◆ 鳥取大学工学部物質工学科/特別講義I(2005/07/22-23) ◆
= インターネットを利用して学ぶ分子の世界 =
担当:県立新潟女子短期大学・生活科学科生活科学専攻 本間善夫
【お願い】受講者への講義後の自由アンケート(2005/07/24修正) 図1~9で関心のあるベスト3はどれですか? → メール作成・送信 ※アンケート回答は任意です(その他ブログを開設した場合なども是非連絡してください)! ★課題(A4で3頁以上)は2005/08/12までに提出!!
 (講義と旅の記録を作成開始)
|

捕まえたカドミウムは離さない!!(メタロチオネインの部分構造例)
●:C,●:H,●:N,●:O,●S(Cysのチオール基),●Cd
★ブラウザのお気に入り(bookmark)へ:このページのtop,「分子の形と性質」学習帳,Google
★自己紹介に代えて:パソコンと分子表現の変遷,インターネット利用とホームページ開設の歩み,サイトの分子データが利用された例
※本文中の★印は,ローカルファイルですので参照できません
Chimeインストール | 図0 | 図1 | 図2 | 図3 | 図4 | 図5 | 図6 | 図7 | 図8 | 図9 | 参考Webサイト・文献
2日目午後のデモンストレーション | 2005年度のレポートを読んで
0. 分子モデル可視化ツールChimeのインストール ↑top
※2004年以来,プログラムのインストールが不要なJmol版への教材移植を進めていますので,そちらをご利用ください。なお,IEで一部のChimeコンテンツを参照するとエラーになる場合があるので,Chime版を使う場合はブラウザとしてFirefoxを推奨します(京都女子大・小波先生の情報)。
- Chimeインストールプログラム収録書籍:本間善夫・川端潤,「パソコンで見る動く分子事典」,講談社ブルーバックス(1999)
※講義内容を深めるための参考書で,大学生協に販売をお願いする予定です。購入する場合は第8刷を入手のこと。同書付録CDか下記の方法でChimeをインストールして動作を確認しておいてください。パソコンに不慣れの人に対しては事前に集まってもらいインストールの説明をします。
また,Windows XP SP2でCDの分子モデルを表示する際にポップアップブロック機能による警告が表示される場合は、Internet Explolerにてポップアップブロックを解除してください(詳細)。
以下では上記書籍のCDを用いず,Chimeの製造元であるMDL社ののサイトからダウンロードする方法を説明します。OSはWindows XP,ブラウザはInternet Explorerを用いることを前提にします。
参考 Chime 2.6のOS・ブラウザのバージョン対応表(System Requirements参照)
Chime version |
Windows version |
IE version |
NetScape Version |
Chime 2.6 SP6,SP5 |
WinXP |
6.0SP1 |
4.75 and 4.79 |
Win2000 |
6.0SP1 and 5.5 SP2 |
4.75 and 4.79 |
WinNT4 |
6.0SP1 and 5.5 SP2 |
4.75 and 4.79 |
Chime 2.6 SP4 |
WinXP |
6.0 |
4.75 and 4.79 |
Win2000 |
6.0 and 5.5 SP2 |
4.75 and 4.79 |
WinNT4 |
6.0 and 5.5 SP2 |
4.75 and 4.79 |
Chime 2.6 SP3 |
Win2000 |
5.5 SP2 |
4.75 |
WinNT4 |
5.5 SP2 |
4.75 |
Win98 |
4.0 and 5.0 |
4.75 |
Win95 |
4.0 and 5.0 |
4.75 |
※本データは,日本MDLインフォメーションシステムに提供していただきました.

[1] IE5.0以上のブラウザでChimeのページにアクセスして最初に○の 登録 をクリックして以下のように利用者登録をします。一度登録すればその後は ログイン で他のプログラムのダウンロード等も可能です。
[2] *印のある■色の欄に必要事項を書き込み,国名なども選択をします。ユーザー名(メールアドレスでもよい)は記入したメールID宛てに後で送られてくるパスワードとペアでログイン時に使うものです。■色の欄には必ずチェックを入れ,一番下の 続行 ボタンを押します。

[3] 該当する専門分野などにチェックを入れて 続行 ボタンを押します。登録したユーザー名と与えられたパスワードでログインができたらメニューでChimeのページを選択して該当の機種・OSを確認して先に進み, START DOWNLOAD ボタンのあるページでダウンロードして,そのままインストールプログラムを実行します。インストールを開始するまで少し時間がかかるので注意してください。
インストールした後で,本ページからリンクしている各教材コンテンツが利用可能になります。
1. Chimeで見る分子 ※Chimeマニュアル ↑top

