぐると同じルートを巡回する展開は、前述の「Kula Kula」に相通ずるところがあり、カードの引き具合等が勝敗を左右する運の要素の高さなども似ています。 相手を追い越すと追いつかれて横取りされるので、やっぱりノロノロレースになりがちです。
このゲーム、風車を購入するまでは楽しいのですが、2つめ購入までが結構淡々とした展開になりがちで、この辺がだらだらした感があり、ちょっとマイナスです。実際、やたらと時間がかかるのが気になります。マニュアルでも推薦されていますが、時間を短くするために風車コストを下げるのが良策です。10コイン辺りが妥当だと思いますね。
Kula Kulaもそうですが、参加人数が少ないとパッとしない展開になりかねないので、5,6人位でプレイするのがいいと思います。
ゲーム展開の大半はカード運とサイコロにかかっている、というルールは、今となっては少々古いと言わざるを得ません。まあ80年代のゲームなんですからしょうがないですね。
Müller & Shonの和訳はルール和訳の綱にて公開されています。ご丁寧にもカード和訳まであります。しかし残念ながら、一部の文章が欠けているなどの問題もありましたので、こちらで補足をしておきました。機械翻訳による補足なんでアレかもしれませんが、まあその辺はご勘弁を。
Ombagi 2人
これも元はEdition Perlhuhnから出ていたゲームを、French-Kosmosが再販したもの。実はオリジナル版では、3人までプレイ出来るゲームだったようですが、French-Kosmos版は2人専用に変えられています。
大きく刻まれた数字が印象的な円柱駒に、欧州的香りがプンプンしているパッケージデザイン。タイトルのオンバギとは、このゲームの舞台設定になっているオンバガッサ帝国から取っているようです。 オンバガッサ帝国はWittig氏のゲームに度々登場しますが、現実には存在しない架空の帝国で、おおよそ中世ヨーロッパを主軸とした世界観とみて良さそうです。 このゲームは、そんなオンバガッサ帝国の国王の息子達が、互いに引っ越しを頻繁に繰り返していたために、その様を風刺する目的で作られた、という設定になっており、自分の駒を敵側の初期配置の所まで全て移動させる、というのが目的になっています。
駒には1、2、3という数字がふってあり、これはその駒が実際動くときに進めるマス数を表します。このルールに従い、相手側に対して駒を進めていきますが、お互い反対側へ進もうとしているのですから、真ん中付近で両者がぶつかってしまいます。でも駒は相手を乗り越えて進む事ができるので問題ありません。上に重なってとどまる事さえできます。
駒は最大3つまで重ねて置くことが出来ますが、駒の上に乗っかったり乗り越えるにはそのぶん余計に移動コストを消費します。この辺のルールはBaubylonとほとんど同じで、1段上がるのに2マス分、2段上がるのに3マス分、という風な法則で成り立っており、勿論降りる時も例外ではありません。この法則から、1は他の駒に上がることは出来ません。
しかし1には例外があり、3つ重なった駒があれば、それを一気に飛び越して反対側のマスまで移動できるというルールがあります。1はとにかく歩みが遅いので、これをうまく利用すれば素早く移動が可能です。なのでわざと重ねて塔を作り、1をとっとと進ませる戦略が成り立ちます。
また、敵の駒の上に乗ることによって邪魔をする事になるので、相手の進行プランを妨害する事にも繋がるのです。なので敵とぶつかる真ん中辺りでは乗った乗られたの重ね合いが巻き起こります。
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初期配置の様子。
自駒を全て敵側の所まで移動させ
初期配置の形に再び揃えます |
両者が衝突する真ん中付近では
まさに重ね合い合戦が勃発。
乗られたら下の駒は動けません
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3段駒、さらにその先は空白。
白の1が飛び越せるチャンスです。 |
