甲田善生・佐藤四郎・本間善夫,「新版 有機概念図 基礎と応用」,三共出版(2008) [2008/11/30発刊;書店に出るのは12/10頃の予定]
※有機概念図簡易計算機,分子と分子の相互作用(QSARと有機概念図から)も是非ご覧ください。
パソコンやiPad・iPhoneで使える有機概念図簡易計算アプリを相馬 稔さん(プロジェクトCANI,新潟高度情報専門学校)に開発していただいて公開しました。 |
この計算解説ページは,文献の「無機性基表」をもとに,作者(本間)が計算しやすいようにアレンジして,プログラム化・表計算用データ化したものに基づいています.
[TOPIC] 以下の書籍に,本ページのことが詳しく紹介されました(参考:オンライン書店bk1情報)。 ◎吉村忠与志・上嶋晃智,「コンピュータ化学 インターネット時代の化学情報」,サイエンスハウス(2003) [TOPIC] 熊薬ミュージアム-熊本大学薬学部宮本記念館に藤田穆先生の有機概念図図版が展示されています。 ※有機概念図パネルには本間作成の図が利用されています。 [2009/06/19,情報更新していただきました!] [TOPIC] 絶版になっていた三共出版「有機概念図」(旧版)は以下の図書館に所蔵されています(所蔵図書館マップによる)。 「有機概念図」の所蔵図書館マップ ※新版のマップ [NEW!] |
有機概念図計算用Excelブック最新版 [2017/08/31公開;データ数30まで連続入力が可能にしたものの図に分画線と生理作用圏の境界線(2本)を追加しました]
◎従来版 → 標準版 | Si・Fの新案追加版(データ消去用マクロ含む;Si・Fの新案の詳細) | タンパク質計算シート追加版
《 旧版情報 》
※ダウンロードしたExcelブックが開けない場合はこちらをご参照ください(2022/10/16記載)。
※ボタン機能を有効にするには起動時にマクロを有効にする必要があります。
※データ入力後,[データ作成]ボタン(または CTRL+SHIFT+P)でプロットされ,次のデータを連続して30まで入力できます。
※[データクリア]ボタン(または CTRL+SHIFT+C)は新規データ作成用の全データクリアです。
※データ入力方法はこちらをご覧ください。
最新版による作成データ作例:丸数字表示版(左)とカラーマーク表示版(右;データ番号付記も可) [NEW!]
※本最新バージョン作成に当たっては,新潟高度情報専門学校の相馬 稔さんに全面的なご協力をいただきました。
→ 相馬さんのブログに新版解説の連載を開始してもらいました!(Excel教室も掲載)
【Excelを持っていないユーザー向け】OpenOffice.orgドキュメント版 ※グラフ非表示,マクロ利用不可(利用後はすべての入力値を空にして!)
参考:有機概念図の参考画像集 | Googleによる“有機概念図”イメージ検索結果
※タンパク質計算シートの使用方法はこちら
※計算シートにはデータ消去用のマクロ(CTRL+n)が含まれています!
〈 Excel2002で使う場合は,ツール→マクロ→セキュリティで,セキュリティレベルを中(M)にしてください 〉
『Excel97 用有機概念図計算シート』は,下図の1〜80と同じ配列になっているので,各欄(上図参照)に該当数値を入力すればよい.計算用シートではグラフは1つのデータしかプロットできないが,添付サンプルシートのように工夫すれば複数の結果を表示できる.
1. まずすべての炭素数(下図では 1)を B1<濃い黄色のセル>に入力.結合水素原子数は無視する.
【注】 上記にはないケイ素(Si)関連の値提案とフッ素(F)についての値見直し案が以下の論文で報告されている(この情報は日本サーファクタントの秋丸三九男氏からいただきました).
・桂博二,『有機概念図におけるフッ素とケイ素の位置づけ』,油化学,36(12),961(1987)
これを取り入れた新しいxlsシートを以下でダウンロードできる(2000/06/17公開).
6. 計算結果はデータ入力欄の下の太線枠内に赤字で表示され,グラフにプロットされる.また二重線枠内には文献に基づく以下の諸物性の推定値が表示される.
【注】この中で,特に log Pow は,定量的構造活性相関などに広く用いられる重要なファクターである.
