★ P450ファミリーの独特の形状は“おにぎり”や“プリズム”に例えられます;中心にあるのはウメならぬヘム ★
《 2004/05/27公開;随時更新 》
[TOPIC]
◎本データ集について,日本コンピュータ化学会2004秋季年会(2004/10/02-03,東京)で発表
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P450の結晶構造例(データは2bmhのChain A;中心を貫くIヘリックスを濃色表示)
※末尾の文献2のp.98図4・1を参考に作成(文献1のp.36にも全体構造図)
本データ集は,体内のいろいろな場で多様な働きをしているシトクロム(cytochrome,チトクロム)P450について,JmolまたはChimeにより3D構造を動かしながら学べるようにしたものです。
●データ集による作図例
P450のヘム周辺構造の例(下記参考文献1のpp.38-39図2.11-14を参考に作成).
上:P450cam酸素化型ヘム周辺構造(1dz8の場合;左は全体構造).
下(左から):N-パルミトイルグリシンを含むP450BM3(1jpz),パルミチン酸を含むP450BS(1izo),6-デオキシエリスロノリド Bを含むP450eryF(1oxa).
上図4データについて,アミノ酸を酸性・中性〈芳香族〉・塩基性で区別表示したもの.
CASTpによる上記1dz8(Pocket番号103)と1oxa(Pocket番号70)のPocket部位と I ヘリックス部分の強調表示例.
球棒表示はPocket部位,濃赤のスティック表示(Pocket部位を兼ねる部分は球棒)は I ヘリックス部分.
※1jpz,1izoのヘムを囲むPocket部位は他のChainとの間隙も含むため省略.
I ヘリックス部分(球棒アミノ色表示)のアミノ酸配列の違い;上から,1akd (P450cam),2bmh (P450BM3),1cl6 (P450nor)の場合.
CASTpによるPocket部位(球棒表示)と I ヘリックス部分(濃赤のスティック表示;Pocket部位兼ねる部分は球棒)の例.
上から,1akd (P450cam),2bmh (P450BM3),1cl6 (P450nor);それぞれ右側の図はCASTpによる(数字はPocket番号).
CASTpで得られる1akdのPocket部位情報(中・左;構成原子数≧8のPocket 28〜53)
左:通常データの二次構造表示( I ヘリックスは濃赤,Pocket 53 は球棒アミノ色表示)
中:上はPocketごとに色分け,下はリガンド表示
右:上は酸性・中性〈芳香族〉・塩基性の区別表示,下は疎水性インデックスによる色分け表示
マクロライド系抗生物質エリスロマイシン(抗生物質分子データ集参照)の前駆体である6-デオキシエリスロノリド Bを含む1oxa.
6-デオキシエリスロノリド Bが球棒,ヘムが空間充填,タンパク質は針金モデルでシステインのS原子(計6個)のみ空間充填.
左:アンドロステンジオンを含むP450Eryfの1eup,中・右:1,3,5-トリクロロベンゼンを含むP450cam mutantである1j51のA鎖とその活性部位.
左:P450norに特徴的なヘムポケット構造(○印)の例(1f26;NOが結合),右:ヘムが見えないP450cam例(2cpp;ショウノウ結合).濃青はIヘリックス.
◎塚本弘毅,『バイオスケールエンジン』,バイオニクス,2005年8月号,pp.28-30
群(ファミリー) | 分子種 | 基質(代謝反応) |
---|---|---|
CYP1 | CYP1A1 | ベンゾ[a]ピレン(水酸化) |
CYP1A2 | アセトアニリド(4-水酸化) * | |
カフェイン(N-脱エチル化) | ||
アフラトキシンB1(9-水酸化) * | ||
イミプラミン〈薬〉(N-脱エチル化) | ||
タンパク質熱分解物〈複1・2〉(Glu-P-1,Glu-P-2,IQ,Trp-P-2)(N-水酸化) | ||
CYP1B1 | 17β-エストラジオール〈別資料1・2〉(4-水酸化) | |
ベンゾ[a]ピレン(酸化) | ||
CYP2 | CYP2A6 | クマリン〈香〉(7-水酸化) |
アセトアミノフェン(3-水酸化) * | ||
ニコチン(酸化) * | ||
CYP2B6 | テストステロン〈別資料〉(16β-水酸化) | |
CYP2C8 | タキソール〈抗がん剤〉(6α-水酸化) | |
CYP2C9 | フェニトイン〈薬〉(4'-水酸化) | |
イブプロフェン〈プロピオン酸系抗炎症剤〉(側鎖2-水酸化) | ||
Δ9テトラヒドロカンナビノール〈薬〉(11-メチル水酸化) | ||
CYP2C18 | ジアゼパム〈薬〉(N-脱エチル化) | |
CYP2C19 | アミトリプチリン〈薬〉(N-脱エチル化) | |
イミプラミン〈薬〉(N-脱エチル化) | ||
ジアゼパム〈薬〉(N-脱エチル化) | ||
CYP2D6 | アミトリプチリン〈薬〉(10-水酸化) | |
イミプラミン(2-水酸化) | ||
クロミプラミン〈薬〉(2-水酸化,8-水酸化) | ||
コデイン〈薬〉(O-脱メチル化) | ||
デシプラミン〈薬〉(2-水酸化) | ||
CYP2E1 | アセトアミノフェン(酸化) * | |
アニリン(p-水酸化) * | ||
エタノール(酸化) | ||
o-キシレン,m-キシレン,p-キシレン〈シ〉(メチル水酸化) | ||
トルエン〈シ〉(メチル水酸化) | ||
ベンゼン(酸化) | ||
ラウリン酸〔ドデカン酸〕(ω-1酸化) | ||
CYP2J2 | アラキドン酸(14R,15S-エポキシ化) | |
CYP3 | CYP3A4 | テストステロン〈別資料〉(6β-水酸化) |
アセトアミノフェン(酸化) * | ||
アンドロステンジオン(6β-水酸化) | ||
17β-エストラジオール〈別資料1・2〉(2-水酸化,4-水酸化) | ||
17α-エチニルエストラジオール(2-水酸化) | ||
エリスロマイシン〈抗〉(N-脱メチル化) | ||
カルバマゼピン〈薬〉(エポキシ化) | ||
コデイン〈薬〉(N-脱メチル化) | ||
ジアゼパム〈薬〉(3-水酸化) | ||
シクロスポリンA(水酸化) * | ||
Δ9テトラヒドロカンナビノール〈薬〉(8β-水酸化) | ||
トリアゾラム〈薬〉(1'-水酸化,4-水酸化) | ||
プロゲステロン〈妊娠ホルモン〉(6β-水酸化) | ||
マイコトキシン類(アフラトキシンB1 *)(エポキシ化) | ||
ミアンセリン〈抗うつ剤〉(N-水酸化) | ||
リドカイン〈薬〉(N-脱エチル化) | ||
CYP3A5 | エリスロマイシン〈抗〉(N-脱メチル化) | |
テストステロン〈別資料〉(6β-水酸化) | ||
CYP3A7 | アフラトキシンB1(活性化) * | |
CYP4 | CYP4A11 | ラウリン酸〔ドデカン酸〕(ω-酸化) |
CYP4B1 | ミダゾラム(1'-水酸化,4-水酸化) |
エポキシドの加水分解反応の例(Chime版)
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P450構造例:α-ナフトフラボンを含むP450 1A2(CYP1A2)のデータ例2hi4
(トピックス分子掲載資料参照)
記事中の薬剤代謝を担うCYP2D6の構造例2f9qのChain A(CYP2D6 - Wikipedia参照)