図0 有機分子の見方のコツ(簡便法),「パソコンで見る 動く分子事典」pp.15-26 ★(Miraikanフォーラム2005) ★
※参考:塗り絵による分子クイズ ,生体分子のかたちの不思議

図0付a 結合の手の数(原子価;配位結合やイオン結合ができる場合に注意〔例:NH4Cl〕);上から炭素,窒素,酸素 ★
※後出の生体分子のPDB形式データでは多重結合も単結合で表示され,H原子が省略される場合が多いことに注意

図0付b 第1イオン化エネルギーと電気陰性度 ★

図1 二酸化炭素と水の振動(それぞれ上から全対称伸縮振動,逆対称伸縮振動,変角振動)とそれを引き起こす赤外線の波数の実測値と計算値。 ★
※参考:電磁波(光)の波長とエネルギー ★
図1付a 4原子分子における分子内振動の種類(分子計算の概要参照)
※参考:分子科学研究所 編,「分子科学者がいどむ12の謎」,p.140,化学同人(2005) ★ ★

図1付b バクテリオロドプシン中のall-trnas-レチナールの構造変化例(酸素原子は省略)→ 詳細
※PDBデータ1r2nから抜粋作成したアニメーション(表示時間の長いカットは,環のねじれに変化が見られる構造)

図2 甘味物質を比較できるコンテンツにおけるアスパルテームの表示。

図3 「水溶性ビタミンと脂溶性ビタミン」におけるL-アスコルビン酸の疎水ポテンシャル表示。

図4 Chimeによるタンパク質の表示例(PDBデータの6rsa;PDBのデータIDは4文字の数字とアルファベットで表記される)。左の空間充填表示を右のような二次構造表示にすることで立体構造の特徴が明確になる(━は水素結合)。
表1 アミノ酸の親水性・疎水性など(疎水性インデックス順)
アミノ酸 |
分子式 |
CAS番号 |
疎水性インデックス |
log P |
酸性・塩基性 |
極性・非極性 |
等電点 |
Arg |
R |
アルギニン |
H2N(=NH)NHC3H6CCH(NH2)COOH |
74-79-3 |
-4.5 |
-4.20 |
塩基性 |
極性(塩基性) |
10.76 |
Lys |
K |
リシン |
H2N(CH2)4CH(NH2)COOH |
56-87-1 |
-3.9 |
-3.05 |
塩基性 |
極性(塩基性) |
9.74 |
Asp |
D |
アスパラギン酸 |
HOOCCH2CH(NH2)COOH |
56-84-8 |
-3.5 |
-3.89 |
酸性 |
極性(酸性) |
2.77 |
Asn |
N |
アスパラギン |
H2NCOCH2CH(NH2)COOH |
70-47-3 |
-3.5 |
-3.82 |
中性 |
極性(中性) |
5.41 |
Glu |
E |
グルタミン酸 |
HOOCCH2CH2CH(NH2)COOH |
56-86-0 |
-3.5 |
-3.69 |
酸性 |
極性(酸性) |
3.22 |
Gln |
Q |
グルタミン |
H2NCO-CH2CH2CH(NH2)COOH |
56-85-9 |
-3.5 |
-3.64 |
中性 |
極性(中性) |
5.65 |
His |
H |
ヒスチジン |
H2NCH[CH2(C3H3N2)]COOH |
71-00-1 |
-3.2 |
-3.32 |
塩基性 |
極性(塩基性) |
7.59 |
Pro |
P |
プロリン |
(C4H8N)-COOH |
147-85-3 |
-1.6 |
-2.54 |
中性 |
非極性(疎水性) |
6.30 |
Tyr |
Y |
チロシン |
HO(C6H4)CH2CH(NH2)COOH |
60-18-4 |
-1.3 |
-2.26 |
中性 |
極性(中性) |
5.66 |
Trp |
W |
トリプトファン |
(C8H6N)-CH2CH(NH2)COOH |
73-22-3 |
-0.9 |
-1.05 |
中性 |
非極性(疎水性) |
5.89 |
Ser |
S |
セリン |
HOCH2CH(NH2)COOH |
56-45-1 |
-0.8 |
-3.07 |
中性 |
極性(中性) |
5.68 |
Thr |
T |
トレオニン |
CH3CH(OH)CH(NH2)COOH |
72-19-5 |
-0.7 |
-2.94 |
中性 |
極性(中性) |
6.16 |
Gly |
G |
グリシン |
H2NCH2COOH |
56-40-6 |
-0.4 |
-3.21 |
中性 |
非極性(疎水性) |
5.97 |
Ala |
A |
アラニン |
CH3CH(NH2)COOH |
56-41-7 |
1.8 |
-2.85 |
中性 |
非極性(疎水性) |
6.00 |
Met |
M |
メチオニン |
CH3SCH2CH2CH(NH2)COOH |
63-68-3 |
1.9 |
-1.87 |
中性 |
非極性(疎水性) |
5.74 |
Cys |
C |
システイン |
HSCH2CH(NH2)COOH |
52-90-4 |
2.5 |
-2.49 |
中性 |
極性(中性) |
5.07 |
Phe |
F |
フェニルアラニン |
(C6H5)CH2CH(NH2)COOH |
63-91-2 |
2.8 |
-1.38 |
中性 |
非極性(疎水性) |
5.48 |
Leu |
L |
ロイシン |
(CH3)2CHCH2CH(NH2)COOH |
61-90-5 |
3.8 |
-1.52 |
中性 |
非極性(疎水性) |
5.98 |
Val |
V |
バリン |
(CH3)2CHCH(NH2)COOH |
72-18-4 |
4.2 |
-2.26 |
中性 |
非極性(疎水性) |
5.96 |
Ile |
I |
イソロイシン |
C2H5CH(CH3)CH(NH2)COOH |
73-32-5 |
4.5 |
-1.70 |
中性 |
非極性(疎水性) |
6.02 |
※hydropathy indexは以下を参照;Kyte and Doolittle, J. Mol. Biol., 157, 105-132(1982)
※log PはOn-Line Log P Calculation掲載の実験値
※極性・非極性はChimeのProtein選択様式と関連(参考ページ)

