岡本 真,「これからホームページをつくる研究者のために」,築地書館(2006) …文献[1]
※同書サポートブログ,ACADEMIC RESOURCE GUIDE(ARG)〈旧URL〉
※Twitter: @arg,Researchmap: 岡本真
本ページは,“ウェブから学術情報を発信する実践ガイド”という副題のある上掲書の第2部で提示されている,研究者が公開すべき(あるいは公開可能な)コンテンツ群と,「生活環境化学の部屋」のコンテンツを比較検討することにより,今後本サイトを更新していく上での参考とするものである。
著者サポートブログにおける本ページの紹介で以下のコメントをいただきました! “『これからホームページをつくる研究者のために』の構成を参考に、ご自身のサイトの再整理を試みています。こういった使い方が可能とは!と、驚きつつ感心しました。” 岡本さんが2010年に共著で「ブックビジネス2.0 ウェブ時代の新しい本の生態系」(実業之日本社)を発刊されました!! |
章・節タイトル(第2部) | 本サイト該当コンテンツ例 △は不十分な内容の参考ページ ★(頁)は文献[1]掲載コンテンツ |
備考・補足 | 外部サイトのコンテンツ例 |
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1章 講義資料を活用する | |||
1 シラバス | △講義の軌跡(過年度分) | 毎時間取り上げているコンテンツやニュースのリスト(リンク集)。以前は学内サーバにおいて学期終了後に学外公開していたが,2006年から随時更新版を公開し,自宅での予習・復習にも役立つようにしている。過年度分も参照可能で,同じ講義でも取り上げる内容が変化していることがわかる。 | |
2 レジュメ | |||
3 参考文献リスト | 文離不能(「生活環境化学の部屋」の本棚から) | ブログ記事へのリンクも付記している私設図書室。自作コンテンツ(例:水俣病)や上記講義の軌跡でも適宜参考文献紹介。貸し出しも行っている。 | |
4 講義ノート | △講義の軌跡(再掲) ※その他各教材コンテンツ(以下は例) ・HIVとエイズ ・鳥インフルエンザ&新型インフルエンザ情報 ・計算化学演習 ・iモード化学(携帯版の例) |
※参考(特に学生向けとして作成した教材例;家庭科の教育実習での授業を想定) ・実験・実習 どこがおかしい? どこが危険? ・どっちを買う!?(衣服選び) |
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5 質問票 | ※質問票は用いていないが,,近年は受講者数の多い複数教員分担の1年生対象の講義を除くすべての講義・演習でブログを利用してもらっており,学生が書き込んだ内容についてコメントすることにより対応している。 ※またかなり以前に,携帯でも利用可能な学生-家族-教員を結ぶ掲示板を開設したが,時期尚早だったのかほとんど利用されず,現在はゼミ連絡用などに利用している。また,別掲示板は管理者不在の質問箱になっており,時々善意の回答者が現れる状況にある。掲示板では,設置者(あるいは複数のRAMとともに)が積極的に主導する場合と,“場を提供する”立場にとどまる場合とがあるように思う。 |
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6 試験問題 | 例:被服整理学試験問題(2003年度)|解答例 | 試験はコンピュータ演習室でネットに接続した状態で行い,検索結果も交えて解答してもらうが,引用サイト・引用部分を明記し,講義の内容・考え方を踏まえていることを条件とする。 | |
2章 研究資料を活用する | |||
1 文献目録 | (上記『参考文献リスト』に準ずる) | ||
2 年表・年譜 | △新興感染症(携帯版) | 年表・年譜と称する長期的なものではないが,BSE問題,SARS問題等近年起こったできごと等は,Webや新聞などでどう扱われてきたかを記録することは重要と考え,実践を継続している。 | ※2006/09に公開されたGoogle News Archive Searchにより過去のニュース記事が参照可能になった意義は大きい(検索結果例:“環境ホルモン”)。 |
3 正誤表、サポートページ | 「パソコンで見る 動く分子事典」 「2時間即決 環境問題」 「グリーン・ケミストリー」 「ダイオキシン100の知識」 |
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4 翻訳、抄訳、下訳 | ※外国語の和訳ではないが,自作分子モデル表示コンテンツのいくつかは英訳して公開しており(Data Book of Molecules),2006年開設のScience Links JAPAN (JST)にも収録されている。 ※参考(コンテンツが海外で翻訳された例) |