敵に乗っかられた駒はそれがどいてくれない限り動けないので、場合によっては終盤まで全く身動きできないような駒が出てきます。これを利用した足止め戦略が幅を効かせないために、封鎖解除というルールがあります。自分の駒の中で、もっとも出遅れた最後尾に位置する駒が敵によって動きを封じられている場合、封鎖解除を相手に宣言し、敵側は自分のターンでただちにこの封じ込めを解除しなければなりません。当然足止めを意図していなくとも、相手の最後尾の駒を封じ込めている格好になる事はしばしばあるので、それを指摘されたら、何よりもまずそれに対処しなければならなくなります。
しかしこれは申告制なので、相手が気付かなければそのまま放置される事もあります。なので自分がそういう状態になっていないか常に注意を払う必要がありますね。
こうして駒を進め、相手よりも先にすべての駒を相手側の初期配置マスに移動させたら勝利です。
チェスのように駒を取り合うワケではなく、いかに駒を効率よく進めて相手を妨害するか、というゲームですが、運の要素が皆無で相手の動きを読みつつ進めて行くことが肝要なため、かなりチェス的なゲームと言えなくもありません。上記にあるMoguliのゲームにかなり近い雰囲気を持った思考型ゲームと言えます。
勝とうと思ったら相当に頭を使う事になりますが、なかなかにして楽しいゲームです。ゲーム大賞にノミネートされた事もうなずけます。 1をうまく一気飛び越しさせると気分がいいですね。もっともそれに固執しすぎても勝てませんけどね。
Omgagiの和訳はルール和訳の綱にて公開されていますが、封鎖の辺りのルールがわかりにくいので、こちらで補足説明します。
Piratenbillard 2、4人
タイトルはズバリ、「パイレーツビリヤード」。 ビリヤードというからには玉を突くゲームなのだろうということは大体想像はつくと思うのですが、そこはWittig氏、そう素直なゲームを作るワケがありません(笑)。
まずパッケージのでかさに驚きます。 写真では分かりにくいですが横幅が50センチ近くはあり、しかも足を組み立ててコタツみたいな形になります。一体これのどこがビリヤードなんだとツッコミたくなりますが、一応玉を突くゲームであることは確かです。しかしその方法がやっぱり相当変わってます。
格子状に分けられたマス内に自分のボールを一列に並べます。上の写真のように一番外側に配置します。これで準備はOK。後はこれらボールを、丁度対極に位置する相手プレイヤーのスタートライン目指して進めるのです。しかしガッチリ障子みたいに仕切られたマス内をどうやってボールは進むのか?
答え、下から突いて飛ばす(爆)。
プレイヤーは付属の木槌を使い、ボードの下からボールをコツンと突いて、その振動でボールを飛ばして前に進めるのです。 とはいえ、直接ボールを叩いているワケではない以上、コントロールは至難の技で、思った通りの方向へ飛ばすにはかなりのコツが要ります。そのため、あらぬ方向へボールが飛んでいっていってしまうなんていうのはごく当たり前の出来事、そんなハプニングも当然織り込み済みのアクション系ゲームです。
もし他人のボールが既に入っているマス内に自分のボールをシュートさせた場合、そのボールを奪取する事が出来ます。これは得点に繋がるためかなりオイシイです。 しかし、スタートライン(一番外側の列)のマスは例外で、そこにシュートしてしまうと逆に奪取されてしまいます。
もし対極に位置する敵のスタートラインに到達したボールはゴールしたと見なされ、得点を得ます。 ゴールした場合の得点がもっとも高く、4ポイントです。ボールを奪取した場合は1つにつき2ポイントです。
ただし、誤ってボールをボードの外へ打ち出してしまうとNGとなり、そのボールを失ってしまうことになります。しかしコントロールが難しいこのゲームの性格上、半分、いやそれ以上のボールはたいがい外にでてしまってNGになると思います。
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こんな風に下からコツンと突いて
ボールをはじき飛ばします
チョンチョン叩いて位置を確認後、
あとは運に任せてゴッツンコ |
既に誰かが入っているマスに
お邪魔出来れば、それを奪取して
自分のものに。
ごっつあんです