【本サイト内のその他の推算データ例など】
●タンパク質構成アミノ酸残基の有機性・無機性計算
タンパク質の研究が進む中,Ligandとそれを取り囲むSITE部分のアミノ酸残基の関係を知ることは重要で,PDB収録データの中にもSITE情報が記載しているものがある。本サイトでもそれらの情報を活用してPDBデータのLigand結合部位データ集を作成している。
以下に計算例を示す(分子と分子の相互作用の内容の転載)。
上図のSITEを構成しているアミノ酸および特性基R のΣi/Σo 値(他のアミノ酸の値)
※17β-エストラジオールでは,O=360,I=245で,Σi/Σo =0.681(環境ホルモンとして疑われている化合物の例参照)
補足 Excelグラフへの既存データ等のプロット追加
本計算シートは現在のところ1データずつしか計算できないようになっていますが,各自の目的に合わせて使いやすいように改変していただいても構いません.すでに算出したデータが多数ある場合や,適宜別シートに保存した複数のデータがある場合は,次のようにしてグラフ上にまとめてプロットできます.
下図が「Xの値」を押して示される窓で,この状態でシートの有機性数値部分をドラッグで範囲指定してから右端のボタン(下図○印)を押して確定します.「Yの値」も同様に無機性数値部分を指定すればグラフにプロットが示されます.
その後でグラフ上の点をクリックすれば,点の種類・大きさを変更することができます.マークをグループごとに変えたい場合は,上記の系列追加操作をグループ別に繰り返します.
【有機概念図についての参考文献および最近の研究発表例】
2. 次にそれらの炭素の結合の特性などについて,A2〜A11(下図2〜11)から選んで B2〜B11<薄い黄色のセル>にそれぞれの個数を入力する.表にないもの(特に縮合環など)は文献を参照する必要がある.下図 10 の“非芳香性”については,参考図の“芳香環の条件”を参照.
3. 塩については同じく A12〜A14(下図12〜14)から選んで B12〜B14<紫色のセル>に個数を入力する.ただし軽金属は無機性 500,重金属は同 400 にしてあるのでこれ以外の時は計算結果に数値を追加入力する.
4. 上記以外の置換基(下図15〜80)を選んで(原子のアルファベット順になっている),B15-B20,F1-F20,J1-J20,N1-N20<水色のセル>にそれぞれの個数を入力する.これらの中で炭素を含んでいるものについては上記[1]で数えているので,この時点で炭素数を増減する必要はない.I19(下図59)は非イオン界面活性剤等に含まれるエチレンオキサイド付加物(ポリエチレングリコール鎖)なので,J20には[ ]内の部分の個数を入力する.
5. 有機性・無機性が定められている元素および芳香環の条件についてまとめると以下のようになる。
※“芳香環”についてはjunkさんの「おもしろ有機化学ワールド」内の資料もご参照ください.
<芳香族性>(図,Chimeを使った図の別版)
自分で求めた特殊な数値を用いたい場合などは,太線枠内の計算結果に手動で数値を加算するか,計算シート自体を改変すればよい.
※Σi,Σoはそれぞれ無機性値,有機性値の計.
1.沸点/℃ の推算 ※有機溶媒についての相関から求めた式で,他の化合物については合致度が高くありません(他の相関例 → 香り分子の場合).