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5 ソフトウェア、スクリプト、テンプレート | △有機概念図計算シート(Excelシート) △1文字アミノ酸配列から各種HTMLデータ作成 (秀丸マクロ) |
※大昔はN88BASICでプログラミングにも取り組み,学会の技術賞を受賞したこともあるが(記念講演要旨公開),近年はフリーのツール等を利用してコンテンツを作成することに主力を置いている。 ※また,下記『画像資料』の分子モデル教材では,各分子表示ツール独自のスクリプトを用いており,その説明ページなども公開している。 |
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6 用語集、辞書 | ※用語集は作成していないが,自作および学生用ブログは「はてなダイアリー」を利用しているため,専門語を含め多くの記事中の語について自動でキーワード(例:エントロピー,自作・編集も可能)へリンクされるのは利便性が高い。 | ※推奨用語集・辞書例 ・ライフサイエンス辞書 ・junk辞典(有機化学辞典) ・IT用語辞典 e-Words ・シソーラス(類語)検索 |
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3章 調査資料を活用する | |||
1 調査記録 | △2004新潟水俣病現地調査に参加して | ※参考:「はてなマップ」による学会参加等の記録 | |
2 AV資料 | △ビデオ教材『紫キャベツ』;酸性雨を調べよう(NGK)を参考に学生が作成したものをwmv化(2000年頃) ※YouTubeに転載 |
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3 画像資料 | ★(p.104)インタラクティブなコンテンツとしての分子教材例;プラグインが必要なChime版(メニュー)はIE以外のブラウザを推奨。最近は,プラグイン不要なJavaベースで動作するJmol版(メニュー)の作成にも力を注いでいる。 ※参考(分子コンテンツから作成した画像例):Googleイメージ検索による本サイト内の“分子”検索結果 |
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4 インタービュー記録 | ※参考(インタビューされた例として) Mail Interview『インターネットによる知の共有への試み』(化学,2000年5月号) |
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5 アンケート調査 | ※アンケートや統計を手段とした研究は行っていないが,サイトのアクセス解析をその一種とみなすならば,以下のような集計を度々公開している。 ・2004年のWeb情報発信から ─ 鳥インフルエンザ,抗生物質,水俣病,P450 ─ ・2005年のWeb情報発信から ─ HIVとエイズ,アスベスト問題 ─ ・Jmol版「分子の学習帳」へのアクセス状況 ※補足として。今後はいろいろな事象に対する社会的な反響等を知る上で,ブログ記事を読み解く研究も進むと思われる(RSS公開&ブログ情報で緑文字で示したのがブログ検索サイトの例;検索例テクノラティによる“これからホームページをつくる研究者のために”検索結果)。 |
※講義の中で学生からメール等でアンケートに答えてもらう場合もあり,特に自由記述については了解を得て公開する場合もある。 ・わたしたちは分子でできている(MOLDAのページから) ・ITとデジタルデバイドについて(2000年) ・大学の講義って何だろう(2002年) |
※補足:自作サイトのアクセス解析については,★(p.198)『実名を名乗ろう』で紹介されている津村ゆかりの分析化学のページに,『アクセスログと個人情報』(続編)という優れた論考がある。 |
6 統計資料 | |||
4章 著作物を活用する | |||
1 エッセイ、コラム | ・巻頭言 「私」はインターネットのどこにいるのか(化学とソフトウェア,1998年3号) ・分子は目には見えないけれど = 子どもに聞かせたい科学のおはなし =(理科教室,2001年4-5号) ・くらしと環境問題(新潟日報連載記事,2003/09/15〜2004/08/16;月1回掲載・全12回) …独立ページ化例としては水俣病 ・生命を考える家庭科(家庭科教育,2004年11月号) ※その他リスト |
※以下については,ACADEMIC RESOURCE GUIDE・第58号に転載 ・インターネット利用から「家庭科教育」と「化学教育」を考える(家庭科教育,2000年4月号) |
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2 書評、論文評 | △ブログでの書籍記事一覧 | ||