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黒ボールはオプション。
コイツがいるマスに入れてしまうと
即NG、ボールを失って
しまいます
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全てゴールさせるか失うかして、誰かがボールを使い切った時点で即座にゲームは終了します。その段階で得点を計算し、もっとも高いポイントを上げたプレイヤーが勝利します。これはヴァリアントルールらしいのですが、こちらの方がスマートなのでネット上などではこのルールが推薦されています。
とにかくボールの突き方に慣れが必要なため、最初の内はちっとも思った方に飛ばす事が出来ず、イライラするプレイヤーもいるかもしれません。でも、下から突くというやり方、振動で飛んでいくボールのコミカルさなどは、ちょっと病みつきになる可能性があり、実際かなり楽しいです。うまく飛ばせるコツや攻略法を発見すると俄然面白くなっていきますし、一気に前方に飛ばせた時の快感はなかなか代え難いものがあります。
まあ通常のビリヤードも最初の内は満足に玉を突く事すら出来ないワケですから、そういうタイプのゲームなんだと割り切っていただければ。 Wittig氏のゲームにしては珍しい、子供から大人まで純粋に楽しめるシンプルなゲームでオススメです。
ただ難点を言うと、ボールが場外へ出てしまった場合、コロコロと転がっていってしまって行方不明になりがちな所。プレイするときは、ボールが入っていってしまうと不都合な隙間や穴を塞いでおくことをオススメします。 あーあと、とにかくデカイので持ち運ぶのには不向きですね。
このゲームは07年現在、まだ絶版にはなっていないようなので、一部のドイツゲームショップで今でも購入可能です。でかいゲームなのでそれなりに値がはってしまうのが玉にキズですが、入手困難になる前に欲しい人はさっさと買っておくべきかもしれません。
Piratenbillardは現在和訳が存在しないため、仕方がないのでこれも自分でなんとか和訳ルールを作成してみました。訳が間違っている可能性は当然あり得るので、その辺はどうかご愛敬ということで・・・。英文ルールはここにありますので、何か間違いに気付いたのならご一報していただけるとありがたいです。
Rapa Nui 2〜4人
これまたボードが何とも個性的な形をしたゲームです。しかもなにやら不思議な形をした駒がたくさんありますし。Edition Perlhuhn版でテストバージョンがあるみたいですが、ドイツのギゼーというメーカーがほぼそのデザインを忠実に再現してリリースしており、それを入手しました。
これ、どうやらモアイで有名なイースター島をモチーフにしているようですね。Rapa Nuiというのも、イースター島の現地の呼び名なんだそうで。
イースター島では、モアイを建てる事にやっきになった代償で環境がが破壊されてしまったんだとか。部族間での争いでモアイを倒し倒されを繰り返していたようですし、結構暗い過去があったんですね。で、このゲームはその一連の悲劇を元にゲームを作ったらしいです。
ゲームはシンプルで、自分の駒をどこかに移動させた時、既にいた場所に例の不思議な形をした土台駒を配置します。つまりモアイを建てては移動しているって感じですかね。そしてサイコロを転がし、出た目を上にして土台の上に乗っけます。コレを繰り返すだけです。 にしても土台にサイコロが乗っかった姿は何とも不思議な光景です。
このゲーム、こうやって各自がモアイを建てつつ移動すると、当然どんどん行き場が無くなって来ます。2つある自分の駒がどちらも身動き出来なくなると負けで、ゲームから脱落します。要するにこのゲーム、相手をいかに封じ込め、自分は安全な場所に逃げこむか、というアブストラクト系のゲームです。
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モアイを表しているとおぼしき土台駒。
この上にサイコロが乗っかります。
うーん帽子のイメージ?
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青駒が囲まれてピーンチ!