図5 表1のアミノ酸の親水性・疎水性等によるタンパク質の色分け例(エストロゲン受容体1ereのChain A)
《上》左から,二次構造(後述),疎水性インデックス順,log P値順表示
《下》左から, 酸性・中性〈芳香族〉・塩基性アミノ酸区別,極性・非極性区別,表示.等電点順表示
※PDBコード順データリスト,PDBデータのLigand結合部位(マニュアル)などで各表示可能
※参考:PDBデータの形式と座標データの抽出(Chimeは原子種と座標データだけから様々な分子情報を表示)
※任意のPDBデータについて同様の表示をするにはPDBデータを詳細に見るためにを参照


図6 DNAとタンパク質を含むPDBデータ1a02の構造の秘密(PDBデータのLigand結合部位で作成)。右表はChain Fのアミノ酸配列。
※参考:BCAAその2;Leucine Zipperを含むタンパク質例(PDBデータ1a02より)

図7 PDBデータ1hbpのリガンドであるレチノールとそのSITE(右)。左はタンパク質全体で,SITE部分のみスティックでドット表面表示。

図8 分子シャペロニン(分子シャペロンの代表例)PDBデータ1gru(そのGroES部分) ★ ★

図9 世界最小のタンパク質シニョリン1uao
【参考Webサイト・文献】 ↑top
- MDL,Chime
- Protein Data Bank;国内ミラーはPDBj
- 本間善夫・川端潤,「パソコンで見る動く分子事典」,講談社ブルーバックス(1999)
- 本間善夫,『分子モデル可視化ツールChimeを使った化学教育』,理科教室,2005年6月号,星の環会
- 本間善夫,『インターネットによる知の共有の試み』,化学,2000年5月号,化学同人
- 本間善夫・吉田弘・松浦博厚,『分子表示プラグインを利用した分子振動アニメーション』,化学ソフトウェア学会年会2001研究討論会講演要旨集,pp.90-91;分子振動データ集
- 本間善夫,『Webブラウザを利用した重ね合わせ分子データによる教材の作成』,日本化学会第81春季年会(2002年)講演要旨集I,p.650;複合分子と分子の重ね合わせ/分子データの作成方法
- 本間善夫,『PDBデータのLigand結合部位のデータ集作成』,日本コンピュータ化学会2003秋季年会講演要旨集,pp.84-85;PDBデータのLigand結合部位
- 本間善夫,『生体関連分子学習のためのWeb教材の作成』,ナノ学会第3回大会講演予稿集(2005),p.138
- 本間善夫,『2004年のWeb情報発信から ―鳥インフルエンザ,抗生物質,水俣病,P450―』,科学技術社会論学会第3回年次研究大会予稿集,pp.23-24
- 吉田弘,分子モデリングプログラム MOLDA
- 千田範夫,分子計算支援システム Winmostar ※参考:port:3016 feat.Winmostar
- 伊東章,化学工学資料のページ
- 科学技術振興機構,Webラーニングプラザ(技術者Web学習システム)
- 文部科学省,「平成15年度 科学技術の振興に関する年次報告」
- 科学技術振興機構,理科ねっとわーく ★
- 分子科学研究所 編,「分子科学者がいどむ12の謎」,化学同人(2005)
- 時実象一,「理系のためのインターネット検索術」,講談社ブルーバックス(2005) ※参考:検索サイトリンク集
- Chimeを活用するために
- Chime解説サイト例
- 速報コンテンツ例 ※参考(情報の国際競争):Googleによる“KU-55933”検索結果,同“温室 SF5CF3”検索結果
- 推奨ツール例
【デモンストレーションに向けて】 ↑top
【2005年度のレポートを読んで】 ↑top