3 講演、発表 | ・衣服内気候の熱・エネルギー移動と収支(化学工学会新潟大会,1995) ・環境化学学習のためのWWWホームページ作成(化学ソフトウェア学会,1996) ・携帯電話による化学教育のためのWebページ作成と活用(日本化学会,2001) ・Chimeで分子の面白さを伝える化学教育(MDL日本ユーザー会総会,2001) ・インターネットを利用した環境問題情報流通の試み(科学技術社会論学会,2002) ・生体関連分子学習のためのWeb教材の作成(ナノ学会,2005) ※その他リスト |
※学会で発表するだけでなく,所属している学会の研究大会の実行委員を務めるのも研究者の重要な役割である。Webや関連雑誌での開催アナウンス,要旨集編集,特別講演の企画,発表者との連絡,座長の依頼,会計,会場案内板の作成・掲示,懇親会の企画,会場設営やアルバイト確保等の当日の準備など,煩雑な仕事が必要である。以下の年会では新潟大学工学部の伊東章先生(化学工学資料のページ主宰;★(p.259))に全面的な協力と委員長をお願いして盛大に開催することができた。特に同学会ではPCを使ったデモが課せられているので,発表者の希望に応じた機器の準備が必要だったため,会場として新潟大学を使わせていただけたのも有り難かった。 ・化学ソフトウェア学会年会「'98研究討論会」 |
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4 報告書 | ・生活環境データベース研究報告第1号 (本間執筆分転載,1994) ・生活環境データベース研究報告第2号 (本間執筆分転載,1995) ・情報ネットワークとホームページ「生活環境化学の部屋」(県立新潟女子短期大学・インターネット利用共同研究報告書,1998) |
県立新潟女子短期大学で共同研究が開始されてから,4年間継続して研究テーマが採択され,電子媒体(FDを県内の公立高校等に配布)あるいはインターネット上で成果を公表する先駆的な試みとなったもの。 その中には学外から提供していただいたデータもあり,サイト開設時に公開したものもある。 ・新潟県の郷土料理【簡略版】 |
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5 論文 | ・化学教育におけるWebページ活用(「化学と教育」2000年11号) ・教育分野における携帯電話活用の現状と実践(「情報の科学と技術」52巻12号) ・情報の入出力を基本とした食の安全教育と「食育」(「教職研修」2005年11月号) |
日本コンピュータ化学会およびその前進の化学ソフトウェア学会では,雑誌用投稿原稿のほかに学会サイト掲載用のHTML版(カラー画像可)の作成を課せられ,学会員以外でも全文閲覧が可能になっている。現在多くの学会が電子論文をWeb公開するようになってきているが,それに先駆けての実践であり,論文サイトの維持に携わっている委員の多大な労苦に負うものである。 ・紫外可視スペクトル学習用プログラムの開発(The Journal of Chemical Software, Vol.1, No.3,4(1993)) ・CAIプログラム作成用サブルーチン集の開発(The Journal of Chemical Software, Vol.2, No.1 (1994)) ・表計算データCAI教材化プログラムおよびデータ集の作成(The Journal of Chemical Software, Vol.4, No.1 (1997)) |
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6 書籍 | △「パソコンで見る 動く分子事典」(再掲;本文見本転載) △「2時間即決 環境問題」(再掲;リンク資料掲載,最新情報追加) △「グリーン・ケミストリー」(再掲;Chime版掲載分子および一部の図表掲載) |
※下記書籍については,執筆者17名がパソコン通信上のフォーラム「化学の広場」内に担当原稿をアップして議論し,それ以外の参加者の意見も取り入れながら出版に至らせたものである。 「ダイオキシン100の知識」 |
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5章 ネットで執筆する | |||
1 日記、エッセイ、コラム | ブログ:こども省,新潟県短ブログ | ||
2 クリッピング | (上掲『参考文献リスト』および次項『コメント、特集』のコンテンツが該当) | ||
3 コメント、特集 | ★(p.157)分子構造や最近の研究成果をまとめている例として紹介されたのが,環境ホルモン,化学物質過敏症,鳥インフルエンザ,,SARS,2000年度ノーベル化学賞/導電性ポリマー(Chime版)〔Jmolによる分子表示は分子モデルで見るノーベル賞〕,2001年度ノーベル化学賞/不斉触媒合成(Chime版)。 ※Chime版はIE以外のブラウザを推奨 |
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4 レビュー、批評 | ※本格的なものではないが,ブログ「こども省」には環境問題やネットの問題について雑感を書くことがあり,同「新潟県短ブログ」では設立検討中の新大学や教育問題などについて個人的見解を記している。 | ||