グレー駒は青が出ないように
しっかりとガード警戒中。
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ゲームの展開上、こんなに
綺麗に駒が並ぶ事はほぼ無い
ですが、いやあ何か壮観。
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一見零和完全情報型ゲームなので、各自の思考レベルがモロ反映されてしまうガチなゲームになってしまう所ですが、このゲームは多少運の要素も入っているため、そこの部分は多少和らいでいるようです。Wittig氏のゲームの中には少し運の要素を加味する事によってそのガチな雰囲気を緩和している物がたまにあるんですけど、このゲームはまさにそのタイプ。
ゲームの手番の最後に赤のサイコロを転がし、出た目と同じサイコロを、ボード上から一つ取り除く事が出来ます。こうしてサイコロの乗ってない空っぽの土台が出て来ますが、これは自分の手番で赤のサイコロをふるかわりにボード上から取り外す事が出来るのです。つまり運が良ければ自分の近くの塞がれた道が開く場合もあり、一発逆転のチャンスも。しかし逆にそのルールによって、さっさと身近の壁を取り外して身の安全を確保するか、あるいはサイコロの方を除去して後の危機に備えるか、結構悩みどころとなっています。
まあそんな風に多少の運の要素によるジレンマと、相手との駆け引きがあるアブストラクトゲームです。この手の「自分が通った道が通行不可になる」というゲームは他で幾つか見たことがありますが、このゲームは先程も言ったようにサイコロによるジレンマが特徴ですね。
まあwittigさんらしい地味なゲームには違いなく、ほどほど頭を使うタイプのアブストラクトゲームという事もあって、そんなに劇的な展開があるゲームでもありません。サイコロ運の要素があるとはいえ、場面によっては、手詰まりになる前に「こりゃ無理だな・・・」という所に追い詰められてしまう事も往々にしてあるので、そうなると中盤でだいたい勝敗が見えて来てしまうの事になるのでちょっと問題かも。まあ参加したプレーヤー次第みたいな一面もありますが。 そういう意味でも、お互いが序盤から不利にならないように初期配置はしっかり考えてやらねばならないと思います。適当に置くと泣きを見ますので。
まあ地味なゲームですが、見た目のインパクトはかなりのもの。インテリアゲームとして考えればなかなかのものでしょう。また、ガチではない、若干ゆるめの思考型ゲームが好きなら気に入ると思います。
和訳が無かったので、私の方で日本語ルールを作成しましたのでご参考までに。何か問題があれば指摘お願いします。
なおRapa Nuiはギゼーの公式サイトから購入可能になっています。
Wabanti 2〜6人
wittig氏は六角マスにこだわりでもあるのでしょうか、これまたヘックスで形成されたマットボードが特徴的なゲームです。 ミツバチの巣をイメージしているみたいですね。オンバガッサの名がありますが、どういう舞台設定があるのかは謎です。
これはDas sipelと並んでWittig氏の代表作の一つとして捉えていいかもしれません。いかにもなパズル的ゲーム内容に、幾何学的デザイン、そして特異な発想と、彼らしさが全面に出ている非常に「Wittig」的なゲームと言えるでしょう。
ボードに並んでいる駒は、なんと工具として使われるあのナットです。このゲームではそのごくありふれたナットを利用して行うゲームなのです。ただのナットだというのに、パッケージ内で綺麗に収納されていると、何とも豪勢な雰囲気が出てくるから不思議です。
プレイヤーは真ん中に配置されているナット群を、何とか自分のテリトリーへ持ってくることを競います。そのテリトリーは、ヘックス状のマスの一番外側のラインで、各プレイヤーは6つある辺のラインの一つを担います。要するに自分の座っている方向に向かってナットを一番外側まで持ってくればいいのです。
ナットの動かし方はこれまた変わっていて、5つあるサイコロを同時に振ります。サイコロひとつにつき1ナット動かせるので、合計で5個のナットを動かせますが、当然サイコロの出目によって動かせるマス数は決まります。
ナットは直線移動しかできない上に、隣接したナットの上を飛び越していくような形で移動します。目標とする空白マスまでの間には必ず他のナットが存在していなければなりません。4移動したいのならば、一直線上に3つのナットがあればその先の空白マスまで到達出来ます。 分かりやすいのは、4つナットが一直線上に並んでいるのなら、その4つの一列をそのまま1マス分ずらすのと同じ事だと言うことですね。