短い集中講義の中で,Chimeの使い方と分子の見方,インターネットやPCの利用方法など,盛り沢山に話したこともあって,説明不十分なところもあったと思いますが,『Chimeデータ集の中から低分子・生体高分子をそれぞれ1つずつ選んで画像とともに説明を加える』という課題に取り組んでもらいました。以下に全体的な感想を列挙しますので,今後の参考にしてもらえたらと思います。他の教科のレポートとも共通する部分も多いでしょう。
- レポートである以上,オリジナリティを大切に。いくつかの文献やWeb情報,過去の講義(中学・高校時代を含めて)で習ったことも踏まえて,比較したり批判することも重要です。
- 例えば今回のレポートでは,なぜぞの分子を取り上げたのかや,商品や過去の実験等でその分子と接したことがある場合はそのことにも触れるとよかったと思います。生体分子の場合は多くの場合,自分自身のことでもあるのですから。講義で紹介した広島大学・吉田先生の分子モデリングプログラムMOLDAページにある『私たちは分子でできている』をもう一度読んでもらえたら幸いです。
- 「引用部分」と「自分の文章」の区別は明確に。これは書籍や論文誌でも守られているはずです。
※少し畑違いの分野の文章ですが,引用部分の文字色を変えるなどした以下を少し参考にしてください。 → 生命を考える家庭科
- 上記例文にあるように,引用文献やWeb情報は作者や作成年がわかるようにする必要があり,その部分をどこから引用したかわかるようにする必要があります。文献の書き方は,雑誌によって多少違いますが盛るべき内容は共通です。特に発行年はそれがいつの時点のデータであるかを知る上で不可欠です。Web情報も見た日時を記載するといいでしょう。
- Webページの文章や画像を引用する時は著作権に十分注意する必要があります。
- その意味で,私のページのChime利用コンテンツは,教育用にはフリーにしていますので,いろいろ表示を変えて自分独自の表現にしたものを活用し,分子の見方をわかりやすく説明することは今後の化学の学習でも有用と考えています。今後も分子を3次元で見る意味を考えながら利用して欲しいと思います。例えば,同じDNAの部分構造(14名が取り上げていました)でも以下のようにすることで,文章だけではわかりにくいことが一目瞭然になるでしょう。
- 文章を引用する場合は,その中の語句や物性単位などでわからないものがあったら,それをきちんと調べて自分の言葉にして表記する必要があります。そうでないと,語句の書き間違いや誤った表現をしかねません。
- Web情報を見る時は,URL(アドレス)などを見て作者の立場など(大学の研究者,公的機関の資料,企業の宣伝,学生のレポートなど,当然書き方も違っています)を知った上で利用する必要があります。
- 上と関連して,何人かが最近情報量の増えているWikipediaの記事を引用していました。これは,ブログと同じようにネット上のツール・システムの1つであるウィキ(wiki)を利用して作られている,ボランティア的な事典で,内容に問題がある場合も少なくありませんし,その利用方法についても同ページに記載されていますので,活用するにはそれなりの注意が必要です。なお,以下の本にはwikiが登場した背景などが書かれています。
- その他,著作権について解説しているWebページがたくさんあるので,きちんと理解しておきましょう。
- 最後になりますが,私自身ネットは情報を受け取る場だけではなく,発信する場だと考えています。講義でブログの話もしましたが,今はその情報発信が本当に簡単になっています。最初にあげた“オリジナリティ”を表出することを意識しながらネットとつき合って欲しいと考えています。
Googleによる情報検索

出張講座のご案内
「生活環境化学の部屋」ホームページ | 「分子の形と性質」学習帳 | iモード化学 | こども省