《グラフの補助線の意味》
T b = 0.9117 Σo + 0.9638 Σi - 50.16
2.log Pow(オクタノール - 水の分配係数)の推算[1]
log Pow = 0.011 Σo - 0.00067 Σi - 0.905 (Σi / Σo) + 0.995
3.log Pow の推算[2]
log Pow = 0.01933 Σo - 0.01175 Σi - 0.02486
4.log Pow の推算[3]
log Pow = 0.0139 Σo - 0.0045 Σi
5.魚介類への生物濃縮性 log BCF の推算[1]
log BCF = 0.00991 Σo - 0.00458 Σi
6.魚介類への生物濃縮性 log BCF の推算[2]
log BCF = 0.007703 Σo - 0.005446 Σi + 0.87197
7.生態学的濃縮係数 log EM の推算[1]
log EM = - 0.016 Σi + 0.014 Σo
8.生態学的濃縮係数 log EM の推算[2]
log EM = - 6.3 (Σi / Σo) + 5.4
9.魚体濃縮 log BA の推算
log BA = (76.9 Σi - 10.2 Σo) / (Σi2 + Σo2) 1/2
10.活性炭への吸着性の推算
吸着性 = [(Σo + Σi) Σo] / (Σi2 + Σo2) 1/2
【各式の引用文献】
0 甲田善生,「有機概念図 ―基礎と応用―」,三共出版(1984)
1 佐藤四郎氏提供データ(実験溶媒の沸点)から重回帰分析により誘導
2 佐藤四郎,静岡県衛生環境センター技術情報,5(3),1(1987)など
3 佐藤四郎氏提供の実験溶媒データから再計算
4・5 Saito, S. et al., Chemosphere, 23(6), 789(1991);24(1), 81(1992);24(1), 89(1992)
6 文献4・5のデータを再計算
7−10 文献0,pp.104-105,p.114
沸点・融点 → 香り分子の沸点・融点(香りの分子事典参照)
log Pow → 環境ホルモン関連分子(下図)その1・その2 | 有機塩素化合物の発がん性
その他(推算は無し;生理作用圏の説明など) → シックハウスで取り上げられる化合物
◆図中の語句の説明(三共出版「有機概念図」より)
※例えば,シックハウスの原因物質は揮発性であり,シックハウスで取り上げられる化合物の掲載図に示すように,ほとんどこの範囲に収まっている.さらに,香りの分子事典収録の香り分子の有機概念図では,揮発限界線の内側の匂限界線の中に入っていることがわかる.
※タンパク質に関してはアミノ酸の有機概念図参照.「有機概念図」p.116にあるように,PheとTrpだけ第1生理作用圏に入っている.
※濃縮性化合物に関しては,環境ホルモンとして疑われている化合物の有機概念図参照.
データ点と原点を結んだ線の傾きで親水性・疎水性がわかる
(有機概念図で見るシックハウス・化学物質過敏症の原因物質より)
そこで,そのSITE部分のアミノ酸全体あるいは特性基だけの有機性・無機性を計算できるシートを作成して,別途計算したLigandの値と比較できるようにした。
以下の緑色のセル(C5〜C25;C25は水分子用)に各アミノ酸の個数を入れれば@にアミノ酸(縮合前)で計算した,Aに特性基R だけで計算したΣi/Σo 値が表示される。
PDBデータ1ere(女性ホルモン17β-estradiol含む)のChain AのSITE表示;拡大
(左2つは全体表示,右2つはLigand結合部位;SITE部位は1qkuのSITE情報と同配列を抽出)
アミノ酸
n
H2N-C(R)H-COOH
特性基 R
O
I
I/O
ΣO
ΣI
ΣI/ΣO
O'
I'
I'/O'
ΣO'
ΣI'
ΣI'/ΣO'
Arg
アルギニン
1
120
410
3.417
120
410
80
190
2.375
80
190
Glu
グルタミン酸
1
100
370
3.700
100
370
60
150
2.500
60
150
His
ヒスチジン
1
120
372
3.100
120
372
80
152
1.900
80
152
Gly
グリシン
1
40
220
5.500
40
220
0
0
−
0
0
Met
メチオニン
2
140
240
1.714
280
480
100
20
0.200
200
40
Ile
イソロイシン
1
120
220
1.833
120
220
80
0
0.000
80
0
Leu
ロイシン
2
110
220
2.000
220
440
70
0
0.000
140
0
Phe
フェニルアラニン
1
180
235
1.306
180
235
140
15
0.107
140
15
計
10
1180
2747
2.328
780
547
0.701
有機概念図シートのコピーを作成し(添付のサンプルシートを改変してもよい),適当な場所にデータ数値のコピーを挿入しておきます.有機概念図グラフ上で右クリックして表示されるメニューで,「元のデータ」を選び,「系列」の「追加」ボタン(下図○印)を押し,続いて「Xの値」(下図○印),「Yの値」を順次指示します.
詳しくは市販のExcelの解説書をご参照ください.
Web上の有機概念図資料例
※同社ではエチレンオキサイドエーテル結合の無機性値については独自の数値を用いています.
※2002/07時点では日中のみの公開になっているようですので,サイト情報をご確認ください.