さてこのナット移動、色々と制約もあります。ナットを動かした結果、ナットの集合体から一部のナットが分裂して切り離されてしまう事は許されていません。つまりナットの一部が孤立することは禁じ手なのです。また、動かそうとしているナットが、少なくとも2辺以上は他のナットと隣接していない事、というのが条件としてあり、要するに周りが他のナットで全て埋まっているナットは動かすことは出来ないという事になります。
以上の点に注意しながら、5つのサイコロの出目を各自自由にナットに割り当てて移動させ、出来るだけ自分サイドにナット群を誘導させていくことに努めます。しかし、サイコロの出目によっては、5つの出目を全て割り当てきれない事態がしばしば起こります。6という出目がでたのにも関わらず、6列以上並んだナットが存在しない場合は当然割り当てられないですよね。しかし、他のサイの目によってなんとか6列を作り出して、最終的に割り当てる事ができればオッケーです。しかしどうやっても割り当てられない物が出た場合は、次回自分のターンが回って来た時、割り当てられなかったサイコロの数だけ、振れるサイコロの数を減らされてしまいます。これはあくまでそのターンだけ減らされるという事なのでずっと減りっぱなしというワケではありません。
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使用するコマは何とナット。
でも金色のせいか何となく豪華な
コンポーネントに見えるから不思議
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ゲームが進行すると、ナット群は
変形して色んな形に。
群を2分割させる事は御法度です
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六の目を使って7列ナットを
上面方向に持ってきたいけど、
このままじゃ群を分断してしまう。
さて、どうしたものか
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こうして一つでも自分のラインにナットを到達させる事ができれば勝利となりますが、勿論他のプレイヤーが黙って見ているワケがありません。 各プレイヤーのナットを引き込みたい場所は異なる訳ですから、当然ナット群は、移動したと思ったら他のプレイヤーによって再び元の場所に戻され、あるいはまた別の方向へと移動し・・・という行った戻ったを繰り返す事になります。
しかし、サイの出目や、ナットの配置によって、相手が引き戻したいのにそれが出来ないという事が度々発生し、自分のいいように動かせるチャンスも当然起こります。そうなるとゲームが大きく動く時で、このチャンスを活かせるかどうかが勝負の分かれ目です。
wittigらしいパズル的な知的ゲーム性が良く表れており、下手をするとかなり重いゲームに思えるのですが、サイコロの出目によって左右されるという、多少の運要素が入る事によってその点は和らいでいると思います。CubusやMaritimと同じく、可能性を見いだすためにあれこれ熟考するのが楽しいゲームです。
6人までプレイ出来ますが、さすがにそれだと行った戻った率が高くなって決着がなかなかつきにくくなる可能性があるので、2、3人が最適人数かと思われます。
ランダム要素のせいでせっかくのゲーム性が損なわれているという向きもあるでしょうが、個人的にはそこまで思考しなければならないゲームは好きではないので、これくらいユルイ感じのゲーム性は結構好みです。なんだかんだで頭は使うし、幾何学デザイン、ナットを利用するという奇抜さも相まって、個人的にかなり気に入っています。
WabantiはEdition Perlhuhn版を筆頭に何度かリメイクされていますが、さすがにオリジナルはもうそう簡単には手に入らないですね。このFrench-Kosmos版がかろうじてたまにオークションに出るくらいです。
・・・・・と、思っていたら現在Edition Perlhuhn版を日本から入手可能です。詳しいことはBlog内のこの記事にて。
Wabantiの和訳はネット上でいくつか出回っていますが、Atog氏が和訳したルールが際も的確かと思います。しかしこれには「動かすナットは少なくとも他ナットと隣接していない面を2面以上持っていなければならない」というルールについては言及されていませんので、その辺は注意して下さい。
Wind City 2〜5人
これもEdition Perlhuhnから。マス目状のボード、シンプルな幾何学的雰囲気漂う駒の数々。一見何のゲームなのかと思いますが、これで一応海沿いの都市を表しています。
プレーヤーは各都市のエリアに家を建て、おいおいゲーム終了時にこれらからお金を得ます。しかし、その時に必ずしもお金が貰えるとは限りません。何故なら、ここの都市に巨大な竜巻が発生し、家を次々に破壊して行くからです!