5 草稿・原稿 | ・インターネットを利用した環境問題情報流通の実践とその分析(2003年時点の分析) | ||
6 書き下ろし | |||
6章 インターネットリソースをつくる | |||
1 電子テキスト | △新潟薬科大学応用生命科学部/生命情報科学概論(2003),同・演習 △鳥取大学工学部物質工学科/特別講義I(2005) |
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2 法令・判例 | ※この領域は専門ではないが,水俣病などの公害裁判,薬害エイズ問題,2005年からクローズアップされたアスベスト(石綿)問題など,裁判の結果やその後の行政の対応など,関心をもたなければならない場合も少なくない。ここでは以下の書籍を紹介しておきたい。 ・津田敏秀,「医学者は公害事件で何をしてきたのか」,岩波書店(2004) ・藤垣裕子 編,「科学技術社会論の技法」,東京大学出版会(2005) ・宮本憲一,「維持可能な社会に向かって」,岩波書店(2006) ・大竹千代子・東賢一,「予防原則 人と環境の保護のための基本理念」,合同出版(2005) |
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3 掲示板 | ・「動く分子事典」掲示板(旧版) ・i化学掲示板 |
※現在は書込みを中止している掲示板(無料サービス利用例として) ・環境問題を討論しよう!(討論のルールと掲示板への書き込み方) |
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4 メーリングリスト | ※過去の実践例(現在は休眠状態) ・バーチャル分子の会(メールマガジン《バーチャル分子NEWS》発行を兼ねる) |
※推奨ML例 ・理科と教育のメーリングリスト ・家庭科教育関連メーリングリスト |
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5 メールマガジン | ※推奨メールマガジン例 ・ACADEMIC RESOURCE GUIDE ・NPOサイエンス・コミュニケーション・ニュース |
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6 リンク集 | ・リンクの部屋 ※その他各教材コンテンツもリンク集を兼ねている。 |
★(p.247)『学術リンク集』,★(p.248)『検索エンジンの不在』に書かれているように,現在のような検索サイトが登場する以前に作成を開始したもので,最近はあまりリンク切れのチェックはしていないものの,サイト名を残しておくことでWebコンテンツの歴史を知る資料ともなっている。また,リンクURLによりInternet Archiveで以前の掲載内容を参照できる場合がある。 | |
▼その他 文献[1]に記載されている以外のコンテンツ例 | |||
a 出前講義 | ・分子の出張講座・土曜講座のご案内 ※関連サイト等へのデータ提供についても紹介。 |
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b 雑誌等の目次情報 | 現在でこそほとんどの学会がホームページを開設しているが,以前は少なかったため自分用に作成した雑誌や会員誌の目次をWebに転載することはそれなりの意味があったと考えている。 ・「水情報」目次(その後公式ページが設けられたが現在は廃刊) ・エントロピー学会情報(学会公式サイト) |
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c 免許・就職・資格情報 | 講義・研究以外の学生向けページ ・ 教職課程履修者への連絡用ページ ・SFC(Student-Family-College)の部屋 |
現在は該当するサービス情報はネット上に多数登場しているが,所属している大学・短大の学生の専門に沿った情報提供の重要性は変わっていないと考えている。 |
●本サイト内の参考Webページ
●「これからホームページをつくる研究者のために」掲載のWebページから
※リンク依頼させていただくなどネットでお世話になった方や学会等でお会いしたことのある方(こちらが一方的の存じ上げているだけの場合もあります;*は本サイトへのリンク掲載ページ)のサイトで,築地書館のリンク集から無断で抜粋・加工させていただきました.一部抜けているものもあるかも知れません.なお,わかる範囲でTwitterアカウントを追記しました.下記サイトを含め,これまでに多くのサイトを参考にさせていただき,インターネットには教わることばかりだと改めて感謝しています.
※研究室前の「これからホームページをつくる研究者のために」発刊協賛展示(岡本さんのブログ記事を参考にして)