ゲームは、手番プレーヤーが竜巻を動かすカードを引き、そこから幾つかの選択肢をチョイスし、その選択通りに竜巻を動かしていくという流れになり、最北まで到達した時点でゲームが終わります。竜巻の後戻りする選択肢の数が少なめになっているため、基本的に竜巻は前へ前へと進みやすいようになっています。
他のプレーヤーは、竜巻がどう動くのかを予測し、必用とあらば家に保険をかけて守ります。保険料は手番プレーヤーに入るため、相手を不安に陥れれば多く入ってくるというものです。こうして竜巻が動き、保険がかけられてない家が破壊されると、ボードから取り除かれてプレイヤーに戻ります。
しかし、取り除かれてもまだチャンスはあります。まだ生残っている家にこの壊された家を追加して増築させる事によって(二世帯住宅)、ゲーム終了時に倍の値のボーナスを貰う事が出来るからです。しかし、二世帯住宅は竜巻がまだ来ていないエリアでないと建てられないし(竜巻によって壊される危険がある)、保険料も割高なのでリスキー。しかも他者から狙われやすい。とはいえ、竜巻カードでその項目をチョイスしないと建てられないため、いつでもそのチャンスがある訳じゃないので悩みどころです。
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手製感満点の不気味な竜巻が接近!
保険をかけた家は斜めに配置して
安全をアピール
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カードの選択肢の内、最大3つまで
選択可能。家の購入(Kauf)は
毎回あるとは限らない
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建て増しした2世帯住宅に
竜巻が迫る!
さあ、保険をかけとく?どうする?
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実際にプレイしてみると、やはりメインは各プレーヤーがいかに竜巻を動かして来るのかを読み合いする所。当然自分の家のある所には行かないだろうけど、しかしそっち方面に向かわないと敵も安泰のまま。さて、どう来る? といった具合。保険をかけるかかけないかも非常に悩みどころのひとつで、これまた手番プレーヤーとの駆け引きに繋がります。
コンポーネントがwittigさんらしい非常にシンプルなデザインなので、一見地味なゲームですが、そういった読み合いの駆け引きがあるおかげでそこそこ面白いゲームになっていると思います。
ただ、最初に家を建てる初期配置がかなり重要になってくるゲームですので、ここでちょっとミスると、後半まで大きくハンデを背負ってしまう事も。実際私も初期配置をミスって一ヶ所に固めてしまい、竜巻のいい餌食になってしまいました。
デザイン的には個人的に結構好きなのでお気に入りのゲームです。まあEdition Perlhuhnのゲームなんで誰しも簡単に手に入る代物ではないんですが、日本語ルールも作成しておきましたんで、興味ある方は是非。
なおEdition Perlhuhnは海外通販が可能なので、このゲームを日本から取り寄せる事が出来るようになりました。詳しいことはBlog内のこの記事にて。
以下、リンクをまとめておきます。
BoardGameGeek ボードゲームデータベースの総本山。各ゲームの情報はここで見ることが出ます。マーケットプレイスもあるので、中古品をゲット出来るかも。
Table Games in the World 日本のボードゲームポータルサイトのひとつ。ルール和訳のデータベースや海外サイトでの注文方法など有益な情報が沢山あります。
German East @sian Trading ドイツからの個人輸入をサポートするサイト。ボードゲームも取り扱っており、貴重なゲームもあったりしますが、少し値がはるのが玉にキズ。
Edition Perlhuhn Wittig氏が運営する個人メーカーの公式サイト。ゲームカタログなどが公開されていますが、一部は現在でも購入可能です。
最後に、ゲームプレイに協力していただいた皆様、ルールを公開していただいている方々にはこの場を借りて深謝させていただきます。
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